スロットル操作に対して素直にトルクを生み出す「クロスプレーン・コンセプト」に基づいて設計されたエンジンを搭載する、ネオレトロモデルXSR900/XSR700。両モデルとも、カラーリングを一新した2020年モデルが発表された。
これまでもヤマハの往年の名車を想起させるグラフィックをまとってきた両モデル。2020年モデルで登場したのは、ラジカルホワイトをベースにタンク上部に赤の塗り分けと黒いラインがひかれるもの。その姿は1980年代のスポーツモデルを思い起こさせる
そう、1970年代末に排ガス規制などによりすっかり沈静化した2ストブームを再燃させたRZ250!……というよりその「後継モデル」である。
ヤマハのレーシングマシンには白を基調色に、タンク上面に赤い塗り分けを施したものが多く、1980年代以降のスポーツモデルにもそのイメージデザインが引き継がれている。
2020年モデルで登場したニューカラー「ラジカルホワイト」のXSR900/XSR700に一番近いのはRZ250R(1983年、250cc水冷2スト並列2気筒)や、RZV500R(1984年、500cc水冷2ストV型4気筒)あたりだろうか。
RZ250Rは1980年代の2ストスポーツブーム再燃のきっかけとなったRZ250がフルモデルチェンジした車両で、直系の後継車だ。
ヤマハ独自の排気システムYPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム)を導入した同車は、先代モデルのRZ250が最高出力35psだったのに対して、43psの高出力を誇った(ちなみにRZ350の最高出力は45ps、RZ350Rは55psだった)。
発売当初はビキニカウルを装備していたが、1984年からはカウルレスとなり、フレームマウントのハーフカウルを装備したRZ250RRが併売されていた。
※YPVSとはシリンダーの排気ポートにバルブを設け、エンジン回転数に連動させてバルブを回転またはスライドさせて排気のタイミングをコントロールするもの。ほかにも排気温度制御の効果もあり、触媒を効果的に機能させることもできた。詳しくはこちらから
一方のRZV500Rは、レーシングマシンのYZR500(1984年、500cc水冷2ストV型4気筒)の技術をフィードバックして作られた「GPマシンレプリカ」。当時は750ccクラスの車両より高価な価格設定だったことでも話題になったモデルだった。
国内仕様車では自主規制により、64psに抑えられたが、輸出モデルでは88psを公称していた。ちなみに、ひとことで「輸出仕様」と言っても仕向地によってRD500LC、RZ500など車名や機種コードにバラつきがあり、カラーリングもホワイト×レッド以外にレッド×ブラックのモデルもあった。
ちなみに2020年モデルのXSR900/XSR700はカラーリング以外に、ポジションランプ付きのヘッドライトの採用(XSR900/XSR700共通)、リフレクターのデザインの変更(これはXSR900のみ)などの変更も施されている。
2020年版XSR900は、2月26日より販売が始まっており(価格106万1500円)、700も5月28日から販売開始予定(価格91万6300円)。なお、XSR900/XSR700ともにエンジンの性能などに変更はない。