バイクといえば「丸いヘッドライトがあって、丸いタンクがあって、エンジンが見えていて……」という昔ながらの定番のカタチを思い浮かべる人が多いからだろうか。昨今トレンドとなっている鋭角的なデザインのバイク(特にフルカウルのバイク)を「ガンダムっぽいデザイン」と評する人が少なからずいる。
そうした「ガンダムっぽい」という声は具体的にガンダム=RX-78を指しているのではなく、「SFっぽいデザイン」「ロボットっぽいデザイン」みたいなニュアンスなのだろう。つまり、正確を期すなら「モビルスーツっぽい」なのである、と編集部一のガンダム好きを自認する筆者は思うのだ。
そこで当記事では「ガンダムっぽい」と評されがちなバイクが、実際はどのモビルスーツに似ているのかについて考えてみたものである。……というより以下は筆者が最初にそのバイクを見た際、すぐに頭に描いたモビルスーツである。
お断り:当記事はあくまでバイクとモビルスーツのデザイン上の相似について考えた物です。各作品中における各モビルスーツの性能や活躍で、各バイクの性能を例えたものではありません。
01.カワサキ ニンジャH2/AMX-103ハンマ・ハンマ(機動戦士ガンダムZZより)
スーパーチャージャー(過給機)を組み合わせたエンジンを搭載しているという点で、バイクに詳しい人以外にも知名度のあるニンジャH2。
鋭角的なフィンを多数備えた個性的なデザインもインパクトは大きく、それこそバイクに詳しい人以外から「ガンダムっぽいバイクだね」と評される筆頭株ではないだろうか。
しかし、ヘッドライト自体は丸型一灯タイプで、ガンダム系モビルスーツの特徴である「ツインアイ」というより「モノアイ」である。最も似ているモビルスーツは、フィンのように多段式のショルダー部が大きな特徴のネオジオンのモビルスーツ、ハンマ・ハンマだと思う(カラーリングがグリーン系=カワサキという連想もなきにしもあらず)。
02.ヤマハYZF-R1(最新型)/MSZ-006 Zガンダム(機動戦士Zガンダムより)
技術面だけでなく、デザイン面でもヤマハのMotoGPマシン・YZR-M1のDNAを引き継いだ1000ccスーパースポーツモデル、YZF-R1。
一見ヘッドライドがないレーシングマシンのように見えるが、LEDヘッドライトが2つフロントカウル先端についている。この細く鋭いヘッドライトは、まさしくZガンダムの精悍な顔そのものではないだろうか。
ヤマハは「YZF-R」シリーズのイメージカラーとしてブルーを用いているが、ガンダム系モビルスーツにしてはブルーの面積が多いZガンダムと、カラーリング面においてもイメージが似ている気がするのである。ただし、オーナーになった場合、機首からライバルのマシンに絶対突っ込んではいけない。彗星がバァーって流れてしまうから。
なお、シルバー・グレー系のカラーリングとなる上級グレードのYZF-R1MだとZプラスっぽくなる。
03.KTM 1290スーパーデュークR/XM-0754バンデット(ターンエーガンダム)
フルカウルのバイクでなくても、近未来的、鋭角的なデザインはトレンドとなっており、ネイキッドバイクにもこんな個性派モデルがいる。オーストリアのメーカー、KTMが送り出す1300ccのスポーツネイキッド、1290スーパーデュークRである。
LEDをデザインに生かした独特のヘッドライトは「昆虫のようだ」とも言われるが、じーっと見ているとターンエーガンダムに登場したバンデットの顔にしか見えなくなってくる。オレンジベースのカラーリングも両者の共通項だ。
バンデットは作品後半に登場しただけなので印象が薄い人が多いと思う。というわけで一応補足しておくと、ターンXの随伴機として出てきたモビルスーツである(不思議なお化粧のお嬢さんがパイロットをしていた)。
04.ヤマハYZF-R1(6代目)/AMX-004 キュベレイ(機動戦士Zガンダム、機動戦士ZZガンダムより)
鋭角的な部分もあるが、全体としては流麗なデザインの6代目YZF-R1。
発売されたときに「これはキュベレイではないか」という声が一部バイクファンから上がった(筆者を含む)。
2009年、唯一日本国内仕様が発売されたYZF-R1であり、そのとき国内仕様に設定されたのがピンクのフレームにホワイトのカウルというカラーリングだったことも少なからず影響を与えたのだろう(一部ファンからは通称「キュベレイカラー」と呼ばれているという)。
だが実際、小さく丸いヘッドライトが黒くふちどられている様はキュベレイのカメラアイと非常によく似ている。サーキット走行会などでゼータに似た最新型YZF-R1と接戦を繰り広げる際は、コンフューズされないよう注意したい。
海外仕様に設定された黒、赤ならキュベレイMK-IIっぽくなる。
05.ホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツ/RGM-79ジム(機動戦士ガンダムより)
悪路の走行も、ワインディング走行も、長距離クルーズもお任せあれと、クルマで言うスポーツSUV的なバイクのジャンル「アドベンチャー」が現在人気だが、その最新鋭モデルのひとつ、アフリカツイン。ヘッドライトまわりのデザインはジムの顔そのものではないだろうか。
さらに、大型燃料タンクやロングスクリーンなどを装備した上級グレード、アドベンチャースポーツのみで選ぶことができる白・赤・青のトリコロールカラーにすれば連邦軍っぽさが増す。ジムIIでもいいんだけど。
番外編.カワサキZX-12R/MA-04Xザクレロ(機動戦士ガンダムより)
モビルスーツじゃなくてモビルアーマーになってしまうのと、「昨今のバイク」というほど新しいモデルでもないのであくまで番外編。
最高速300km/hオーバーという超高性能、モノコックフレームの採用という画期的な設計など、バイクの歴史に残る名車なのは重々承知なのですが……釣り目の大きなお目々に大きなお口。ええ、もうザクレロにしか見えません。
ホンダさんのウェブサイトに、アニメーション監督でメカニカルデザイナーの出渕 裕さんと、ホンダのバイクデザイナーの西本太郎さんの対談が載っていますが、とても興味深い内容です!
https://www.honda.co.jp/design/lab/smallbike/
まとめ●モーサイ編集部・上野