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業務用だけでなくパーソナル領域のファンモデルも加熱!!
2022年のミラノ国際モーターショーではホンダとカワサキが電動の「パーソナル領域のファンモデル」のコンセプトを発表し、大きな話題となりました。電動バイクは既存の大手メーカー以外にも新たなメーカーが多く参入しており、これからますます発展していくことが予想される分野。
すでに実地で活躍中の電動バイクも多く、例えば日本郵政では、配達バイクとしてホンダの電動バイクBENLY e:(ベンリィe:)導入が2020年から着々と進んでいます。今後はより趣味性が高く、個人向けの電動バイクもたくさん開発されていくでしょう。
このように、今世界中から熱い視線を注がれている電動バイクですが、動力がエンジンからモーターに置き換わったことで、マシンレイアウトの自由度が大幅に増し、その姿は今までのガソリン車とは一線を画すものも多いのです。
この記事では“異形”とも思える電動バイクを5モデル紹介します。
CAKE「Ösa(オッサ)」
CAKEというメーカーが開発した「Ösa(オッサ)」という電動バイク。
さすがはデザイン大国と言われるスウェーデンの企業、無駄のない洗練された形状と温かみを感じる優しい色使いは、日本でも近年人気を集めている北欧家具を連想させます。
公式サイトによると、運搬車として活用するほか、ノマドワーカーのデスク、工具が使用できる作業台としての利用も想定しているとのことで、そのための専用オプションパーツも豊富に用意されています。
2020年にはその機能美が評価され、ドイツの国際的なプロダクト・デザイン賞である、レッド・ドット・デザイン賞(革新的な製品部門)を受賞しています。
同社はオフロードモデル、原付で乗れるモデルもラインアップ。これらも含めたCAKEの電動バイクは、2023年5月を目途に日本での販売が開始される予定です。
Johammer e-mobility「Johammer J1」
オーストリアのJohammer e-mobilityというメーカーが開発した「Johammer J1」。
デザインのモチーフは「かたつむり」。スピード等のメーターは計器を備え付けるのではなく、かたつむりの目を模したミラー部分にディスプレイで表示させるというこだわりぶりです。
かわいらしい外見ではありますが、決してデザインだけを重視したシロモノではありません。量産型の電動オートバイとして世界で初めて「航続可能距離200km以上」を実現するなど、その革新的技術力は侮れないものがあります。2023年2月現在ではまだ海外でしか販売されていませんが、いつか日本の道路を走る姿も見てみたいものです。
ライブワイヤー「S2 Del Mar」
ライブワイヤーというアメリカのメーカー(開発時はハーレーダビッドソンの一部門、後に分離独立)の「S2 Del Mar」。
輪郭だけを見ると“異形”には思えないネイキッドスタイルですが、露出した機械部分をよく見てみると……一般的なガソリン二輪車ならエンジンが取り付けられている部分に隙間なく設置されたモーターが特徴的で、その身の詰まった風体はデンと構えた重厚な印象を与えます。
この章の冒頭でも触れたように、2014年に「プロジェクト・ライブワイヤー」としてプロトタイプが発表されたのが同シリーズのはじまりですが、開発したのはV型エンジンへのこだわりで有名なハーレーダビッドソン。その後、電動二輪車部門が分離して生まれたメーカー企業がライブワイヤーです。
「S2 Del Mar」は2022年5月にアメリカでプロトタイプが発売され、今春に出荷見込みのバイク。日本上陸のウワサもありますが、具体的な時期は未定です。
イタルジェット「DRAGSTER #e01 Electric」
イタルジェットというイタリアのメーカーが開発した「DRAGSTER #e01 Electric」。
全体的にはスクーターのような形状ですが、むき出しのトラスフレームと組み込まれたパーツがアグレッシブな印象を与え、非常に目を引くデザインとなっています。
もともとガソリン車として発売されていたドラッグスター125/200もほとんど同様のデザインであり、今回紹介した「DRAGSTER #e01 Electric」は同シリーズの電動バージョン。
本記事で紹介するバイクの中では唯一、同じ姿のガソリン車がラインアップされているモデルです。2022年のミラノ国際モーターショーにて450ccエンジンが乗った「ドラッグスター500GP コンセプト」、そしてこの電動バイク「DRAGSTER #e01 Electric」が発表されました。
ブレイズ「SMART EV」
2002年に名古屋で設立された新進気鋭の国内メーカー、ブレイズの「SMART EV」。
電動モーターならではの切り詰めたデザインとこのコンパクトさは、ガソリン車ではなかなか真似できないでしょう。
「キャンプに持ち運べるように」というモトコンポを連想させる設計思想で開発されており、重量はなんと18kg。もちろん個体にもよりますが、イメージとしてはボーダー・コリーややや大きめのコーギーなど、中型の成犬くらいの重さです。公式サイトによると5秒で折り畳むことが可能とのこと。これなら駐車場が無くとも自宅の玄関先にだって収納できてしまうし、トランポ車を用意しなくても運搬でき、積み込みもスムーズ。
電動化による軽さ、コンパクトさが存分に生かされた、活用場面が他のバイクとちょっと違ったバイクです。
レポート●穂高いづる 写真●Johammer/ゴールドウイン/ブレイズ/イタルジェットジャパン/ライブワイヤー