前回は散々な結果になってしまったが、かといって泣き寝入りするわけにも行くまい。というわけで、気合を入れ直してバイク用リヤキャリアの自作、リベンジマッチである。
本腰を入れて再度製作開始
前回は積載量を優先したキャリアを製作しようとしたところ、仮組みの段階であまりに不格好であることが判明。即座に不燃ゴミ送りになるという散々な結果となった。
その顛末を知った同僚から「カブでいいじゃん」とあきれ顔で言われ、知人にも「荷物を載せたら、すぐ壊れるんじゃない?」とイジられた。自分の好きなバイクでやってみたいと考えてもいいじゃないか! と訴えてみても「や、バイクも適材適所だし」と冷たい答えが返ってくるばかり。なんだなんだ、誰ひとりとして賛同者がいないじゃないか。
まぁ確かに、前回製作したキャリアは、製作者本人が思わず「ダサイ……」とつぶやくほどに不格好だった。そこで今回は、車体サイズとマッチする寸法を狙い、シート固定ボルトとタンデムステップの4点にて固定する構造を目指すことにした。
まずは塩ビパイプで大まかな形状を作り出し、車体とのマッチングを確認する。バーナーであぶれば簡単に曲がるので便利。鉄パイプの曲げ角度も検討できるのがいい。
キャリア後端部の幅を30㎝で想定して塩ビのテスト品を製作したが、まだ少し大きめの模様。本番では27㎝幅で作ることにした。ううむ、テスト品を作ってよかった……。
大まかな寸法と曲げ角度が決まったところで、前回に引き続きパイプベンダーで砂詰めした鉄パイプを曲げていく。
なお、今回は直径16mm、厚さ2mmのOST-2(油圧配管用精密炭素鋼鋼管)を使用した。引っ張り強さが440N/mm^2あるので問題なさそうと踏んだのだが……どうだろう?
都合4回曲げる必要があるので、左右の曲げは均等にしないと仕上がりが歪になる。片側を曲げ終えたら、反対側を曲げすぎないよう曲率を写し取ったゲージを作っておくと便利。
なお、両端部の角度のズレを防止するため、反対側を曲げる前にパイプがベンダーと水平になるよう調整する。こういうとき、微調整が効くパンタジャッキが意外と便利。
キャリア後端部の曲げが完了。ベンダーシューにぴったり合う径のパイプを使用したのがよかったようで、曲げ部の潰れや変形がほとんどない。
お次はキャリア前側の曲げ。もちろんこちらも、段ボールで作ったゲージが役に立つ。
キャリア部の曲げは意外やあっさり終了。要領を得てきたのか、前回よりかなりきれいにできたんじゃなかろうか?
車体側の固定方法で悩む……
続いて車体側の固定部の製作。車体にある8㎜のシートボルトと6㎜ボルトの間にステーを渡し、そこにキャリアを固定するのはどうだろうか?
左右にパイプを渡して、そこにキャリアを固定するという塩梅。溶接する前ならキャリヤの高さや角度もしやすいはず……だが、部品の精度を高くしなければ車体に上手く取り付けられなかったため敢えなくボツ。8㎜ボルトからステーを伸ばしてそこにキャリヤを取り付けることにした。
タンデムステップが取り付けられていた部分を利用して、キャリア後端部を支えるステーを作る。まずはロータリーバンドソーでタンデムステップステーにぴったりはまるカラーを切り出す。STKM13Aの丸パイプ(φ16㎜、厚さ4㎜)を20㎜幅で切り出した。
パイプ同士を溶接するので、パイプ断面にザグリを入れなければいけない。両頭グラインダーやリューターを駆使して、ザグリを製作する。
あとは溶接してしまえば、取り付け部分の完成である。……溶接のビードがまるで岩に張り付いたコケのようだ。もう少し練習が必要だなぁ。
ステーがおおむね完成。ようやく全体像が見えてきた。
丸リベットが最適かも?
ずっと頭を悩ませていたのが、キャリアフックをどうやって製作するか。うんうん悩みながら購入したのが、鉄板同士をかしめるのに使用する丸リベット。形状はばっちりじゃないか?
キャリアに溶接してみると……おお、なかなかのフィット感! しかし、100個セットで買っちゃったから、あと90本以上残っているんだよなぁ。
おっと、キャリヤの座面になるパイプを渡すのを忘れていた。ひたすら現物合わせとザグリを繰り返すだけだが、本数があるのでかなりの手間だ。
車体にマッチした(?)キャリア、ようやく完成!
けっきょくすったもんだの大騒ぎをしながら、ようやくキャリヤが完成。こうして見ると、意外とサマになっているんじゃないだろうか?
ひとまず缶スプレーで黒塗装し、車体に取り付けてみる。
おおっ、想像よりもスッキリとした仕上がりじゃないか! 19φの鉄パイプから16φへと変更したのも、無骨さを緩和する一助となったのかもしれない。
気になる耐久性は現時点ではなんとも言えないので、しばらく使ってみるしかなかろう。さてさて、これでようやく釣りに行けるぞ〜!