目次

真っ暗闇のなか出発
とまぁそうこうしているうちに年末年始のお休みに突入しちゃったのである(巷では)。さすがに正月ともなれば会社も閉まる。毎年、その時間を使って年末大掃除を行うのだ。しかし今年は、その貴重な時間をあえて釣りツーリングに充てることにした。じゃなきゃこのネタにオチを付けられないし。
今回の目的地は茨城県の那珂湊港。
自宅から100㎞ほどの距離はショートツーリングにもってこいだし、今の時期は港内でイワシが揚がっているという情報が舞い込んできたからだ。正月早々、イワシのつみれ汁なんかおいしそうではないか! 朝マヅメ(魚の食いがよくなる時間帯)に竿を出すには、最低でも6時には釣り場へ到着しておきたい。となると

出発は午前3時。もう一回言うけど午前3時。というかむしろ大惨事。
一体全体、何をやっているのかもはやワケが分からない。意を決して出発するが……。

もう帰っておうちでおこたに入りながらミカンを食べたい欲求とどうにかして戦いながら、目的地の那珂湊港に到着したのが午前6時過ぎ。寒さで緊急ピットインを繰り返しすぎた。

ちなみに行きのツーリング風景はひとつとして撮影していない。だって真っ暗だし。しかも寒くて手が動かなかったし。
釣りの時間じゃあああ!
おっと、寒さに震えている場合ではない。せっかく釣りに来たのだから、サクサクと準備をせねば。

そもそもが釣り場までツーリングしていくというだけの思いつき企画なので、それほど多くの荷物を持っていくことはできない。というわけで今回はショートロッド+サビキ釣りという、本格的な釣り人からすれば「なめてんのか」と言われそうな脱力仕掛けで挑むことにした。まぁ、これが後々裏目に出るのだけれど……。

ようやく釣り開始……が!?

あぁ、この瞬間だ。朝日を浴びながらウキを見つめ、ただただ過ぎ去る時に身をゆだねる。仕事だとか締め切りだとかそういった面倒なこと一切合切から解き放たれたこの瞬間が釣りの楽しさのひとつなのだ。
もちろん、これで魚が釣れれば言うことはない。本命のアジがくれれば、今晩はアジフライをつまみに一杯やれるのだから。
……が。

一向にアタリがこないのだ。
この日は中潮で潮のめぐりもそれほど悪くないし、海中をのぞき込んでみれば魚影も確認できる。しかしアタリがない。ハリの大きさやタナを変えてみるけれど、さーっぱりアタリがない。こらぁいったいどういうことだぁ。
そうこうしているうちに時間が経過し、このままでは魚屋さんでアジを購入して釣果を偽装するしかないか……などと考えたその矢先。

ついにウキが沈んだっ!
アジか? サバか? それともメジナかーっ! 喜び勇んで引き上げてみると……。

うおお、ボラだ〜。大きくなると卵巣がからすみの原料になるあの魚だ。
この魚はブリなどと同じ出世魚で、大きさによって呼び方が変わる。地方によってさまざまだが、関東では、ハク→スバシリ→オボコ→イナ→ボラ→トドと変わるそうだ。このサイズだとせいぜいオボコかイナといったところか。ちなみに「とどのつまり」という語句のとどはボラのことで、それ以上名前が変わらない=トドということらしい。
ひとまずボウズ逃れしたのはうれしいのだけれどどうしたもんか。ボラは今まで食べたことがないんだよなぁ。きれいな水で育った個体は非常に美味らしいが、湾内にいるのは臭くて食えたもんじゃないというのが定説だし……。というわけで、ほかにも釣れることを期待してリリース!
……が、ここから先ウキが沈んだのは一度だけで、しかも釣れたのはまたしてもボラという状態。あえなくお持ち帰りはナシとなったのである。とほほ〜、これならもう少し装備をしっかりして、ほかの釣りもすればよかった。
もうちょっと続きます「せっかくだから観光もしなきゃ」