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今回は、バイク免許取得について、日本と世界の国々を様々な観点から比較してご紹介します。
まずは日本のバイク免許についておさらいしましょう。この記事を読む方にとってはご存知の内容も多いと思いますが、日本のバイク免許は全部で以下の7種類あります。原付・普通自動二輪・普通自動二輪【小型限定】・普通二輪【AT限定】・普通二輪【AT小型限定】・大型自動二輪・大型二輪【AT限定】です。いかがでしょうか。意外と知らない免許もあったかもしれません。それぞれの違いの詳細は長くなるので、ここでは割愛します。
では、国ごとに見て参りましょう。
アメリカ「運転は家族が教えるもの?」
まずは、バイク乗りみんなの憧れハーレーダビッドソンが有名な、アメリカのバイク免許事情です。アメリカは、そもそも州によって免許制度が違うため一概には言えませんが、結論から申しますと、総じて免許取得のルールは日本より緩いです。日本でいう試験場での一発試験が主流で、費用も日本円でおよそ3万円以内と非常に安価です。
その理由のひとつに、アメリカ人にとって車やバイクの運転は、日本人にとっての自転車の運転に近い感覚で「家族が教えるもの」という考え方があるからでしょう。
また、バイク免許の区分も150cc以下の「M2」と150cc以上の「M1」の2種類しかありません。「M1」を取得してしまえば排気量無制限なので、アメリカのメーカーも大排気量のモデルばかり生産するのですね。結果、日本で運転するには大型二輪以上の免許が必要となり、ハードルが高くなってしまうのです。
タイ(ASEAN)「3000円でバイクの免許が取れる」
道路には車よりもバイクが多いことで有名なタイは、バイク普及率30%を誇り、日本と比べておよそ3倍近くの差があります。一部のタイ人にとってバイクは生活必需品と化しており、免許取得も非常に簡単です。
具体的にはまず、バイク免許は一種類しかなく、一度取得すれば排気量の制限なく運転することが可能です。また、試験もアメリカと同様一発試験が主流で、学科・実技ともにクリアすれば即日で免許の発行が可能です。費用も非常に安価で、なんと日本円でおよそ3000円程度しかかかりません。
さらに、タイで取得したバイク免許は、他のASEAN諸国でも使用可能です。現地の国民にとっては非常にありがたい仕組みですね。
ヨーロッパ(EU)「日本より厳しく複雑」
ここまで日本より緩い国をご紹介して参りましたが、最後は日本より厳しく複雑なEUをご紹介します。
まず免許の種類ですが、AM・A1・A2・Aの4種類に分けられます。詳細をご説明すると、「AM」は日本でいう原付、「A1」は排気量125ccまでかつ、最高出力15馬力以下、「A2」は排気量無制限、最高出力47.6馬力以下、「A」は排気量・最高出力ともに無制限、という区分です。排気量と馬力の2点で区分されているので、日本のメーカーも輸出の際に苦労しているようです。ちなみに車の免許でA1のバイクまでは運転出来ます。
以上から、複雑さはご理解いただけたかと思います。次に試験の内容ですが、EUも日本と同様自動車学校に通って取得するのが一般的です。ですが、実技練習はいきなり路上で運転させられるそうです。教官はどうやってサポートするのでしょうか……。また、取得する免許の区分によって年齢制限も設けられており、A免許はA2取得から2年以上経過しないと取得出来ません。
複雑な点だけでなく、色々と厳しい点も多いですね。EUでは、バイクが他国ほどカジュアルな乗り物として認識されていない背景もあるようです。
免許の種類や制度は国によって様々ですが、その国の国民性や交通事情などを鑑みて適切に整備されているように思えますね。ただ、時代によってニーズに合っていない制度は出てくるので、定期的に見直すことも必要なのかなと感じました。
レポート●糀本拓也 画像●高田胤臣/タイランドハイパーリンクス 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実