コラム

バイクの免許「16歳から取得可能」は早すぎるのか? 世界の国々と比べてみると……

日本の法律では、原動機付自転車免許と普通自動二輪免許を16歳から取得できますが(大型二輪免許は18歳から)、16歳だとほとんどの人がまだ高校生です。クルマの免許(普通自動車運転免許)を取得可能な年齢は18歳からなので、バイクの免許のほうが2年も早く免許を取得できることになります。

実際、年少者によるバイクの交通事故が報道されると「16歳なんてまだ子供なのに、免許が取れるなんて早すぎない? なぜ、クルマと同じ18歳からじゃないのだろう」という意見を耳にすることもあります。

そこでこの記事では、アメリカ・イギリス・中国・韓国・タイといった世界のバイク免許事情を紹介したうえで、世界的に見てバイクの免許が16歳から取れるのか早いのかどうかを解説します。

バイク免許を取得可能な年齢は国によって異なる

日本とアメリカ・イギリス・中国・韓国・タイのバイク免許が取得できる年齢をまとめた表は、以下の通りです。

排気量に制限はあるものの、多くの国で16歳からバイクの免許に挑戦できることが分かります。

備考部分を見比べてみると、イギリスや韓国の16歳が取得できる二輪免許は「50ccまで」、日本の排気量区分でいうと「原付免許」までしか取得することができません。一方で、日本は取得可能年齢では両国と差はありませんが、16歳で「普通自動二輪免許」が取得でき、最大400ccまでのバイクを運転することができますから、日本の16歳は比較的多くの選択肢の中から乗るバイクを選ぶことができると言えるでしょう。

日本のバイク免許は世界的に見て区分が細やか

ここからは、それぞれの国にスポットライトを当てて解説をします。

まず、日本のバイク免許をおさらいします。

日本のバイク免許は、原付・普通二輪(小型)・普通二輪・大型二輪とAT限定のAT小型限定普通二輪・AT普通二輪・AT大型二輪の7種類です。

16歳時点で取得できるのは、原付・普通二輪(小型)・普通二輪・AT小型限定普通二輪・AT普通二輪の5種類で、18歳になれば大型二輪・AT大型二輪の2種類を取得できるようになります。

アメリカは州によって違いがある

アメリカにおけるバイクの免許は、150cc以下の「M2免許」と排気量無制限の「M1」の2つのみです。また、州によって取得可能年齢や免許取得後の制限など、免許に関する法律が異なります。

平均的に言えば、多くの州で16歳から「M2」免許を取得可能です。

アメリカも日本と同じように、教習所のような場所へ通ってバイクの免許を取得します。日本と異なるのは、「M2」免許の場合、3日ほどで取得できるうえに、費用もそこまでかからないという点です。

イギリスはEU免許(ヨーロッパの運転免許)で統一されている

イギリスのバイク免許は、ブリグジット後も協定によりEU規格の免許となっています。EUに加盟している国の免許は、EU規格で統一されています。

EU規格の免許によるバイク免許の区分は、50ccまで乗れる「AM免許」と125ccまで乗れる「A1免許」、それから排気量が無制限の「A2免許」と「A免許」の4種類です。

「A2免許」と「A免許」の違いは、馬力です。「A2免許」にはバイクの馬力に制限がありますが、「A免許」だと排気量に加えて馬力にも制限がありません。

EU規格のバイク免許を取得する際にも、日本やアメリカと同様に教習所に通います。日本と異なる点としては、クルマだけでなく二輪教習にも路上教習があるようです。

中国は排気量の区分がない

中国の二輪免許には、排気量区分がありません。18歳から取得できるバイクの免許を取れば、全ての排気量のバイクに乗れます。

以前は中国の都市部でオートバイを見かけるのは稀でしたが、近年は若者を中心に電動バイクが大人気です。

韓国は125㏄以下と無制限の2種類

韓国は125㏄以下と無制限の2種類です。16歳だと50㏄までですが、18歳になれば無制限免許が取得できます。

免許のシステムこそライダーに優しいですが、韓国は日本と比べるとバイク人口は少ないです。車間距離を詰めて走る車が多いと言われていたり、冬の寒さが日本の多くの地域よりも厳しかったりするのも、要因かもしれません。

タイは15歳からバイクに乗れて制限もない

今回ご紹介した国のなかで、タイはバイク免許に関して最も年齢による規制が緩い国です。15歳からバイクに乗れるうえに、排気量による制限がありません。筆記と実技の試験に合格すると、晴れてバイク免許を取得できます。費用も日本円にして約3000円と、とてもリーズナブルです。

実際にタイでバイクに乗る人はとても多く、2019年時点でタイはバイクのバイク保有世帯率で世界1位に輝いています。

しかしタイ健康増進財団の調査によると、2020年のタイ国内での交通事故死者数は1万7831人であり、世界ワースト2位です。免許を取得する敷居が低すぎると、事故を招きやすい一面はあるでしょう。

日本の16歳は世界目線だと平均的

この記事では、日本でバイクの免許が16歳から取得できるのは早いのかどうかについて解説しました。

結論として、日本で16歳からバイクの免許を取得できるのは、世界から見ればかなり平均的なレギュレーションです。16歳時点で乗れるバイクの排気量には多少の差がありますが、多くの国で16歳からバイクの免許が取得できます。

一方で、今回紹介した国々と比較すると、日本では16歳時点で乗れるバイクの最大排気量が大きめである(〜400cc)ということも分かりました。400㏄クラスのバイクだと、モデルによっては大型バイク並みの重さ、車体サイズのものも多いです。体格やライディング能力に合うバイクを選んで、無理のないバイクライフを楽しみましょう!

レポート●リオヤドン 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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