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路上喫煙禁止は地方自治体の条例
厚生労働省による「国民健康・栄養調査」によると、令和元年時点で日本における習慣的な喫煙者の割合は令和元年で16.7%(男性:27.1%、女性7.6%)となっています。
10年前の喫煙率は23.4%(男性:38.2%、女性10.9%)でしたから、確実に喫煙者は減っているといえますが、それでも男性でいえば4人にひとりは習慣的な喫煙者です。少数派ではありますが、けっしてレア!というほど珍しいわけでもありません。
ただし多数派が非喫煙者となっている現在、街中での喫煙行為に制約が生まれていることは否めません。昭和の昔には、当たり前のように誰もが行っていた路上喫煙や歩きたばこは、多くの自治体が条例によって禁じています。
歩行中以外に自転車やバイク乗車中も「歩きタバコ」はNG
そしてこの条例で禁止されるいわゆる「歩きたばこ的な行為」には、文字通り歩いているときだけでなく、自転車やバイクに乗っているときも含まれるというのがコンセンサスとなっています。
つまり、路上喫煙を禁じる条例がある地域では、くわえタバコでバイクに乗るというのはNGといえます。さらにいえば、バイクでくわえタバコをしている姿をみると灰皿を用意していないよう見受けられることが多数です。路上喫煙のみならず、吸い殻のポイ捨てが増えてしまうという意味でも、二重にNGなのがバイクに乗りながらの喫煙です。
窓を開けた四輪車内では喫煙NG!?
では、灰皿のあるクルマ(四輪車)の中でタバコを吸うというのは、そうした条例でいえばOKなのでしょうか。
たとえば神奈川県海老名市の条例『路上喫煙防止に関する制度』では自動車内での喫煙はOKとなっているようです。同制度についてのホームページには以下のような表記もあるほどです。
自動車内(大型二輪及び普通二輪は除く。)及び市長が別に定める場所については、条例の目的に反しないため喫煙可能とします。
神奈川県海老名市『路上喫煙防止に関する制度』
このように路上喫煙を禁じる条例があっても、自動車の中でタバコを吸うぶんには不問という風に解釈できるわけですが、より細かい条件をつけているのが大阪府八尾市です。
同市の定める路上喫煙禁止区域においては、すべての喫煙行為が禁じられています。
歩きたばこ、二輪車に乗りながらの喫煙が禁止なのはもちろん『自動車の車内で喫煙する場合で、自動車の外に喫煙によるたばこの煙が流出する状態(=窓を開けた状態)で喫煙すること』が明確にNG行為として挙げられています。
すべての地域でどうようの判断がされるとは言い切れませんが、副流煙による健康被害を防ぐという視点からすると、窓を開けたクルマや屋根を開けたオープンカーの中でタバコを吸うことは路上喫煙に含まれるというのが、日本の常識になっていくかもしれません。
子どもが乗っている車内も喫煙禁止?!
では、窓を閉めた状態であればクルマの中で喫煙するのは問題ないのかといえば、そうとは言い切れません。
たとえば、東京都には『東京都子どもを受動喫煙から守る条例』というものがあります。
子どもが受動喫煙によって健康被害を受けることを防ぐというのが本条例の目的ですが、その中には『喫煙をしようとする者は、子どもが同乗している自動車(道路交通法〈昭和三十五年法律第百五号〉第二条第一項第九号に規定する自動車をいう)内において、喫煙をしないよう努めなければならない』という風に明記されています。
少なくとも東京都においては、子どもが同乗しているクルマの中では窓を開けていようが、閉めていようが、喫煙することはNGといえるのです。
喫煙者の中には「我々は(タバコ税の)高額納税者なのだか好きに吸ってもいいじゃないか」と主張する人も見かけますが、それを言い出したら高い自動車税やガソリン税を納めているのだからルールを無視して暴走してもいいじゃないか、と言っているようなものです。
趣味や嗜好品を楽しむというのは、社会の中で認められることが大前提です。
バイク趣味においても、タバコなどの嗜好品においても、様々なルールやマナーを守った上で、社会から煙たがられないように楽しんでいきたいものです。
レポート●山本晋也 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実