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実は1000種類以上ある!! 奥深い信号機
普段街を歩くとき、目にしない日はないと言えるほど身近な存在である信号機。ただその身近な存在であるがゆえ、なかなか注目されにくいもの。
現にクイズ番組を見ていると、時折横型の車両用信号機が映し出され、赤は左か右かどちらかと言った問題が出題されているのを見て、我々信号機マニアはいささか寂しい気持ちになります。
信号機なんてどれも同じで車両用、歩行者用、縦型、横型程度の違いしかないと思われがちですが、実は細かく見ていくと1000種類以上ものバリエーションがあります。
今回の記事ではその中でも、マニアでなくてもこれは面白い!珍しい!と思えるような信号機を紹介していきます。
1.通称「UFO型」クルマ用と歩行者用が一緒になった信号機
まず最初に紹介するのは宮城県仙台市にある信号機。なんと自動車用の信号機と歩行者用の信号機が一体となっている信号機です。通常は自動車用の信号機と歩行者用の信号機は別々に設置され、交差点の4つ角の電柱に設置されるものですが、この信号機は全て集約され、交差点の中央にまるで浮いているかのような設置となっているため、通称UFO型などと呼ばれていたりします。
非常にインパクトがありユニークな設置方法ですが、歩行者にとっては上を見上げながら見るような形となり見辛いこともあってかほとんど普及せず、宮城県仙台市の路地などを中心に25交差点ほどあった他はほとんど見られず、宮城県内でも他の形式の信号機に更新が進み、現在では数交差点のみの設置となっています。

2.どう見ればいい!?「青」がない信号機
下の写真の信号機は、茨城県常総市の同じ交差点で撮影した信号機で、自動車用の信号機は青・黄・赤であるという常識を覆す信号機です。
この信号機がある交差点は踏切が隣接する信号交差点となっており、最初の写真の黄・黄・赤の信号機は踏切を過ぎた先にあり、次の写真の赤・黄・赤の信号機は踏切の手前側に設置されています。信号交差点自体は普通の十字路なのですが、踏切のすぐ近くに交差点があるため、最初の写真の黄・黄・赤の信号機のほうは青のかわりに左の黄が点滅し、他の交通に注意してから進行することを促しています
踏切の手前側にある2枚目の写真の赤・黄・赤の信号機は青のかわりに左の赤が点滅し、一時停止してから進行することを促しています。この信号機は後にLED信号機へ交換されましたが、黄・黄・赤と赤・黄・赤の配列はそのまま引き継がれています。


3.やっぱり「青」がない……矢印だらけの信号機
次の信号機は山口県山陽小野田市にあるものです。こちらも2つ目に紹介した信号機と同じく自動車用の信号機は青・黄・赤であるという常識を覆した、青の位置に直進矢印があり、青がない信号機となっています。この信号機がある交差点は形は至って普通の交差点ですが、青を使わないで矢印で制御するタイプのサイクルとなっており、赤+直進・左折矢印か赤+右矢印で車を進行させます
このサイクル自体は全国的にも比較的多くあるのですが、この交差点の場合は使用しない青は節約の意味もこめてか直進矢印を組み込んでしまっていて、結果矢印・黄・赤という配列になっています。このような信号機は山口県や千葉県、神奈川県などでかつて見られましたが、最近はほとんど撤去され、現在は山口県にわずかに残るのみとなっています。

4.矢印のインパクトがデカすぎる信号機
最後の信号機は、熊本県熊本市にかつてあった信号機です。
自動車用の信号機のレンズの直径は主に200mm、250mm、300mm、450mmの4種類があり、現在では250mm、300mmが主流となっています(最近は小型化された250mmが主流・東京都等一部を除く)。450mmのものは岐阜県、大阪府、長野県等の国道等の大きな交差点に目立たせるためにかつて設置されていました(LED信号機に交換され現在はほとんど残っていません)。
この熊本市にかつてあった信号機は青・黄・赤が300mm、矢印のみ450mmとなっており、矢印が非常に大きくインパクトがあります。この交差点も3つ目に紹介した信号機と同様、赤+矢印の点灯により車を進行させるので、矢印を強調する意味をこめて矢印のみ大きいサイズのものを使用していると考えられます。
いかがでしたでしょうか。信号機ひとつ取ってもこんなユニークなものがあるということが伝わればこの上なくれしいです。

レポート/写真●丹羽拳士朗 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実
●信号機マニアの丹羽拳士朗です。4歳の頃から信号機に興味を持ち、大学入学後の2014年からは積極的に全国各地に信号機撮影に出かけ、2017年に全都道府県を制覇しました。今まででLCC等を駆使し、宿泊はネットカフェ・夜行バスで済ませながら、居住している北海道の外へ116回信号機撮影に出かけ、全国の792市の6割程度に訪問しています。
現在はホームページ「Let’s enjoy signal!!」やtwitter(@LED60590495)で珍しい信号機などを発信しています。好きな信号機はヴィンテージものの信号機や赤黄赤、黄黄赤などの変わった配列の信号機等です。好きな食べ物はラーメン、パスタなどの麺類ですが、信号機優先のため旅行の際も食事は蔑ろになりがちでネットカフェでカップ麺をすすることも。