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80項以上ある交通違反行為の種類
飲酒運転や暴走運転などの悪質な違反行為は論外としても、標識の見落としなどで意図せず交通違反をしてしまう可能性は全ての運転者にあります。道路交通法の遵守は運転者の当然の義務とはいえ、具体的にどんな行為がどんな名称、罰則の違反となるのか、その全てを正確に把握している人は多くないのではないでしょうか。
それもそのはず。警視庁が発表する道路交通法違反の種類を参照すると、区分が非常に複雑な「放置・駐停車に関する反則行為」を除いても80項以上の違反項目があります(2020年4月1日改定、反則行為の種別及び反則金一覧表参照)。その中でもっとも高額な反則金を課される違反などのようなものなのでしょうか。トップ3を見てみましょう。
この記事では、バイク(原付二種以上の自動二輪車)での反則金額を基準とし、速度超過や積載物重量制限超過のように、同じ違反項目の中で程度によって反則金額が異なるものは、最も程度の重いものの反則金額で集計しています。
3位:大型自動二輪等乗車方法違反(1万2000円)
大型自動二輪等乗車方法違反は、道路交通法第71条4の3項~6項に違反するもので「大型及び普通自動二輪車を運転する際に定められた乗車方法を守らずに運転する行為」が該当します。
具体的な例を挙げると、2人乗りの条件を満たしていないにも関わらず、2人乗りをした場合などに適応されます。
50ccを超えるいわゆる原付二種以上の車両の場合、タンデムステップやグラブバーといった、パッセンジャー(同乗者)用装備の装着などの要件を満たせば乗車定員が2人になります。しかし、2人乗りをするためには車両の装備だけでなく、運転者の属性も条件を満たす必要があります。例えば、高速道路や一部の自動車専用道路で2人乗りをするためには、二輪免許を取得してからの期間が一般道路では1年以上、高速道路や一部の自動車専用道路では3年以上経過していること、運転者の年齢が20歳以上であることが条件となっています。
大型自動二輪等乗車方法違反の反則金額は1万2000円です。

2位:携帯電話等使用、保持違反(1万5000円)
携帯電話等使用、保持違反は、スマートフォンや携帯電話を操作しながら、または手に持ちながら運転するいわゆる「ながら運転」です。
スマートフォンが普及するにつれ、「ながら運転」を原因とする交通事故は年々増加傾向にあります。これを受け、2019年12月1日には携帯電話等使用、保持違反に対する罰則が大幅に強化されました。反則金は従来の6000円から1万5000円、違反点数も1点から3点と、約3倍に引き上げられています。
さらにこの改正で、携帯電話やスマートフォンを操作、保持、使用していただけでなく、それが原因で事故を起こした場合には「携帯電話等使用、保持違反」ではなく「携帯電話等使用(交通の危険)」が適応されることになりました。「携帯電話等使用(交通の危険)」が適応されると「交通反則通告制度」の対象とならず、違反前歴なし(累計違反点数が0点)の状態からでも免許停止処分、いわゆる「一発免停」となります。
ちなみに「交通反則通告制度」とは、比較的に軽微な交通違反について、反則金を納付すれば行政処分で済む=刑事処分を課されないという制度です。
「交通反則告知書」いわゆる「青切符」で処理される交通違反が対象となります。
一方で、この「携帯電話等使用(交通の危険)」や飲酒運転、無免許運転、大幅な速度超過など、より重大で悪質な交通違反に対しては「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」いわゆる「赤キップ」が発行され、殺人や窃盗などの犯罪と同じように、刑事裁判を経て罰金刑や禁固刑などの処罰が課されます。
つまり、赤キップを受けて裁判でも違反が認められてしまうと「前科1犯」となり、就職や転職の際などに作成する履歴書に「賞罰欄」がある場合には、これを記載しなければならなくなります。

同率1位:速度超過(高速道路35km以上40km未満超過で3万円)
速度超過はいわゆるスピード違反です。超過する速度によって課される違反点数と反則金が異なります。「反則金」として最も高額なのは高速道路上での35km以上40km未満超過の3万円で、40km以上の超過は「交通反則通告制度」の対象とならず、「赤キップ」が発行されて「罰金」が課されます。

同率1位:積載物重量制限超過(10割以上で3万円)
積載物重量制限超過違反は、道路交通法第57条3項目に定められている「各車両によって定められている最大積載量を超えて荷物などを積載してはならない」という条文に違反した際に適応されます。
超過する割合によって課される違反点数と反則金が異なります。最も高額なのは10割以上、つまり規定されている最大積載重量の2倍以上を積んだ場合の3万円です。
バイクの重量制限は原付一種が30kg、原付二種を含む自動二輪車が60kgとなっています。この重量はあくまでも「積載物」の場合で、パッセンジャー(同乗者)の体重は含まないほか、パニアケースやトップケースといったケース類も荷台(キャリヤ)と同様の「積載装置」とされるため積載重量にカウントされません。

まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実