スタイリッシュなカウルをまとったスーパースポーツモデルを中心に、維持費のリーズナブルさや、だれでも気軽に乗れる車格も手伝って、エントリーユーザーからベテランライダーまで、幅広い層からに好まれている250ccクラス。
「そんなニーゴー(250cc)モデルを中心に、各社のバイクたちに意識があったら……」なんて“if”のお話。
今回は「台風接近ッ!!」のニュースをきいたら愛車にやってあげたい、停めてあるバイクの台風対策のお話です。
作:もるん(@MOLN2RNG)
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例年、9月に発生数のピークを迎える台風。
しかし気象庁が2021年9月30日に発表した「向こう1か月の天候の見通し」によると、2021年は「10月になっても暑さが引かず、台風が本州に近づきやすい気圧配置になることが多い」といいます。
今年の台風シーズンの終わりは、もう少し先になりそうです。
台風が来た際「愛車が風で倒れて傷ついてしまうのではないか」というのは、ライダーにとって大きな気がかりのひとつです。
今回の漫画のCBR250RRくんのようにならないよう、台風接近のニュースを聞いたら愛車に正しい台風対策をしておきましょう。
この記事では、比較的簡単にできる台風対策をいくつか紹介します。
バイクカバーは外そう!!
バイクカバーは本来、雨や風、紫外線などからバイクを守ってくれるものですが、あまりにも強い風の中で掛けたままにしておくと、カバーが船の帆のように風を受けて大きな力がかかり、車両を倒してしまうことも。
「カバーを外したら雨に濡れちゃうじゃないか」と思うのですが、雨に濡れる被害よりも、風でバイクが倒れたときの被害のほうが大きくなりがちです。
また、バイクは高圧洗浄機などで丸洗いもできるように、基本的にあるは程度の防水性があります。
それでも浸水が気になる場合にはマフラーの排気口にだけ水が入らないよう、ビニール袋などで塞いでおくのが良いでしょう。
事情があってどうしてもカバーを掛けておきたい場合には、風が入りにくいように、カバーを車体に添わせてしっかりしばっておきましょう。
タイヤが動かないようにブレーキを掛け、ギアを入れて停めよう!!
サイドスタンドで駐車している場合は、ギヤをニュートラルにせず1速などに入れてタイヤを回りにくくしておけば、強風や飛んできた物の衝突によって力が加わっても車体が動きにくくなります。
結果的にスタンドが外れにくくなり、転倒を防ぐ一助になるのです。
また、ゴムやロープを使い、ブレーキレバーを引いた状態でハンドルに固定しておくと、ブレーキが掛かった状態を常にキープしておくことができます。
そうすることで、風などの力が加わってもタイヤが動きにくくなり、スタンド外れによる車体の転倒を防ぐことができます。
ゴムやロープを使わなくても、簡単にブレーキを引いたままの状態で固定することができる「ブレーキキーパー」という用品も用品店などで購入することができます。台風対策だけではなく、普段の駐車時(特に傾斜のある場所に駐車する際など)にもかけておくと安心です。
サイドスタンドをかけ、スタンドパットを噛ませておこう!!
バイクのスタンドにはサイドスタンドとセンタースタンドの2種類がありますが、台風などの際に倒れにくいのはサイドスタンドを使った駐車です。
センタースタンドを使用して駐車するとバイクが直立しているため、左右どちらにも倒れる可能性があり、最初からスタンド側に車体が傾いているサイドスタンドを使用した場合に比べて、安定感が損なわれてしまいます。
ただし、サイドスタンドにも注意点があります。
センタースタンドを使用する場合に比べてスタンドの一点にかかる重量の負担が大きくなり、スタンドの「足」が地面にめり込みやすいのです。
駐車場の地面が土や砂利の場合には、スタンドパッドなどを使ってめり込まないようにする工夫をすると良いでしょう(雨が降ると土や砂利の地面はさらに柔らかくなってしまいますし)。
スタンドパットは、かまぼこ板などの丈夫な板でも代用可能です。
ハンドルはサイドスタンド側にきっておこう!!
ハンドルをサイドスタンド側に切っておくと、バイクの重心がスタンドのある方に傾くので、より倒れにくくなります。
スタンドが折れるか、外れてしまうかしない限り、サイドスタンドのある側に車体が倒れることはまずないので、ハンドルはサイドスタンド側に切って、重心はなるべくスタンド側に傾けておくことを心がけましょう。
停める場所や停め方にも注意!!
バイクを置く場所や置き方を変えるだけでも、台風対策として十分な効果が期待できます。
たとえば駐車場所の近くに壁がある場合、バイクはなるべく壁に近づけて停めましょう。万が一、強風で車体が倒されてしまったとき、地面に横倒しになってしまうより、壁にもたれかかるようにぶつかった方が被害が少なくなります。
さらに、風向きに対してバイクの向きを調整するという手もあります。
風が向かってくる方向に対してバイクを縦向きにしておくのです。
バイクは全長よりも車幅の方が短いため、風向きに対して縦を向いていたほうが風を受ける面積が少なくて済み、倒れにくくなるのです。
「バイクを縦に置くスペースなんてないよ〜」という場合には、サイドスタンドで停車し、風が吹いてくる方向にスタンドのない側を向けておくだけでも(=風向きの方向にサイドスタンドがある状態)、強風による転倒の可能性は低くなります。車体が風から受けた力を、サイドスタンドが支えてくれるからです。
また、一般的に台風は「目」を境に風向きが変わります。
身の安全を確保したうえで余力があるようなら、台風の目が通過したタイミングで風向きにあわせてバイクの向きを変えるとさらに安心かもしれません。
また、台風が過ぎ去った後にはなるべくはやく真水で洗車をしましょう。
特に沿岸部では、台風で巻き上げられられた海水が雨風に含まれていることがあります。塩分が付着したまま車両を放置しておくと、サビなどの劣化の原因になってしまうのです。
愛車を守れるのはライダーだけ。正しい台風対策を覚えて、長引く台風シーズンを無事に乗り切りましょう!!
漫画●もるん まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実
次回更新は2021年10月22日(金)を予定しております。
◎第40話:バイクの「足つき」が心配なときには?
◎第39話:倒立サスペンションって正立とは何が違うの?
◎第38話:バイク乗りだけが知ってる挨拶「ヤエー」って何だ?