【バイク擬人化漫画】ニーゴーマン!

【バイク擬人化漫画】ニーゴーマン!第39話:倒立サスペンションって正立とは何が違うの?【隔週連載】

スタイリッシュなカウルをまとったスーパースポーツモデルを中心に、維持費のリーズナブルさや、だれでも気軽に乗れる車格も手伝って、エントリーユーザーからベテランライダーまで、幅広い層からに好まれている250ccクラス。
「そんなニーゴー(250cc)モデルを中心に、各社のバイクたちに意識があったら……」なんて“if”のお話。

今回はライダーと車体が地面から受ける衝撃を緩和してくれる心強い部品「サスペンション」のお話です。
作:もるん(@MOLN2RNG
◎前回のお話はコチラ
◎ほかの話を見る


「バイクの快適性を守る」サスペンションって何?

サスペンションとは路面からの衝撃を吸収し、ライダーやバイクへの影響を緩和する緩衝装置です。
現代のほとんどのバイクでは、車両の前方にフロントフォーク、後方にリヤショックと2種類のサスペンションがついています。
前方についているサスペンション=フロントフォークを「前サス」や「フォーク」、後方についているサスペンション=リヤショックを「リヤサス」などと略して呼ぶこともあります。

車体から取り外された状態の倒立サスペンション。写真はカワサキ Z H2 SEのもの。

今回の漫画では、前方についているサスペンション=フロントフォークの形式について紹介しています。
現在(2020年代)主流になっているテレスコピック式のフロントフォークは、主にインナーチューブとそれよりひと回り径の太いアウターチューブ、車重を支えるバネという部品で構成され、チューブの中は「フォークオイル」と呼ばれるオイルが入っています。

バイクが路面から受ける衝撃に応じてインナーチューブがアウターチューブの中をピストンのように上下(伸び縮み)する作用と、オイルを押し上げたり押し下げたりする作用によって、路面からの衝撃を吸収しているのです。

ちなみに「テレスコピック式」という名前は、アウターチューブの中をインナーチューブが上下する様子が望遠鏡(英語でtelescope)のようだから、という理由で付いたそうです。

「バイク原始時代」にはサスペンションがなかった

今となってはバイクに欠かせないサスペンションですが、1910年代頃までの黎明期のバイクには基本的にサスペンションがありませんでした。
自転車……いわゆるママチャリと同じような構造だったのです!

世界で最初のバイクと言われる、1885年にドイツのゴッドリーブ・ダイムラーが発表した車両(写真はレプリカ)。エンジンは264ccの4ストローク単気筒エンジン、フレームは木製です。サスペンションに相当するような緩衝装置は見られません。

1920年代になると、バイクにも徐々にサスペンションが採用されましたが、初期のサスペンションは椅子の下にバネを取り付けただけのものが多く、地面からの衝撃を吸収するのに十分な機構とは言えませんでした。

その後、サスペンションは着実な進化を遂げ、1970年代頃には前述のテレスコピック式フロントフォークが主流になります。

倒立サスペンションを採用するメリットは?

1970年代の「テレスコピック式フロントフォーク」とは、主にアウターチューブが車体の上(シート)側、インナーチューブが下(地面)側に位置する「正立サスペンション」のことで、これとは反対にアウターチューブが車体の上側、インナーチューブが下側に位置する「倒立サスペンション」が本格的にバイクに採用されたのは1980年代以降のことでした。

1990年にカワサキから発行された車両カタログを見てみると「89年にロードスポーツモデルとして国産量産車初の倒立フロントフォークを採用しデビューしたZXR400……」という記述があります。

250ccクラスのスポーツバイクとしては初めて倒立サスペンションを採用して1989年に登場したカワサキ ZXR250。なお国産量産車で初めて倒立フロントフォークが採用されたのはデビューが少し早かったZXR400(1989年)。

これ以降1990年代に入ると、日本国内のスーパースポーツタイプやレーサーレプリカタイプのバイクの多くに「倒立サスペンション」が採用されたのです。

一般的に、「倒立サスペンション」は「正立サスペンション」と比較すると作るのにコストが掛かるため、採用すると車両の販売価格も上がってしまう傾向にあります。

正立フォーク採用車の例。写真はスズキ GSX250R。
倒立フォーク採用車の例。写真はヤマハ YZF-R25。

それなのになぜ、あえて「倒立サスペンション」を採用するのでしょうか?
それは高い剛性を確保し、加えられた力に対して車体が一時的にねじれたり変形したりするのを軽減することでより安定したバイクの挙動を得るためです。

「倒立サスペンション」では、インナーチューブと比べて径が太いためにより頑丈なアウターチューブがステム(ハンドルの付け根のフォークを支える部品)に接続しているため、径の細いインナーチューブをステムと接続する「正立サスペンション」と比べると剛性面で有利なのです。

漫画●もるん まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実

次回予告&作品情報

次回更新は2021年9月24日(金)の正午を予定しております。

◎第38話:バイク乗りだけが知ってる挨拶「ヤエー」って何だ?

◎第37話:水冷と空冷はどう違う!? エンジンを冷やすシステムのお話
◎第36話:暑くて溶けちゃう!? 夏のアスファルトのお話

◎ニーゴーマン! 連載リスト

  1. 【STAR OVERALL DAX125】発売!約100年振りに復刻したオーバーオールから感じる「未来のヴィンテージ」

  2. 【限定モデル】最上級! 大型ツーリングバイク『Gold Wing Tour(ゴールドウイング ツアー)』が50周年記念の限定仕様でさらにゴージャスに!?

  3. Hondaの新たな電動スクーター『CUV e: 』が登場!走行性能と先進装備が充実!

  4. 50歳からライダーデビュー。エネルギッシュな女性ライダーが考える悔いのない人生

  5. 今から『GB350 C』をベタ褒めするぞ?気になってる人はご覧ください!

  6. 『Rebel 1100シリーズ』が熟成されて魅力度アップ。『Rebel 1100 S Edition』がタイプ追加!

  7. 大きなバイクに疲れた元大型ライダーが「Honda E-Clutch」で体感したある異変とは?「バイクの概念が変わりました」

  8. 【バイク初心者】本格的なバイク整備はプロに任せる!でもこの『3つ』だけは自分でもチェックできるようになろう!【バイクライフ・ステップアップ講座/3つのセルフチェック 編】【Safety】

  9. 【比較】新型『GB350 C』と人気の『GB350』の違いは?ざっくり10万円強も価格差……ちょっと高いんじゃない?と感じる人へ!

  10. 新型『NX400』ってバイク初心者向けなの? 生産終了した『400X』と比較して何が違う?

  11. ベテランライダーが『CBR650R E-Clutch』に乗って感じた楽しさ

  12. 定年後のバイクライフをクロスカブ110で楽しむベテランライダー

  13. CL250とCL500はどっちがいい? CL500で800km走ってわかったこと【ホンダの道は1日にしてならず/Honda CL500 試乗インプレ・レビュー 前編】

  14. 【王道】今の時代は『スーパーカブ 110』こそがシリーズのスタンダードにしてオールマイティー!

  15. 新車と中古車、買うならどっち? バイクを『新車で買うこと』の知られざるメリットとは?

  16. ビッグネイキッドCB1300SFを20代ライダーが初体験

  17. “スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

  18. 40代/50代からの大型バイク『デビュー&リターン』の最適解。 趣味にも『足るを知る』大人におすすめしたいのは……

  19. ダックス125が『原付二種バイクのメリット』の塊! いちばん安い2500円のプランで試してみて欲しいこと【次はどれ乗る?レンタルバイク相性診断/Dax125(2022)】

  20. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

おすすめ記事

通信ノイズがないからうれしい!! 会話の聞き取りやすさがNO.1なインカム「SYGN HOUSE B+COM ONE」 インカムの使用は「ながら運転」違反になる? ならない? ライダー人気アイテムの“間違った使い方” A.S.H.クオリティの真髄<#18> 「カブで全開!」粘度低下率ゼロという「A.S.H.(アッシュ)オイル」の実力を連続高回転で解析

カテゴリー記事一覧

  1. GB350C ホンダ 足つき ライディングポジション