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スタイリッシュなカウルをまとったスーパースポーツモデルを中心に、維持費のリーズナブルさや、だれでも気軽に乗れる車格も手伝って、エントリーユーザーからベテランライダーまで、幅広い層からに好まれている250ccクラス。
「そんなニーゴー(250cc)モデルを中心に、各社のバイクたちに意識があったら……」なんて“if”のお話。
今回はライダーと車体が地面から受ける衝撃を緩和してくれる心強い部品「サスペンション」のお話です。
作:もるん(@MOLN2RNG)
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「バイクの快適性を守る」サスペンションって何?
サスペンションとは路面からの衝撃を吸収し、ライダーやバイクへの影響を緩和する緩衝装置です。
現代のほとんどのバイクでは、車両の前方にフロントフォーク、後方にリヤショックと2種類のサスペンションがついています。
前方についているサスペンション=フロントフォークを「前サス」や「フォーク」、後方についているサスペンション=リヤショックを「リヤサス」などと略して呼ぶこともあります。
今回の漫画では、前方についているサスペンション=フロントフォークの形式について紹介しています。
現在(2020年代)主流になっているテレスコピック式のフロントフォークは、主にインナーチューブとそれよりひと回り径の太いアウターチューブ、車重を支えるバネという部品で構成され、チューブの中は「フォークオイル」と呼ばれるオイルが入っています。
バイクが路面から受ける衝撃に応じてインナーチューブがアウターチューブの中をピストンのように上下(伸び縮み)する作用と、オイルを押し上げたり押し下げたりする作用によって、路面からの衝撃を吸収しているのです。
ちなみに「テレスコピック式」という名前は、アウターチューブの中をインナーチューブが上下する様子が望遠鏡(英語でtelescope)のようだから、という理由で付いたそうです。
「バイク原始時代」にはサスペンションがなかった
今となってはバイクに欠かせないサスペンションですが、1910年代頃までの黎明期のバイクには基本的にサスペンションがありませんでした。
自転車……いわゆるママチャリと同じような構造だったのです!
1920年代になると、バイクにも徐々にサスペンションが採用されましたが、初期のサスペンションは椅子の下にバネを取り付けただけのものが多く、地面からの衝撃を吸収するのに十分な機構とは言えませんでした。
その後、サスペンションは着実な進化を遂げ、1970年代頃には前述のテレスコピック式フロントフォークが主流になります。
倒立サスペンションを採用するメリットは?
1970年代の「テレスコピック式フロントフォーク」とは、主にアウターチューブが車体の上(シート)側、インナーチューブが下(地面)側に位置する「正立サスペンション」のことで、これとは反対にアウターチューブが車体の上側、インナーチューブが下側に位置する「倒立サスペンション」が本格的にバイクに採用されたのは1980年代以降のことでした。
1990年にカワサキから発行された車両カタログを見てみると「89年にロードスポーツモデルとして国産量産車初の倒立フロントフォークを採用しデビューしたZXR400……」という記述があります。
これ以降1990年代に入ると、日本国内のスーパースポーツタイプやレーサーレプリカタイプのバイクの多くに「倒立サスペンション」が採用されたのです。
一般的に、「倒立サスペンション」は「正立サスペンション」と比較すると作るのにコストが掛かるため、採用すると車両の販売価格も上がってしまう傾向にあります。
それなのになぜ、あえて「倒立サスペンション」を採用するのでしょうか?
それは高い剛性を確保し、加えられた力に対して車体が一時的にねじれたり変形したりするのを軽減することでより安定したバイクの挙動を得るためです。
「倒立サスペンション」では、インナーチューブと比べて径が太いためにより頑丈なアウターチューブがステム(ハンドルの付け根のフォークを支える部品)に接続しているため、径の細いインナーチューブをステムと接続する「正立サスペンション」と比べると剛性面で有利なのです。
漫画●もるん まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実
次回更新は2021年9月24日(金)の正午を予定しております。
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