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バイク乗りの命とも言える運転免許。原付免許から普通二輪や大型二輪など排気量に応じて細かく区分が分けられています。当たり前ですが、バイクの免許だけを持っていても、クルマを運転することはできません。
しかし、逆にバイクを運転している時に受けた違反が、クルマや原付などほかの区分の車両の運転に影響を与えることはあるのでしょうか。
バイクの違反で「免許停止」「免許取消」になると他の乗り物も運転できない
結論から言うと、バイクを運転している時に取締を受けた違反で「免許取消」や「免許停止」になった場合、クルマや原付などほかの区分の車両も全て運転できなくなります。
もし普段からクルマ通勤をしている人が、バイクでのツーリング中にスピード違反で取り締まりを受け、「免許取消」や「免許停止」になったとしたら、徒歩や公共交通機関を利用して通勤しなければいけなくなるでしょう。
それだけならまだしも、バイク便やウーバーイーツの配達員はもちろん、タクシーやバスの運転手、トラックドライバーなど、公道の運転を生業にしている人は職を失ってしまうため、人生が大きく狂う可能性もあります。
もちろん逆もまた然り。クルマを運転している時に「免許取消」や「免許停止」を受けてしまうと、バイクの運転もできなくなります。
このように、違反点数の加算や行政処分は、運転する免許の区分に関係なく、運転者自体に科されるということを頭に入れておかなければいけません。
そもそも「免許取消」と「免許停止」はどう違う?
「免許取消」や「免許停止」は非常に重い処分であるため、できれば避けたいところ。では、この2つの処分は具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
● 免許取消(免取)……免許の効力を一切失う
● 免許停止(免停)……免許の効力を一定期間失う
一定期間制限される「免許停止」に対し、「免許取消」は運転免許を取得する以前の状態に戻ってしまいます。
両処分とも累積違反点数によって決定されるため一概には言えませんが、一般的に遡って3年以内に行政処分が無い状態で6点〜14点になると「免許停止」、15点以上で「免許取消」となります。
また「免許停止」の期間は最短30日から最長180日の期間であるのに対し、「免許取消」の欠格期間は最短1年から最長10年と非常に長く設定されています。
当然ながら失行期間の間は運転免許自体を所得することはできなくなるため、バイクに乗ることはもちろん、運転免許が必要なあらゆる車両の運転に関われなくなる手痛いペナルティを受けることになるのです。
ちなみに、もし免許停止・免許取消中にも関わらず、バイクやクルマを運転すると「無免許運転」となり、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。また、「無免許運転」は同乗者に対しても課せられる可能性があり、その場合2年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
ただし、同乗者の場合は、運転者が無免許だったことを知らなかったり、誘いを断れずに乗ってしまったというケースでは、罪に問われることはありません。
“煽り”や“酒気帯び”は一発で「免許取消」の可能性
非常に大きなペナルティを受ける「免許取消」の処分。累積点数が重なったり、前歴があったりすると科されてしまう可能性が高まりますが、中には一発で「免許取消」となる違反もあります。
例えば「酒気帯び運転」「麻薬等運転」、著しい交通の危険を伴う「妨害運転」は違反点35点、「無免許運転」や「過労運転」、交通の危険のおそれがある「妨害運転」、暴走行為などの「共同危険行為等禁止違反」、0.25以上の「酒気帯び運転」は25点と、どれも一発で「免許取消」となります。
バイクの場合、これらの中で最も身近なものとして「煽り運転」があります。前方の車が遅いからといって悪質に煽ると「妨害運転」とみなされ、一発で「免許取消」となる可能性があるのです。
「免許取消」で運転区分は全てリセット!! 再取得の際にはバイク、クルマ等別々に取り直さなければならない
「免許停止」の処分を受けた場合、課せられた免許停止期間、もしくは停止処分者講習を受けて短縮された免停期間を満了し、所定の場所で免許証の返還を受ければ、全ての運転区分で再び運転できるようになります。
一方で、「免許取消」の処分を受けると、全ての免許区分がリセットされてしまい、運転免許を取得する前の白紙状態に戻ってしまいます。欠格期間の間、運転免許を再取得することはできず、もし運転免許を再取得する場合は、欠格期間終了後に運転免許試験場や指定教習所で行われる「取消処分者講習」を受講しなければいけません。
「取消処分者講習」は免許の取り消し理由によって内容は異なりますが、受講料3万550円で、講習時間は13時間(2日に分けて実施)にも及びます。このように、金銭的にも時間的にも大きな負担となります。
また、仮にバイクの運転免許が再取得できたとしても、生活をする上でクルマが必要であれば、別途クルマの免許も再取得しなければいません。その他、大型二輪免許や大型免許、けん引免許、二種免許……等々の免許を持っていた場合でも、それぞれ新たに取り直すことになります。
安全運転を心がけるのが唯一にして最大の“対応”
ここまで見てきたように、バイクの運転中に「免許停止」「免許取消」になると、ほかの区分の車両も運転できなくなります。特に「免許取消」の処分を受けた場合、再取得するにしても、取り消し前の区分の運転免許は全てリセットされ、もとの状態に戻るには膨大な時間と費用が必要になります。
ただし、「免許取消」や「免許停止」は悪質な違反や事故の時に実施されるものばかり。普段から安全運転を心掛けている人であれば、さほど神経質に考える必要はありません。今回紹介したことを今一度頭の片隅に入れておき、引き続き楽しいバイクライフをお送りください。
レポート●モリバイク 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実