バイクライフ

カメラマン柴田のGB350日記#16 「おにぎりツーリングとターンパイクとGB350」

購入から1年経ちました

まずは8月以来、連載の更新がなかった言い訳から……。
9月にホンダ ダックス125を撮影中に右手親指を痛めました。転倒ではなく置き撮り(編集部註・車両全体や部分カットなど、動いていない車両の撮影)の最中に。小さなバイクだと油断してました。大反省です。
撮影はできましたが、ブレーキを握ると激痛が走るのでもちろんバイクに乗れません。それが治って来たころに、家でゴミ捨ての最中に今度は左手の親指を痛め、都合1ヶ月ほどGB350に乗れず。

GB350日記#6から。約1年前、納車されたときの記念カットです


真面目な話、この歳になるとつまらないケガも多くなるので、バイクに乗る時も気をつけるけど、バイクに乗るためにも普段の生活から注意しよう。という訳で9月は親指に巻いた絆創膏が恨めしい日々でした。
その分ケガが治ったあとは日帰りばかりですが伊豆へ行ったり、江ノ島に行ったりしていました。
あの10月初めの快晴が続いた日にたまらず伊豆の仁科峠まで「おにぎりツーリング」に行きました。実はその2日前にも箱根で撮影したばかりでしたが、余計にバイクで走りたいスイッチが入ってしまいました。
いつも通り新湘南バイパスから西湘バイパスというルートですが、この日は海がすごく綺麗。
神奈川県に住んでる自分が、「相模湾ってこんなにブルーだっけ?」と感動するくらい。
西湘バイパスで伊豆へ向かうと左車線が海側なんですが、ノンビリと海を眺めながらクルージング。なんせ左車線からは脇見をしなくても、目の前にはバーンと海岸線が広がっています。
この日は好天に誘われてかバイクが多かった。右車線をバイクがバンバン追い抜いて行きます。
いやー、この海をゆっくり見ないともったいないでしょ。こんな海が綺麗な日は滅多にないよ。しかもバイクで走りながら眺められるなんて。
今でも心の中に「CB1000Rとか買って、かっ飛ばしたいなあ」という、もう一人の自分が居ます。でもGB350に出会ったおかげでこうして海の青さも眺めるゆったりライドを楽しめている。
まあ、速い人ものんびりな人も、お互いに「自分のペースが楽しいし、あなたも楽しいとイイね」という余裕が欲しいです。
なんて原稿を書いてる今は思ってますが、走っているときは単純に「海が綺麗」としか思ってません。そしてそのときのGB350のエンジンの響きがまた良き。「アーッGBサイコー!」と思う瞬間です。

ターンパイクとGB350はジャストフィット

西湘バイパスは早川ジャンクションの工事が終了し、箱根ターンパイクに直結しています。
GB350で何度かターンパイクを走行していますが、実は全部下りルート側。意識して登りは避けていました。だって、全長約14kmで標高差約1000mという勾配のキツい山岳ルート。GB350の最高出力は20馬力(15kW)。登らないからギアをドンドン落として、2速とかになってギュィーンと唸ったりしたら困るでのずっと避けていました。でもこの日は天気も良いし、箱根ターンパイクで登ることに。
そしたらビックリ。
「GB350はターンパイクに合わせて作ったんじゃないの?」っていうくらいジャストフィット。
まあアクセルはおおむね全開です。4速だと全開だけどあまり増速しないから、ずっとフルスロットルな感じ。3速だと吹け上がって加速し始めるけど、4速だとバババっといったままジェントルな速度をキープしやすい(もちろんときどき勾配によって加減速するから注意)。

おにぎりツーリングで伊豆へ。あまりにも楽しかった箱根ターンパイクの登り。ついつい走るだけに集中しがちですが、落ち着くためにひと息入れた展望駐車場。素通りするにはもったいないほどの絶景。自分の好きな停車スポットの一つです。この日は伊豆七島も良く見えてました

箱根ターンパイクは中盤から見通しの良い半径の大きなコーナーになります。そこをバババッと言わせながらアクセル全開で駆け抜ける。
「ああっ、道と空とGBと自分」。
この日2度目の「GBサイコー!」の瞬間。もはや快楽状態です。もっと早く箱根ターンパイクの登りを走っておけば良かった。走行料金以上のお得感です。
GB350はこういう時に全開でも増速が穏やかなので、加速して曲がり切れなくなる心配がない。しかもジェントルな速度とはいえ緩いコーナーでも車体はバンクしてますから、それなりにコーナリングを楽しめ、コーナー入り口から出口まで快楽状態が長くキープされます。今までいろんなバイクでターンパイクを走りましたが、ほかのバイクでは味わえない楽しさでした。

こちらは伊豆スカイラインの滝知山の駐車場。これまた眺めの良いポイント。これは写真撮影の基本なんですが、太陽を背にして撮影したほうが空もバイクも綺麗に写ります。特にGB350の赤は日当たりの角度で色味が変わります。この写真の太陽は斜め後ろ。ほかの写真と比べてみてね

途中で快楽に溺れそうになり。あえて景色撮影のためにストップしましたが、その後はもう大観山駐車場にも寄らずいきなり伊豆スカイラインです。料金ゲートを潜って最初の駐車場の滝知山前でネズミ捕りをしていて、危うく楽しいツーリングが台無しになるところでした。でもGB350のゆったりライディングでそこも難なくクリア。
途中のお気に入りポイントで写真を撮って、亀石峠ICから一般道に降りて、修善寺を通って、西伊豆スカイラインへ。さらに南下して仁科峠まで一気に走りました。
撮影ではお馴染みの場所なので地図なしで迷わず走れます。もはや仕事場的感覚。なのに自分のバイクで走ったのは10年ぶりかも。

この日は1日中、雲のない大快晴でした。西伊豆スカイラインのヘアピンコーナーでも記念撮影。南アルプスまで見える大パノラマ。一方、駿河湾は深度2500mなので富士山の頂上から見たら6500mの高低差。

ワインディングでライテクごっこ

タイトルの写真は伊豆スカイラインの玄岳駐車場で撮ったんですが、カメラを持つとシャッターが止まらないのがカメラマンの習性。ここで突然ですがひとりで「俺のGB350の好きなトコ」撮影会開催です。一番好きなのはもちろんエンジンフィーリングですが、ここでは主に外観で好きなところを撮りました。GB350開発者インビューの記事を再読しながら見ていただけるとうれしいです。

突然ですが「俺のGB350の好きなトコ」撮影会開催。最初にGB350の実車を見た時から大好きなタンクの上からの造形。横から見ると少しぽっちゃりしてますが、上から見ると絞り込まれていくラインの美しさに惚れ惚れします
これは開発エンジニアの方に教えてもらったアングル。フレームのインナーピボット構造によって斜め後ろから見たときに遮るものがなく、空冷エンジンがよく見える。ライダー目線も設計に影響してるなんて、さすがGB350です!
自分としてはエンジン形状にはそれほど萌えはないんですが、フレーム内にまっすぐ立つように設計されていることに感激。普通のエンジンよりもクランクケースの前部分が長く、そのおかげでフレームの中の空間にズドーンと直立したシリンダー。オフセットクランクもそれに寄与してます
自分のツボのひとつがこのマフラー。自分の青春時代のバイクを彷彿させるメッキでちょい上向きなメガホン型。今時バイクなのに箱型膨張室はなし。エキゾーストパイプ部分をそのままマフラーエンド近くまで伸ばした凝った内部構造から出る排気音も好き
実はこのテールランプも初見の時から好き。丸と四角を組み合わせた形状がホンダのクラシックバイク風なのに現代的なLEDランプ。他人のGB350の後ろにつくときはこのテールランプをガン見してます。メッキカバーなのもグッド

【GB350開発者インビュー】
ホンダ GB350開発陣の姿勢は、NSR250RやRC30と同じだった?


さて走行再開。伊豆スカイラインも西伊豆スカイラインも、山の尾根を走る極上に気持ちの良い道です。景色は良いし、見通しの良いコーナーが多いし、空いてるし。ところが慣れて来たせいか調子に乗ってコーナーに突っ込んで行ってしまう。何かそういう気持ち良さと危うさがあって、自分のリミッターをONにしないといけない。言い方を変えると20馬力のGB350だってそこまで走るってこと。

具体的にはコーナーでブレーキが間に合わず「おっと」という場面がやってくる。箱根ターンパイクの登りが急なので、全開で走っていても増速しないし、突っ込みすぎる心配もない。なので快楽度でいうと箱根ターンパイクが一番楽しかった。
伊豆スカイラインでは少し落ち着いてコーナー手前でコーナーの深さを観察しつつ、ブレーキがいらないくらい手前でアクセルOFF。緩いエンブレで十分減速しつつコーナーを回って行きました。

そんな緩いコーナーリングでも退屈はしないです。YouTubeのライテク動画を思い出しながら走ったり。「ハンドルに力入ってるなぁ」なんて気づきもあり。
さらにKRS柏秀樹さんのところに取材撮影にうかがった際に知ったセンターキープメソッドにトライしてみたり。ステップ擦ったら自分の負けとルールを作って走ったり。

たくさんライテクの撮影取材をしてきましたが、頭脳的かつ積極的運転で公道での事故を未然に防ぐことを大事に教えている印象がありました。ほかにこんな感じのライテクスクールは無いかも。タイヤは滑りませんが講師の柏秀樹さんのダジャレが滑りますので注意してください(笑)
https://kashiwars.com

この辺はもうおっさんの「ひとり走りドーパミン症状」なので、放っておいてください。
何が言いたいのかというと20馬力のGB350でもワインディングが楽しいですよってこと。ゆったり走りだからこそできることはたくさんあるし、この日だけでもライテク的な楽しさがあった。

この日の目的地、仁科峠の西天城高原駐車場に到着。自宅から約130km。往路は写真を撮っていたので4時間半ほどかかってます。飛ばさなくても往復ずっと楽しいGB350。最高の相棒です

お昼過ぎに目的地の仁科峠に到着。ベンチで牧場と海を眺めながらおにぎりを食べました。実はこれがメインイベント。絶景を独り占めにして、この日の3度目の「アーッGBサイコー!」です。名付けて「おにぎりツーリング」。「走り」も楽しいんですが、一番の楽しみはお気に入りの場所で食べる「おにぎり」というバランス感覚で(笑)。

眼下に広がる牧場と駿河湾を眺めながらいただくおにぎり。GB350サイコーです。この日のおにぎりは突発ツーリングだったので、ファミリーマートの梅おむすび。次回は自作おにぎりを持っていきたい。あなたはどんなルートでどんなおにぎりを食べてますか?

お昼も食べて、そろそろ帰る時間です。
ちょっとイメージして欲しいんですが、自宅を出てから仁科峠までずっと楽しいGB350。帰りも自宅までずっと楽しいまま。GB350は一般道でも楽しいという話は以前もしましたが、何かを我慢しなくちゃいけないシーンがないです。しかもワイディングは快感まみれ。
「GB350を買って良かったぁ」と心から思います。ではまた。


カメラマン 柴田直行
モーサイや月刊モーターサイクリストでも撮影しているプロカメラマン。
バイク雑誌を中心に30年以上に渡って撮影活動を行なっている。子育て時期とデジタル化の波を同時に被ってXR250を手放したが約8年ぶりにリターン。50歳代のバイクライフをGB350と共に再スタート。
https://www.shibaphoto.com/
https://www.instagram.com/shibaphoto/

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