バイクライフ

【元警察官】に聞く「交通違反を裁判で争いたいとき、取り締まり現場で押さえておくべき証拠とは!?」

取り締まりが納得できないなら裁判!そのためには現場の証拠を確認・記録!

身に覚えがない交通違反を疑われたとき、あなたならどうしますか?

「どうせ反論しても聞く耳をもってくれない」とあきらめてしまう方も少なくないようですが、シロなのに「クロだ!」という指摘は許せるはずもないので、徹底的に争う姿勢を示すのは当然でしょう。

指摘された違反について納得できない場合は、違反切符への署名・押印を拒否し、交通反則通告センターに出頭して事情を説明したうえで警察と争うという流れになります。

警察官や検察官による取り調べ、裁判官による審理を経て「シロ・クロ」がハッキリするわけですが、違反がなかったことを証明するには証拠集めが欠かせません。裁判で争うために運転者としてしっかり確認・記録しておくべきポイントを挙げていきます。

「自分の位置と、警察官の位置」を記録しておく!

目の前に警察官やパトカーが出てきたその瞬間、それぞれがどの位置にいたのかを覚えておきましょう。

その瞬間、目に入ったものなら何でも構わないので目印を記憶しておき、記録に残してください。

「真横に標識があった」「停止線の〇メートルくらい手前だった」「クルマから牛丼屋の看板が見えた」「警察官は自販機の陰から出てきた」など、どんな情報でも構いません。これらの情報は、自分と警察官の「位置関係」を示す証拠になります。

警察官がどの角度、どの程度の距離から違反を現認したのか、自分から標識や信号が十分に視認できる位置に設置されていたのかなどを客観的に証明する情報になるので、しっかりとチェックしてください。

なお、この点は警察側もかならず証明してくる点です。都合が悪い点があれば警察の主張と自分の記録に食い違いが生じるはずなので、大きな争点になる可能性もあるでしょう。

「違反を指摘された日時」を記録しておく!

違反を指摘された日時も非常に重要です。とくに時刻は正確に記録しておきましょう。

日時の正確な記録は、自分の視野や警察による現認状況の証明にも影響します。

たとえば、局地的に短時間のゲリラ豪雨が発生していたという状況があった場合は「雨天で視界が悪いのに、警察官は正確に違反状況を確認できたのか?」という追及の材料になるでしょう。また、当時の目撃者を探したり、防犯カメラなどの記録を探したりする際にも役立ちます。

「ドラレコによる撮影データ」を上書き前に保全しておく!

ドライブレコーダーを装備している場合は、記録の保全も必須です。

通常、交通事故のように一定の衝撃が加わったときの映像は上書きを防ぐために別のフォルダへと記録されるシステムが搭載されています。10件程度の事故は上書きされずに保存されるので、よほど危険な運転を繰り返していない限りは安心です。

しかし、交通取り締まりでは衝撃もなく通常のフォルダに記録されてしまうので、SDカードやハードディスクなどの容量がいっぱいになると上書きされてしまいます。

ドラレコの映像は「違反をしていない」という何よりも有力な証拠になるので、納得できない取り締まりを受けた際はすぐに安全な媒体にデータを移して保全しておきましょう。

「現場を見ていた第三者の供述」を収集しておきたい!

自分と警察官の主張が食い違う場合は、当時の状況を目撃していた別の誰かの意見が重要になります。

自分自身は「違反ではないから処分を受けるのは不当だ」と主張し、警察は「間違いなく違反していたのだから処分されるべきだ」と主張しているのだから、自分と警察はお互いの利益が反発しあう立場です。

そして、利益が反発しあっている状態では「自分にとって都合がよい主張をしている」と疑われやすくなります。

ここで何の利害関係もない第三者が客観的な供述をしてくれれば、きわめて信用性の高い情報として評価される可能性が高いでしょう。その場を通りがかっていた人などが協力的な姿勢を示していたなら、連絡先だけでも交換しておくと役に立つかもしれません。

ただし、第三者の証言が自分にとって有利にはたらくとは限らないので注意が必要です。自分にとって都合が悪い目撃証言が飛び出してきても、「黙っておいてほしい」とお願いしたり、嘘の供述を依頼したりといった行為はさらなる不利を招きます。

交通違反についてしっかり争いたいと考えるなら、弁護士に依頼したほうが安全です。ただし、当時の証拠や証言は、その時、その場にいた自分が積極的に動いて集めておかなければならないので、できる限り自分で正確な記録を残すように心がけてください。

レポート●鷹橋公宣 写真●飯田康博

鷹橋公宣 たかはし きみのり
鷹橋公宣

元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。

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