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「どうせ取り締まるなら、『悪質な違反』をもっと厳しく取り締まって」という意見が多い
市中で頻繁におこなわれている取り締まりといえば、一時停止違反、シートベルト不着装などが代表的でしょう。たしかに、交差点事故を防いだり、万が一の事故の際に生命を守ったりするためにはこれらの取り締まりには大事な意味があります。
しかし、実際に取り締まりを受けた方からは「こんな軽微な違反じゃなくて、もっと悪質な違反を厳しく取り締まってくれよ!」という意見が挙がっているのも事実です。
今回は、過去に公開された交通関連の記事に寄せられたコメントのなかから「もっと厳しく取り締まったほうがいい」という意見が多かった交通違反をピックアップしていきます。
「あおり運転」……もっとキビシク!第1位
もっとも取り締まりの要望が多かったのは「あおり運転」です。
令和2年6月に「妨害運転罪」が創設されたことで取り締まりの強化が大いに期待され、実際に危険なあおり運転容疑で検挙された事例が報道されています。
しかし、実際にはあおり運転を受けている最中に警察に通報しても、警察官から「先に行かせてやり過ごして」と言われるだけだったり、情報提供だけで終わったりするケースが少なくないようです。
コメントのなかでも「あおり運転を放置するな!」という声が多く、警察の対応にも「もっとマジメに取り締まれ!」という厳しい意見が目立ちました。
あおり運転は、著しい交通の危険を生じさせれば5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる重罪であると同時に、人命を脅かす危険な行為です。警察には、通報を受けた際の迅速な対応や徹底した検挙が望まれています。
「スピード違反」※死亡事故につながるような危険な高速度……もっとキビシク!第2位
取り締まりの方法や基準などに批判が多い一方で、もっと取り締まりを強化してほしいという声も挙がっているのが「スピード違反」です。
スピード違反の取り締まりについては「コソコソ隠れて取り締まりをするな」「直線の下り坂みたいなスピードが出て当然の場所で取り締まるのは卑怯だ」といった取り締まり方法についての批判が挙がっています。また「何キロオーバーから切符を切るのかハッキリしてほしい」といった取り締まり基準に関する批判もあり、取り締まりの不透明さに不満を感じている方も多いようです。
しかし、スピード超過が重大な事故につながるという認識は広く浸透しており、もっと取り締まりを強化するべきだという意見も少なくありません。とくに、いくら道幅が広い道路とはいえ高速道路のように高速度で運転するクルマや、通勤時の抜け道として生活道路を爆走するクルマへの批判が目立ちます。
取り締まりは、やりやすい場所よりも、危険性が高い場所を選んで行ってほしいと願われています。
「スクールゾーンの時間帯通行禁止違反」……もっとキビシク!第3位
歩行者の安全確保という点で「スクールゾーンの時間帯通行禁止違反」にも取り締まり強化を望む意見が集まっています。
子どもが学校などに通うために通行が規制されているのに、大通りが渋滞するから、こっちのほうが早いからといった自分勝手な都合で規制を無視するドライバーに怒りを感じている方は多いようです。コメントの中には「管轄の警察署に取り締まり強化を依頼しているのに、まったく動きがない」といった不満をあらわしたものもありました。
集団登校をしていた小学生の列にクルマが突っ込んだといった事故もたびたび報じられているので、近隣住民や保護者の方が取り締まりの強化を望むのも当然でしょう。
「スマホのながら運転」……もっとキビシク!第4位
スマホを操作しながらなどの「ながら運転」も、取り締まりを強化したほうがいいという意見が多い違反のひとつです。
いわゆるガラケーと呼ばれる機種が普及していたころは、おもに耳に当てながらの通話が取り締まりの対象となっていました。この時代は「ちゃんと前は見ているし、大して危なくないのに」と取り締まりに不満を漏らす方も多数でしたが、スマホが普及しはじめてからは動画・ゲーム・マンガといったコンテンツに目を奪われながらの運転になっており、もはや前なんて見えていません。
また、スマホのながら運転は「自転車でもNG」というルールが広く浸透しており、自転車での違反も積極的に取り締まってほしいという意見が目立ちました。
「バスレーンの違法通行」……もっとキビシク!第5位
しっかりと取り締まってくれないと不満も不公平感も強いのが「バスレーン」でしょう。
通勤ラッシュの渋滞の列を後目にバスレーンを突き進んでいくクルマを見ていると「あれで切符を切られないのならみんなバスレーンを走りたいよな」と苛立つはずです。1台がバスレーンを突き進むと「みんなでやれば怖くない」の精神でずらずらと違反車が並んでしまい、そこに警察がとつぜん現れると急な車線変更で逃れようとする輩もいるのでかえって危険という難しさがあります。
バスレーン違法通行の取り締まりは不定期ながらも全国で実施されていますが、規制を緩和する地域も増えており、取り締まりの熱量が全国一律とはいかないようです。
警察には、いきなり取り締まりをするのではなくある程度の実地調査を踏んでもらい、本当に必要な路線での取り締まり強化を望みたいですね。
レポート●鷹橋公宣

元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。