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止められても切符処理されないことも。そこにはどんな言い訳があったのか?
交通取り締まりをしている警察官に停止を求められて「違反ですよ」と告げられ、アレコレと説明をしたところ……「まぁ、今回は切符を切らないから今後は気を付けて」と注意されるだけで済んだ経験はありませんか?
現場の警察官には「指導」として切符処理をせず注意・警告で済ませる権限があるので、切符処理が妥当ではないと判断されれば指導で済むかもしれません。とはいえ、ただ「はい、すみません」と神妙にしているだけでは切符処理されるのがオチです。
当記事では、意外と通用する可能性のある有効な言い訳を紹介していきます。
「家族が急病なんだ!」……言い訳その1
急な報せを受けて焦っている状況だと、ついスピードが出すぎたり、標識や標示を見落としてしまったりするものです。とくに家族の急病や危篤の報せを受けたときは、一刻も早く病院へ急ぎたいという心情になるのは仕方がありません。
もし本当に緊急事態に直面しているなら、その状況を説明すれば「それは急いだほうがいい」と指導だけで済ませてもらえる可能性もあるでしょう。
ただし「大変な状況だから急いで切符処理しますね」と話が通用しなかったり「念のために連絡先を控えるので、あとで落ち着いたら警察署に出頭して」と求められたりすることも。
もちろん「デートの時間に間に合わない」とか「会議に遅れそう」なんて事情はまったく通用しません。
「いまそこで注意を受けたばかりだぞ?」……言い訳その2
現場の警察官同士では、いま誰がどこで取り締まりをしているのかを把握していないことがあります。とくに警察署の管轄が違うと、大きな事件が起きて緊急配備が敷かれているのでもない限りほとんど連携はないので、注意を受けた直後に別の場所で別の警察官から停止させられるケースもめずらしくありません。
「いまさっきも同じ注意を受けたぞ?」と言い訳をすれば「そうなんですね」とスルーされる可能性がありますが、通用するのは「すぐにはどうにもならない違反」だけです。たとえば、ブレーキランプの球切れや免許不携帯などの違反ならほぼ「ちゃんとしてね」で済まされるでしょう。
もちろん、携帯電話使用、シートベルト不着装などでは通用しないし、同日中に同じ違反をしていれば「懲りないな」と厳しく対応してくるかもしれません。
また、整備不良は免許の裏面に確認日時を記入されることがあるので、確認されてしまうとウソならばバレてしまいます。
「標識がみえづらいぞ!」……言い訳その3
街路樹がジャマで標識が見えにくかった、逆光で信号機が見えなかったなどの状況でも、警察官は容赦なく切符を切ろうとします。
本当に標識などが見えにくい状況にあった場合は、標識が効果を発揮するだけの適切な被視認性がなかったことになるので「標識が見えづらいぞ!」と指摘すれば注意だけで済まされる可能性が高いでしょう。
ただし、運転者側の単なる注意不足による見落としでは通用しません。周囲の車が標識に従ってルールを守っているなら、自分だけ「見えにくかった」と主張しても相手にしてもらえないでしょう。
「このくらいで切符きるのかよ?」……言い訳その4
大した違反ではないなら「このくらいで切符を切るのかよ?」と言い訳したくなる気持ちは理解できます。
一時停止を「ピタっ」と止まったわけではないけど十分減速したし周囲にクルマや歩行者もいなかったから危険はなかったとか、シートベルトを着けていなかったけど車を発進させてまだ数十メートルだったなんて状況だと、「もっと危険な違反を取り締まれよ!」と文句を言いたくなるものです。
法律に照らせば「違反は違反」で間違いありませんが、取り締まりがあまりにも妥当ではない程度なら「このくらいで」と言い訳をすれば指導だけで済むかもしれません。
交通取り締まりには「ここからは切符処理が妥当」という非公開の基準があるので、基準ギリギリの内容ならかなり有効な言い訳です。ただし「ここからは切符処理」という基準はどこにも公開されていないので、通用すればラッキーくらいに考えておいたほうが無難でしょう。
「前にここで同じ違反をしたけど、注意だけだったぞ?」……言い訳その5
実際の取り締まりの現場でもよく登場するのが「前にもここで同じ違反をしたけど、そのときは注意だけだったぞ?」という言い訳です。
たしかに、前回が注意だけだったなら今回も注意だけにしてくれてもいいのに、と考えるのもおかしくはありません。
「前にも取り締まりを受けたのだから、その後は気をつけるべきだ」という指摘で返り討ちにあうかもしれませんが、経験が浅い警察官だと話は別です。
「先輩方がなにか切符処理できない理由があると判断したのかも……」と疑心暗鬼になって、「右に倣え」で指導だけになる可能性があります。
言い訳が通用したら、そのあとが大切
ここで挙げた言い訳は、どれも「確実に取り締まりを回避できる」というものではありません。
そもそも「このワードを出せば切符を切られない」なんて魔法のような回避方法は存在しないので、今回紹介した言い訳でも通用すればラッキーです。
ただし、うまくその場を指導だけで切り抜けられたとしても、そのあと同じような違反を繰り返しているようでは意味がありません。
くれぐれも、言い訳が通用したことを成功体験にせず、繰り返し取り締まりを実施しているようなポイントの周辺ではいつも以上に気を引き締めて運転するように心がけましょう。
レポート●鷹橋公宣
元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。