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ヤマハ MT-03の燃費を実走チェック「無給油で航続400kmオーバーは余裕!?」

この記事では、アップライトな乗車姿勢で乗りやすい320ccのロードスポーツ、ヤマハ MT-03を、実際に日帰りツーリングに持ち出して検証した燃費中心にレポートします。

MT-03。エンジンは320ccの水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ。価格は65万4500円。

高速道路走行も余裕! 320ccの実力

まずは燃費について語るうえで基本となる情報を紹介しておきましょう。
ヤマハ MT-03のエンジンは320ccの水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブで、タンク容量は14L、燃料はレギュラーガソリンが指定されています。

ヤマハが公表しているMT-03のカタログ燃費は27.6km/L(WMTCモード値)なのですが、今回行ったテストでは、平均燃費が30km/Lを超えました。

さて、実際に乗ってみるとまず驚くのが、高速道路での快適性です。
250ccまでのバイクが「軽二輪」で、251ccを超えると「小型二輪」となり、車検が必要になったり軽自動車税の金額が上がったりする中で、MT-03の320ccという排気量は中途半端であるように感じられます。

250ccまでの「軽二輪」でツーリングをする際に不安に感じるのが、高速道路走行です。新東名高速道路の120km/h上限区間などでは常に一番高いギヤでアクセルを回し続けなければいけない場面も多く「精一杯」な感じになってしまうことも。

ところが320ccのMT-03では、6速だと5〜6000回転くらいで100km/h台を維持することができ、振動もなくエンジン音も安定しているので「もう少しスピードを上げても大丈夫そうだ」という余力を常に感じたまま上限120km/hの高速道路も走り切らせてくれます。

強いてMT-03で高速道路を走る際の不満点を挙げるなら、高めのバーハンドルを採用していて乗車姿勢がアップライトになるゆえに、走行風圧を感じやすいところでしょうか。長距離を走っても腰が疲れにくいのは最高なのですが……。

もっとも、同じネイキッドでアップライトな乗車姿勢でも、250ccのバイクで高速道路を走る際には、速度維持に「精一杯」で走行風圧まで気が回らなかったので、70ccの排気量差が気持ちの余裕を生んだ……とポジティブに解釈することもできそうです。

また、MT-03のシート高は780cmで、同クラスのモデルと比較するとやや低めです。シートも角が落ちていてまたがりやすい形状のため、身長159cmの筆者でも足着きに不安を感じる場面は少ないように思いました。

さらに兄弟車で250ccのMT-25と車体が共通のMT-03は、車両重量も169kgと、小型二輪車(251cc以上)クラスのモデルの中ではかなり軽い部類です。取り回しがしやすいのも魅力のひとつとなっています。

つまり、MT-03は250ccクラスのコンパクトさと扱いやすさを維持したまま、小型二輪(251cc〜)のパワフルさの鱗片も味わうことのできるバイクと言えるのではないでしょうか。

159cm50kgの筆者がMT-03にまたがった状態。片足をペダルに乗せた状態では、反対の足が土踏まずの手前まで接地します。
片足停車時の場合、かかとの浮きは7cmくらいでした。
両足停車でもつま先が全て地面に着くので安心感があります。

千葉県を日帰りツーリング、約390kmを走って使ったガソリンは12.28L

日帰りツーリングの総走行距離は390.1kmでした。

今回の燃費テストでは、ガソリンタンクが満タンの状態で神奈川県川崎市を出発し、千葉県銚子市のライダーズ神社「海上八幡宮」などをめぐる日帰りツーリングを行いました。
総走行距離は390.1kmで、往路復路はともに首都高速道路、東関東自動車道を始めとする高速道路(自動車専用道路を含む)を使用し、高速道路の走行距離は約130km、街巡りでは約260kmの一般道を走りました。

全体的には道が空いていたため、高速道路では平均時速80km/h、一般道では平均時速40km/hほどで走行でき、渋滞にはまる場面もありませんでした。

約390kmの実走テストを終え、ガソリンスタンドで給油してみると、入ったガソリンの量は12.28Lでした。MT-03のガソリンタンク容量は14Lなので、残量は1.72L。390km走ると、満タン状態から9割近くの燃料を使うということが分かります。全行程での燃費は390.1÷12.28で31.8km/Lとなりました。

ヤマハが公表するMT-03のカタログ燃費は27.6km/L(WMTC値)なので、これを4km/L以上も上回る結果が出たことになります。

これらのデータから燃料タンク満タンで走れる「推定航続距離」(タンク容量×燃費)を考えると、MT-03は1回の給油で445.2kmも走れる計算になります。

ツーリング中に立ち寄った千葉ポートタワー(千葉県千葉市)
ツーリング中に立ち寄った海上八幡宮。2022年から千葉県で4社目の「ライダーズ神社」になりました。
ライダーズ神社である海上八幡宮にはライダー向けの「鉄馬御守」も(700円)。

下道快走路で特に燃費性能を発揮

また、高速道路(自動車専用道路を含む)と一般道でどのくらい差があるのでしょうか。こちらは、メーターについている平均燃費計を使った区間燃費を紹介します。燃費計の数値は各区間ごとにリセットしたものとなります。

まず高速道路区間は、東京都世田谷区の首都高速道路用賀ICから千葉県香取市の東関東自動車道佐原香取ICまでの107km。渋滞にはまることもなかったので、平均時速80km/h〜100km/h程度を維持しながら走ることができました。この区間の燃費計数値は29.2km/Lでした。

全行程での実測平均燃費31.8km/Lと比べると、若干燃費が悪くなった印象を受けますが、これは筆者のギヤ選択が悪かった(トップギヤの6速ではなく5速を多用した区間があった)の原因にあると思います。

一般道は、千葉県銚子市の海上八幡宮から千葉県市原市の「奈良の大仏」までの約120km。途中で観光地や食事処に立ち寄りながらの計測となりましたが、渋滞もなく巡航時の平均時速としては50km/h程度を維持しながら走ることができました。この区間の燃費計数値は32.8km/Lでした。
この区間だけで見てみると、カタログ燃費27.6km/Lを5km/L以上も上回っています。

MT-03のメーターは瞬間燃費、平均燃費を表示することができます。一般道約120kmでの平均燃費数値は32.8km/Lでした。

ヤマハ MT-03(2021年型)燃費調査結果

総走行距離:390.1km
使ったガソリン量:12.28L(タンク満タン容量の約88%)
平均燃費:31.8km/L(実測)

高速道路燃費:29.2km/L(平均燃費計数値)
一般道燃費:32.8km/L(平均燃費計数値)

ヤマハ MT-03主要諸元

【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク68.0mm×44.1mm 圧縮比:11.2 総排気量320cc 最高出力31kW(42ps)/1万750rpm 最大トルク29Nm(3.0kgm)/9000rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】全長:2090 全幅:755 全高:1070 ホイールベース:1380 シート高780(各mm) 車両重量:169kg タイヤサイズ:F110/70R17 R140/70R17 燃料タンク容量:14L
【価格】65万4500円

レポート●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●ヤマハ/モーサイ編集部

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