バイクライフ

カメラマン柴田のGB350日記#13 「タイヤ交換とヒラヒラ峠道とスポーツスター883体験」

ブリヂストン BT46にタイヤ交換

皆さん、こんにちは。カメラマンの柴田です。
モーサイ読者の方はご存知でしょうが、自分のGB350のタイヤを交換しました。オドメーターはまだ3000km弱なので磨耗しての交換ではありません。
編集さんから「GB350ってタイヤの選択肢が少ないですけど、純正以外のタイヤのテスト記事をしたら、他のオーナーさんも気になるんじゃないでしょうか」という企画提案があり、ブリヂストンさんからテスト用を提供していただきました。ありがとうございます。

GB350が早めに納車された方でもまだ1年くらいのはず。タイヤ交換をしたオーナーさんは少ないと思いますが、タイヤ交換の際、あるいは「GB350の走りを変えてみたい」というに参考にしていただければ幸いです。

すでにプロのテスターである中村友彦さんのインプレッションはモーサイに上がっております。さすが中村さんの知識と分析力が溢れる記事ですので、ぜひご一読下さい。ちなみに自分の印象も中村さんとほぼ一緒で自分的にも安心しました。

純正タイヤはダンロップ・アローマックスGT601。今回テストの為に交換したのはブリヂストン・バトラックスBT46。どちらもツーリング向けのタイヤですが、それぞれのメーカーのウェブサイトを見るとGT601の方がスポーツ寄りな印象に見えます(実際の印象は逆でした)。


GB350純正タイヤ・ダンロップ GT601

フロントは100/90-19でリヤは130/70-18。ちなみにフロントの同サイズ市販用GT601はVレンジのみで、純正はHレンジと専用タイヤ。VレンジやHレンジは速度記号でそのタイヤが走れる最高速度(Hは210km/h、Vは240km/h)を示している。

ブリヂストン BT46

カワサキ W800もフロント19インチ、リヤ18インチなんですがリヤのサイズが微妙に違っていて、GB350がリプレイスできるタイヤの種類は意外と少ないです。ルックス的にはGT601の方がスポーツっぽいのですが……。


今回のテスト以前の自分的タイヤ選びは「スポーツバイクじゃないので、パターンのルックスがバイクに似合ってればそれでいい」くらいに思っていました。猛反省です。
皆さんもモーサイ等の記事を参考に、しっかりと性能重視でタイヤを選ばないと、その後のバイクライフに大きく影響するかもしれません。それがわかったことが今回の大きな収穫でした。

テスト当日は自分も中村さんもバイクでレーシングマックス府中店に伺い、タイヤ交換していただきました。好天のテスト日和の中、まずは自分がGB350に乗ってテスト走行撮影に向かいました。自分が感じるGB350の数少ない不満が、路面の段差(マンホール等)通過時にハンドルに感じる「ガツッ」というショック。走り出してすぐにこの「ガツッ」がかなり減っているのに気がつきました。「こういうのもタイヤが影響するんだな」といきなりBT46が好印象。

さらに中村さんの案内でワインディングに入っていくと「おーっ!スーと傾くし、曲がるぞ」と驚きます。何で驚くかと言うと、それまで一般道も高速も直進時は粘りというか安定感のある印象。正直言うと自分にはあまりGT601との差が感じられませんでした。なのにコーナーに入る際に傾けようとするとスーッと抵抗なしに傾きます。GT601で必要な、積極的なバイク操作は必要ありません。この寝かし始めの粘りが2つのタイヤがまったく違う所でした。

さらに深い旋回が連続するS字コーナーの切り返しなんか「右へスーゥ」からの「左へスッペッターン」と、もはや快感です。中村さんも言ってましたが、まさに単気筒車ならではの「ヒラヒラ感」です。ワインディグでペースを上げた中村さんについて行けたのもこのBT46のおかげ。
以前乗ったGB350Sよりもスイスイ曲がります。自分の感想で言うとそのスイスイとGB350のまったりエンジンの組み合わせが絶妙に楽しい。GB350でワインディングが好きな方にはBT46が本当にオススメです。

テストライダーの中村友彦さん。他誌ですが長くコンビを組んで撮影をしてきました。クラシックバイクの試乗経験や知識も豊富。中村さんもBT46によってGB350が「むちゃくちゃ曲がる」のは意外だったようです。
東京の府中街道沿いにあるレーシングマックス府中店で交換していただきました。久下さんのテキパキ作業と知識の深さに関心。任せて安心なプロのお店。〒183-0045 東京都府中市美好町1丁目22-8 TEL:042-362-1819 
右に左に軽快な切り返しが快感なBT46。気持ちいいからついついスイスイと走ってしまうBT46。もはや自分が欲しい以上のコーナーリング性能。あと必要なのは自分の自制心です。

コーナー抜けたら「バナナの皮」があるかもよ

いったん元に戻って純正タイヤのGT601の乗り味についてです。GB350は普通二輪と言うよりもアクセルを開けてないときの大型バイクみたい感じなんです。車重は軽いんですが走りに重量感があって、乗り応えのある粘りや安定感が自分好みの特性。バイクに乗るときにリラックスしたい自分には大事な部分です。

GT601はコーナーでの寝かし始めに粘り感があって、BT46に比べると自分の積極的なバイク操作が必要な感じ。これはちょっと大げさ表現で、実際にはその操作が楽しいのでネガに感じていません。自分の操作以上に傾いて行くことが無いなので、コーナリング中の安定感にも繋がり安心です。でもコーナーの中ほどでさらに寝かしたり起こすときにはまた積極的な操作が必要です。

自分ではサーキット走行はしませんが、レースなどサーキットで撮影する機会は多いです。サーキットにはコーナーごとにオフィシャルさんがいて旗を振ったり、転倒後の対処をしてくれます。実はそれだけではなくて、走行前後で路面に部品や異物が落ちてないかコースに出て確認し、ホウキで履いたりして走行車の安全を確保してくれます。

一方、公道ではコーナーを曲がった先に「バナナの皮」が落ちているかも知れません(バナナの皮=低速車、対向車、歩行者、動物、落ち葉や折れた枝、水たまり、石や砂利や穴など)。説教臭い話で恐縮ですが、自分でも箱根に行くと1日で数回はドキッとする瞬間があります。

曲がった先で「バナナの皮」が落ちてても大丈夫なマージンを取りつつ、楽しい走りを心がけたい。ここからはタイヤというよりも自分の心情の話ですが、BT46だとコーナーリングが楽しすぎて「ヒャッホー走法」となってしまいます。腕前も無いのにコーナーへの進入速度を上げて旋回中のドキドキを味わいます。そこではマージンも一緒に削って行く悪い快感みたいなものも感じます。

ここを大人になって「気持ちも走りも押さえて行けるようになるとよりBT46が楽しめる」と思い、タイヤテストの日とは別にコーナリングするためだけに箱根へ。自分で自分の走りを分析しながら走りました。
たとえば椿ラインの登りを3速で走ると「ガーンッとエンジンを回しながら」という普通のバイク的な走行感覚になってしまうので、できるだけ4速に入れて走っていました。実はこれは、改めて自分の走りを分析してわかったことで、GB350の性格に自然と導かれてか、特に意識せず4速を選んでいたようです。

ワインディングでの走り方に悩んでいるタイミングでタイヤ交換。しかも走りが激変。バイクはコーナーが楽しい乗り物なのに、なぜか若干臆している自分……。
自分の走りをしげしげ眺める機会は滅多にありません。ツッコミどころ満載のフォームはさて置き、それにしてもGB350はいい。素っ気ないほどのスタンダードなデザイン、エンジンの大きさ、黒とメッキで統一されている車体もいい。

4速で走るとどうなるか。
コーナーの立ち上がりでガクガクしないように早めにアクセルを開け始める→アクセルを全開にしてもゆっくり加速するので次のコーナーまで長い全開が楽しめる(これは前回も書きました)→次のコーナーのかなり手前でアクセルオフ(ブレーキなし)で減速を待ってコーナー進入→エンブレが効かないので思ったより速くてドキっとする→それでもBT46の旋回力のおかげで曲がれる→アクセルオン、という感じです。

前回はスリッパークラッチのせいにしていましたが、3速にすればGB350でもそれなりにエンブレを感じます。どんなバイクでもそうですが、そもそも4速の低回転なのでエンブレが弱い。でも頻繁なシフトチェンジもしたくないし、コーナー立ち上がりでの4速全開は楽しみたい(4速が正しいって訳じゃ無く、自分は4速が好きだという意味です)。

そこでコーナーに進入するときにバナナの皮が落ちていても大丈夫なように、リヤブレーキも使うことにしました。コーナー毎にゆるーく踏んでいますが、効かせるのは倒し始めてから速度が速すぎたときだけ。バナナの皮を発見したときも即対処できます。とりあえずこれで楽しさとマージンのバランスが取れた気がする。

ちなみに純正GT601はペースを上げるとコーナーの進入で自分の操作が追いつかなくなり「おいおい、ちょっと落ちついて走ったら?」と自分をいさめてくれます。手応えのあるコーナーリングはマージンがある速度でも「操作してる感」が楽しいです。これが自分には心地よくて、リラックス走行には欠かせない感じ。

インドで走っているハイネスCB350(GB350の元になったバイクです)にはインド製のタイヤが純正採用されていて、GB350とは違った乗り味だと思います。
ここからは自分の妄想ですがGB350を日本で組み立てることが決まったときに開発陣はタイヤは何を採用し、それによる乗り味の設定を決めたはずです。この開発者の方とGB350の乗り味についてバイク談義をしてみたいです(笑)。

ここまで読んでくれた方は「私はこっちがいいな」というお好みがあると思いますが、自分では次のタイヤはどっちという答えはまだ出てません。しばらくはBT46を履いたままGB350を楽しみたいと思います。もしかしたら別のタイヤで自分へのベストフィットがあるかも知れませんが。

ハーレーダビッドソン・スポーツスター883体験記

さてGB350を購入する2年ほど前から購入するバイク選びをしていました。考えに考え抜いた最後の候補がヤマハのSR400とハーレーのスポーツスター883Rでした。
毎日のように中古バイクサイトを見て新車のSR400の乗り出し価格の上がり下がりや、スポーツスター883Rの高年式の出現に一喜一憂していました。でも結局購入まで踏み出せなかったのは、今思うとGB350との運命なのかもと思っています。

「他のバイクを購入していたら自分のバイクライフはどうなっていたか?」と考えることはありませんが、タイヤテストに中村さんが乗って来たのがなんとハーレーのスポーツスター883。スタンダードの883ですが、長年に渡って中村さんが手を入れて来た逸品です。中村さんがテストのためにGB350に乗るときは、必然的に自分がそのスポーツスター883を乗ることに。

購入候補だったスポーツスター883と一緒にパチリ。乗り味が濃密で、楽しいというよりも凄い体験をしたという感じ。883に乗ると自分はGB350の普通に乗りやすいところが好きなのがよくわかる。

図らずもタイヤインプレと共にスポーツスター883も同時にインプレと相成りました。
中村さんのスポーツスター883はキャブ時代の最終年式に近いもの。エンジンがラバーマウントです。
最初の印象は「とにかく重い」でした。883だからもっと軽いかと思ってました。停車時だけでなく走り出した後も重い。コーナーの進入で傾けるときも重い。油断するとまっすぐ行きそう。そのくせに硬い感じに重いから、傾き始めたらグラーンと寝て行く。いやー、これは参った。参ったけど中村さんがGB350に乗っている間は、自分がスポーツスター883に乗り続けます。

慣れてくるとエンジンのトルクや蹴り出しの強さなど、GB350に似ている部分が好印象。もちろんスポーツスター883の方がはるかに力強いですが、敢えて言えば似てる。「GBシリーズとして600ccくらいの2気筒があるといいのに」なんて思います。
そして中村さんのアドバイス通り逆操舵を使ってみると「おおっ曲がる」。実際は自分には逆操舵を使いこなす腕前はないので、逆操舵な気持ちで操作している何かが作用して曲がる方向に導いている……のだと思います。

というわけで最初は難しく感じたスポーツスター883なんですが、少し仲良くなって自分のバイク操作で乗るのが楽になるとGB350とは違った楽しさを感じました。乗り味が濃くて、乗りこなす喜びあり、短かいながらも濃密なスポーツスター883との時間でした。

「乗りこなす喜び」、それはGB350にはありません。なんたってGB350は納車の日からいきなりベストフレンドです。何も特別なことは必要なく、それでもGB350は楽しい。
今回、中村さんのスポーツスター883に乗ってみて「GB350を選んで正解だった」とあらためて思いました。
SR400にも乗ってみたい。今流行りのレンタルバイクしてみるか。
そんなこんなでまた次回。

重たいクランクをグーッとトルクで回して走る感じは魅力的。GB350がバババッバなら、883はズドドドって感じ。慣れてくるとワインディングもそれなりに走れるようになって、ちょっとだけ「乗りこなす喜び」が味わえたかな。

おまけ「ワインディング取材での発見!」

BT46のワインディングテストで訪れた山梨県上野原市のびりゅう館。周りは気持ちいいワイディングなのでバイクの方も多し。バイクだけが建物のそばに駐車できる嬉しい特典。お昼ご飯には天ぷら蕎麦をいただきましたが、他にも地元ならではの美味しそうなメニューがたくさんありました。


おまけ その2「GBミーティングに行ってみよう」

5月29日に千葉で「GBミーティング」があるので参加してみようと思います。
開催概要等はホンダの二輪ホームページのトップに掲載されています。
関東のオーナーさん、お近くの方はぜひ。会場でお会いしましょう。


カメラマン 柴田直行
モーサイや月刊モーターサイクリストでも撮影しているプロカメラマン。
バイク雑誌を中心に30年以上に渡って撮影活動。子育て時期とデジタル化の波を同時に被ってXR250を手放したが約8年ぶりにリターン。50歳代のバイクライフをGB350と共に再スタート。

https://www.shibaphoto.com/

https://www.instagram.com/shibaphoto/

  1. 新型『NX400』ってバイク初心者向けなの? 生産終了した『400X』と比較して何が違う?

  2. 冬は寒いのになんでバイクに乗るの?実は『他の季節よりも○○な魅力』が5つある!

  3. CBR250RRに乗る女子高生ライダーが『CBR400R』に乗った感想「最高です。欲しくなりました」

  4. ベテランライダーが『CBR650R E-Clutch』に乗って感じた楽しさ

  5. 寒い時期はバイクに乗らない人へ!愛車を冬眠させるなら「4つの〇〇+α」をやっておけばずっと長持ち!

  6. 還暦からセカンドライフをスタートさせた『Rebel (レブル)1100 <DCT>』のオーナー

  7. 技術者たちが語る「Honda E-Clutch」。新しい技術に秘められた苦労と想いとは?

  8. CL250はセカンドバイクじゃない。この250ccは『メインの1台』になり得るバイクだ!

  9. Rebel 1100〈DCT〉は旧車を乗り継いできたベテランをも満足させてしまうバイクだった

  10. 定年後のバイクライフをクロスカブ110で楽しむベテランライダー

  11. CL250とCL500はどっちがいい? CL500で800km走ってわかったこと【ホンダの道は1日にしてならず/Honda CL500 試乗インプレ・レビュー 前編】

  12. 【王道】今の時代は『スーパーカブ 110』こそがシリーズのスタンダードにしてオールマイティー!

  13. 新車と中古車、買うならどっち? バイクを『新車で買うこと』の知られざるメリットとは?

  14. ビッグネイキッドCB1300SFを20代ライダーが初体験

  15. どっちが好き? 空冷シングル『GB350』と『GB350S』の走りはどう違う?

  16. “スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

  17. 40代/50代からの大型バイク『デビュー&リターン』の最適解。 趣味にも『足るを知る』大人におすすめしたいのは……

  18. ダックス125が『原付二種バイクのメリット』の塊! いちばん安い2500円のプランで試してみて欲しいこと【次はどれ乗る?レンタルバイク相性診断/Dax125(2022)】

  19. GB350すごすぎっ!? 9000台以上も売れてるって!?

  20. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

おすすめ記事

【ラビットvsシルバーピジョン 国産スクーター戦後開発史6】急速に縮小するスクーター市場(1960〜1963年) サイン・ハウスがバイク用インカム「B+COM SB6X」の最新プログラムを12月4日よりリリース 【NANKAI】ブースで見つけたライダー専用空調ベストはバイク乗りのためのアイデアいっぱい! 「大阪モーターサイクルショー2023」

カテゴリー記事一覧

  1. GB350C ホンダ 足つき ライディングポジション