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60回=5年ローンでちょうどいいのが「100万円」!!
コロナ禍により、密を避けながらひとりでも楽しめるバイクの人気が上昇。「そういえば若いころに免許取ったんだよなあ……」なんて、コロナ禍を機にリターンライダーとなる人も多いようです。もっとも、コロナ禍よりも前から、子育てが一段落した50歳前後でバイク遊びを復活させる人は多数。
この記事では、そんなアラフィフ・リターンライダーにぜひ乗ってもらいたい、車両本体価格100万円以下のお薦めモデルを紹介します。
子育てが一段落した50歳前後のいわゆる「アラフィフ」世代は、結婚しているか未婚か、子どもがいるかいないかに関わらず、生活費に多少の余裕が生まれる人が増え、一方でカラダはまだまだ元気なことから、「よし、これからは趣味に時間を使うか!」なんて人が現れやすいようです。そのひとつとして注目を集めるのがバイク。とくに、若い頃にバイク遊びをしていた人だと、「もう一度あのエキサイティングな日々を……」とリターンライダーになることも珍しくありません。もちろん、50歳を機に初めてバイクの世界に足を踏み入れた人もたくさんいます。
そのような方々が、最初に悩むのが愛車選び。新車と中古車、星の数ほどあるバイクの中から、どれを選んで乗るべきなのか……。これはとても難しい問題です。が、予算としてひとつの基準になるのは、車両本体価格100万円というラインではないでしょうか?
近年は、高性能化と環境規制対応によりバイクの新車価格がやや高めですが、中古車の価格が異常な高騰。むしろ定価が決まっている新車の方がお得感があります。しかし、リターンあるいは最初のバイクとして、あまりハイエンドな車種を選ぶことに抵抗がある人もいるでしょう。
その点、100万円というのはアラフィフが現金一括で趣味にポンッと払うのにも、それほどムリのない金額。一方でクレジット(ローン)を利用して購入するなら、「月々2万円×60ヵ月=120万円」なので、新車購入時に必要となる登録などの諸費用と5年間のクレジット手数料を含めて考えると、ちょうどいいラインになります。
「月々2万円かあ……」と思うかもしれませんが、バイクというのは趣味の道具としては極めて値落ち率が低いので、転ばずきれいに乗っていれば、5年後の査定額が新車価格の半分程度なんてことも期待できます。もしそうなれば、実質的には月々1万円ほどで新車を買えたということ。ほら、これならかなり現実的ですよね?!
というわけでここでは、新車価格100万円(諸費用別)という条件で、リターンライダーにもお薦めのバイクを紹介します!
ヒャクマンで乗れる水冷4気筒ナナハン「スズキ GSX-S750 ABS」
スズキには、ミドルクラス以下なら車両本体価格が100万円以下の新車が多数あります。この中でまず目を引くのは、20年以上の熟成が続けられてきた645cc水冷90度Vツインエンジンを搭載した、Vストローム650/XT ABSとSV650/X ABS。このうち、スチール製トラスフレームのSV650 ABSが最安で80万3000円、セパハン化などでカフェレーサーに仕上げたSV650X ABSが84万7000円で100万円を大きく切ります。両タイプとも、Vツインの適度なパルス感を楽しめ、スタンダードのSV650はフレキシブルに使える万能系で、SV650Xは意外にも硬派なライディングポジションにより速さはないけど刺激十分。リターンライダーが乗るなら、とくにSV650がオススメです。
Vストローム650シリーズは、アルミ製フレームを採用するミドルアドベンチャーですが、このうちキャストホイールを履いたVストローム650 ABSは95万7000円。スポークホイールを装備し、ナックルガードやアンダーガードも標準装備したVストローム650XT ABSは、惜しくも今回の条件から1000円アップとなる100万1000円です。どちらのモデルも、本格的な旅を楽しめる扱いやすさと積載力、Vツインの鼓動感を備えています。
しかし、Vツイン系もとてもいいのですが、スズキの100万円以下新車で大本命としてぜひ推したいのは、749cc水冷並列4気筒エンジンを搭載したネイキッドスポーツのGSX-S750 ABS(98万7800円)。フレームこそスチール製ですが、そのエンジンはスーパースポーツのGSX-R750用がルーツです。3段階+オフのトラクションコントロールシステムや、ニッシン製のラジアルマウントフロントブレーキキャリパーなど、運動性能を高めるアイテムも多数。その走りはバランスに優れていて、ワインディングでも軽快に楽しめます。何より、100万円以下のナナハンクラスで、この時代に水冷並列4気筒というのが貴重です!
旅にも使えて実用性にも優れるナナハン「ホンダ NC750X」
100万円以下で購入できるホンダの新車では、アドベンチャースタイルのNC750Xに注目。NC750Xは、745cc水冷並列2気筒エンジンを搭載したモデルです。価格は、マニュアルクラッチ仕様のNC750Xだと92万4000円。クラッチ操作なしで発進停止、走行ができ、マニュアルモードを使えば自分で変速もできるデュアルクラッチトランスミッション仕様のNC750Xでも、99万円でギリギリ100万円以下です。
最高出力は58馬力とかなり控えめですが、そのぶん極低回転域トルクが太く、トトトトッ……とジェントルに走れるのがNC750Xの特徴。そして、燃料タンクに見える部分が23L容量のラゲッジボックスになっていて本当の燃料タンクはシートの下、一般的なサイズのフルフェイスヘルメットも収納できます。ツーリング先でヘルメットを入れられるだけでなく、帰りにちょっとしたお土産をスマートに運べるのも魅力。休日に自分ひとりでバイク遊びをしても、家族にお土産をあげれば、怒られることはないかも……?
ちなみにホンダでは、2021年春に新発売されたクルーザータイプのレブル1100も、コストパフォーマンスも理由となって大人気になっていますが、こちらはマニュアルクラッチ仕様でも110万円。現行のリッタークラスとしては十分にリーズナブルですが、100万円の枠はちょっとオーバーしています。
ほぼぴったりヒャクマン、楽しさ抜群「ヤマハ YZF-R7」
ヤマハの100万円新車で2022年にもっとも推したいのがYZF-R7。
日本では2022年2月に新発売されたばかりのミドルスーパースポーツです。開発ベースとなったのはネイキッドスポーツのMT-07で、こちらは81万4000円と100万円を大幅に下回るリーズナブルプライスなのですが、YZF-R7でも99万9900円となっています。メーカーサイドが「100万円切り」を明確に意識して値段を設定したことが容易に想像できますね。
このYZF-R7は、最高出力73馬力の688cc水冷並列2気筒エンジンを搭載。リターンライダーでも扱い切れる程度のパワーで、なおかつピックアップに優れる低中回転域トルクを備えていて「意外と速い」という特徴も持っています。
CP2(「クロスプレーン」の2気筒)と呼ばれるこのエンジンに加えて、スチール製のメインフレームとスイングアームもMT-07から流用しつつ設計されているモデルですが、フロントフォークは倒立化され、プリロードと伸圧減衰力がすべて調整可能なフルアジャスタブル仕様。さらにリヤモノショックも、プリロードと伸側減衰力のセッティングができます。またフレームも、アルミ製センターブレースをリジッドマウントするなどの仕様変更が図られています。
エンジンは、アシストスリッパークラッチを装備。MT-07と同じく、パワーモードやトラクションコントロールなどの電子制御システムは省かれていますが、適度なパワーのおかげでそれが問題となることはなく、ピュアなスポーツ性を楽しめます。そして、もっともこだわられているのがフロントブレーキ。ラジアルマウントの4ポットキャリパーとブレンボ製の純ラジアルマスターシリンダーにより、優れたコントロール性を備えています。
青春時代の輝きを再び!クオーターマルチ「カワサキ ニンジャZX-25R SE」
カワサキの2022年型で100万円以下の新車を調べてみると、最大排気量となるのはニンジャ650とZ650とバルカンS。いずれもルーツが同じ649cc水冷並列2気筒エンジンを搭載していて、ニンジャ650が91万3000円、Z650が85万8000円、バルカンSが91万3000円となっています。このうちニンジャとZは、4.3インチフルデジタルTFTカラーメーターを搭載していて、Bluetoothを介してスマートフォンとの連携も可能。
ニンジャはフルカウル、Zはストリートファイタースタイルのネイキッドで、いずれもアグレッシブなルックスですが、乗り味はとてもフレンドリーです。またバルカンSは、装備こそシンプルですが、新車購入時から3年間の点検やオイル交換が無償となるカワサキケアモデルに設定されていて、維持費が抑えられるのも魅力。クルーザータイプながら、深めのバンク角で意外とスポーティに走れるバイクです。
しかし、とくに中高年のリターンライダーに提案したい100万円以下新車の最有力候補は、650ccクラスではなく250ccクラスのニンジャZX-25R/SE。現在の50歳前後が青春時代真っただ中だった頃には、250ccクラスでも4気筒エンジンが当たり前でしたが、その後の度重なる環境規制強化により消滅。2020年に久々の復活となったのがこのモデルです。ちなみに現在、400cc以下の普通二輪免許クラスでは、このニンジャZX-25RシリーズとホンダのCB400スーパーフォア&スーパーボルドールのみが4気筒エンジンです。
ニンジャZX-25Rシリーズのうち上級版となるSE仕様は93万5000円で、リッタークラスの現行スーパースポーツ同様にアップ&ダウンの双方向に対応するクイックシフターまで標準装備。さらにシリーズ共通で、3モード+オフのトラクションコントロールシステムや2タイプのパワーモードも採用しています。
SEはさらに、USB電源ソケットやフレームスライダー、スモークウインドシールドといった定番カスタムパーツを標準装備化。SE仕様のうちKRTエディションは、スーパーバイク世界選手権のワークスマシンをモチーフとしていて、まさに「レーサーレプリカ」ですよ!
ヒャクマンで買える欧州ミドルスポーツあり!「トライアンフ トライデント660」
アジアのブランドはそうでもないけど、ヨーロッパやアメリカの二輪ブランドはお値段お高め……という傾向は、今も昔もそれほど変わっていないかもしれません。しかし、バイクの新車価格がじわじわと上がり続ける現代でも、100万円以下で購入できるヨーロッパのバイクはあります。そのひとつが、トライアンフのトライデント660(99万3000円)。最高出力81馬力を発揮する660cc水冷並列3気筒エンジンを搭載したネイキッドスポーツです。
トライアンフといえば伝統ある英国のブランド。エンジンは同社が近年こだわり続けてきた3気筒。そしてトライデント660は、どこかクラシカルで洗練されたデザインを備えています。装備は同社の上位機種と比べてだいぶ簡素化されていますが、2種類のライディングモードやトラクションコントロールシステム、オプション追加によりスマートフォンとの連携も可能になるフルカラーメーターは標準装備。欧州メーカーとしては、かなりのバリュープライスとなっています。
リーズナブルなモデルもたくさん!
今回は100万円に比較的近い価格帯で車種をピックアップしてみましたが、もちろんもっと排気量やグレードを落とせば、リーズナブルに乗れる国内外の新車は多数あります。ぜひ、自分のお小遣いや望むバイクライフと相談しながら、最適な1台を選んでください!
レポート●田宮 徹 写真●ホンダ 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実