バイクライフ

カメラマン柴田のGB350日記#10「自分流足着き向上法と、GB350Sと、日本一調子がいいGB350」

「少し後ろに座る」自分流の足着き法

皆さん、こんにちは。カメラマンの柴田です。
GB350購入と共に始まったこのコラムは早くも10回目。
振り返れば2021年の4月のGB350メディア試乗会にてその佇まいに惚れ、購入を決意。4月末のGB350の発売日にホンダドリーム店で注文。
しかし発売日に注文では遅かった。そこから5ヵ月間、バイクが無いまま据え置きクレジットの1万円を払い続け、9月末についに納車。

8年振りにリターンライダーとなったわけですが、GB350はそんな自分にも乗りやすい。そしてゆったり走っていてもバイク本来の味わいを楽しめます。
GB350ならチョイ乗りでも十分楽しいので、もっぱら自宅から近所の横浜や湘南あたりをブラブラと走り回り、現在2000kmほど走行しました。

さて今回は自分流の「足着き」の小ネタからスタート。
バイク雑誌等の足着き撮影では後ろから両足着地で撮るのがポピュラー。片足のときには右足を上げてブレーキペダルを踏みながらポジションを取ってもらうことが多いです。

最初に乗ったときからGB350の「足着き性」はいいと思っていました。股下75cmの自分の場合、両足着地ではつま先のみ接地、片足ならカカトも着きます。
ところが両足でも片足でもなんか不安な感じがあるのです。「足着き性」はいいんだけれど、「足着き感」がしっくりこないというか……。

もっと足がしっかり着けば「足着き感」も改善されるのかと思いなるべくシートが低く・細くなっている前寄りに座ると、逆にサイドカバーの膨らみによって着地点が離れてしまい足に体重がのらない感じとなる。左足着地+右足ブレーキペダルでもヤジロベエ的になってちょっと不安。
「GB350は好きだけど、足着きがね」と言う方の不安はそこにあるのかも知れません。

右が両足着地でカカトが浮く感じ。左が右足のみ着地でカカトまでべったり。シート前方に座るとどちらも内ももがサイドカバーに押されてバイクから離れた所に着地する感じに……。

そこで自分流の「安心足着きパターン」を確立しました。右足の片足着地です。
GB350のハンドルはアップタイプで、足着き中も無理なくブレーキレバーが握れます。そのときに右足着地の方が体が右寄りになるためブレーキレバーが近いです(この感じ、自分が乗り慣れてるオフ車的イメージに近いかも)。

さらに停車時間が長くなりそうなときは、1速に入れたままキルスイッチでエンジンを停止させておく。そうすれば、ブレーキレバーを握る必要もありません。上半身を起こしてお尻を少し右にズラしつつシートの少し後ろに座ります。
こうするとお尻の真下にカカトが来て全体重をのせられます。足着きに余裕が増して、車体を少し右に傾けた方がバイクを支えやすいくらいです。

足はサイドカバーの後ろ寄りのマフラーに触れない位置に下ろします。GB350はキルスイッチを切ってから1秒くらいエンジンが回っていますから、クラッチレバーを離すときはあわてず余裕を持ってゆっくりと。
こんな足着きのネタが役に立つかどうか分かりませんが、とりあえずご参考までに。

右が両足着地ですが、常にバランスを取る必要があって不安。左が右足着地&1速エンジンストップ。少し車体を右に傾けているので、バイクがブレません。重心は右足の底全体にかかっていて安心。ただし親子タンデムのときは息子が不意に動いたりするので両足にしています。

自分のGB350にはまだETCを装備していないので、高速道路は一般の料金ゲートを利用しています。そのときも「1速エンジン止め右足着地」にしています。チケットを受け取り、ポケットに入れる間もフラフラしません。
再スタートはブレーキレバーとクラッチレバーを握って、キルスイッチを下げるだけでエンジン始動→発進とスムーズです。

高速と言えばゲートのチケットを受け取る間の係員さんとの会話が楽しい。
「バイクじゃ寒いでしょ」とか「天気良くていいですね」というひとことに加えて必ず「気をつけて」と声をかけてくれます。こういうコミニケーションも10年振りくらいかな。実に新鮮。もはや「ETC取り付けは品薄が解消してから」でいいかなと思ってます。

購入前に悩んでいたGB350Sと乗り比べ!

話は変わって、自分が撮影の仕事に行くときはほぼクルマです。クルマでの移動は退屈なので、天気のいいツーリングロケではライダーが本当に羨ましい。脚立、三脚、レフ板などバイクに積めないほど機材を持って行きますからしょうがない。

そんな自分の仕事ですが、バイクに乗って行く撮影が年に数回あります。バイクの機動力が要求されるロケでは機材を少なめに選抜し、背中に背負ってバイクで出かけます。
そして先日、モーサイwebのロケで「GB350も試乗するから自分のヤツに乗って来てよ」という嬉しいお誘いをいただき、山梨県と静岡県を走って来ました。いや、撮影して来ました(笑)
このときに撮影した記事が「ホンダ GB350 VS ロイヤルエンフィールド メテオ350」です。

さて、バイクを交換して自分のGB350にスタッフが乗ったり、スタッフが乗って来たバイクに自分が乗ったり。楽しい撮影ツーリングとなりました。プロのテストライダーさんが自分のバイクに乗るなんて滅多にない経験。ほぼ新車なので調子が悪くて怒られることはないはずだが、ドキドキしました。

写真を撮ってるときはカメラマン、走っているときはライダー。バイクに乗って撮影へ行くと、ここの切り替えが難し。「じゃあ走りながら撮影場所を探しているときは?」正直言うと今回の走っているときの95%は普通に楽しんでました。だってGB350での最初の一泊ツーリングですから。
取材の途中で寄った見延山久遠寺。約750年前、鎌倉時代に開山したお寺。立派な山門と美しい参道に魅了されパチリ。仏教はインドから伝来したが、GB350(のパーツ)もインドからやって来た。隣のバイクは同じくインドからやって来た新型車・ロイヤルエンフィールド メテオ350。

自分が興味深かったのはその中のGB350S。
スタッフが移動用に乗って来た個人所有車でその記事内には登場しませんが(カスタムペイントがされているので)、こちらもほぼ新車。走行距離も同じくらいでした。GB350Sは以前試乗記撮影の際に少しだけ乗せてもらいましたが、実際のツーリングで乗り比べるとよりその違いを強く感じました。

印象的だったのは装備やポジションの違いによって、思っていたよりも自分の走りが変化すること。「バイクがこう違う」というインプレではなく「自分の走りがこう変わった」という私見インプレですので、どうか辛抱の上でお付き合いください。

正直に言ってエンジンの違いはさほど感じませんでした。
一方、車体の方はバイクの乗り味が全然違っています。タイヤとかサスペンションなどの細かい話はプロライダーさんのインプレにお任せしますが、自分のようなおっさん素人でも2台の違いはハッキリ感じます。
具体的にはスタンダードの方がポジションが自由で、上半身を起こしても前傾しても、リーンウィズでもアウトでも柔軟に選べます。それによってゆっくり走ったり、飛ばしたりも自分の気分次第。

それに対しGB350Sは「急かされずに自分がコントロールできる良さ」はスタンダードと同じなんですが、前傾のポジションに固定される感じで、気持ちもずっと攻める感じになります。
ワインディングだったのでそれも楽しいのですが、GB350Sのコーナーリングは進入で決めて走る感じで、コーナー後半が思ったよりも深いと自分のライディングスキルではオタオタします。

一方、スタンダードはポジションに自由度があり、リーン操作でもブレーキでも余裕を持って対処できます。実際にはどちらもコーナーリングが破綻するほどではないんですが、ひと山超えた後の心の疲労にも差が出ます。

比較すれば自分的にはスタンダードの方が好きです。「ペースを上げなくても楽しい」と思えるのはGB350の大事な美点です。以前は「スタイルの好みに合わせてどちらを購入しても良い」と思っていましたが、今回の比較試乗を踏まえて言うと「ゆったりライディングをお好きな方は絶対にスタンダードがお勧め」。
忖度なく言えばベテランの方で攻めるバイクが好きなライダーは、他のハイパワーなバイクを選んだ方がハッピーになれるでしょう。GB350Sは最初からカスタムベースに考えている方や「初心者だから乗りやすさ重視。でも攻める気分も楽しみたい」という方がいいかも。

取材のコースは高速で甲府まで。そこから山路を走り、たくさん寄り道しながら静岡に抜けて高速で帰京というもの。撮影しながら1泊2日で走るゆったり旅。この写真のような開けた所は少なく、細めのくねくね道が多かった。
皆で何度も道を間違えたけど、GB350はUターンが超得意なので問題なし。高速もたくさん走ったけど、マイペースで走れるGB350がますます好きになった。

写真は2021年4月のメディア試乗会の時に撮ったGB350Sとのツーショット。これを撮った時点ではGB350Sの方が好みでした。今ではスタイルや装備、エンジン特性も含めて自分好みのスタンダードを購入して良かったと思っています。

GB350とGB350Sのステップ周りの違い

GB350のブレーキペダル。
GB350Sのブレーキペダル。
GB350のシフトペダル。こちらはカカトでも踏めるシーソー式。
GB350Sのシフトペダル。

ステップ周りの比較。前寄りなのがGB350で、後ろ寄りなのがGB350S。比べて見ると、GB350Sの方が後ろ寄りなだけでなく、上方に位置している。
GB350Sのバンクセンサーが長く見えるが、今時では普通の長さ。むしろGB350がギリギリまでステップ位置を下げているのが分かる。
それでも2000kmほど走って自分は4回くらいしか擦ってない。

GB350とGB350Sのシート&ライディングポジションの違い

GB350のシート。
GB350Sのシート。

ブラウンのシートがGB350。グレー×ブラックのツートーンがGB350Sのシート。GB350Sはタンデム部分が短く見えるけど、実はライダーのヒップポイントも後ろより。
ホンダが2車のライディングポジションを比較図で出していますが、自分の感触としてはこの比較図よりもGB350Sは攻めのライディングポジションに感じられた。そしてこの比較試乗体験で、バイクのポジションに合わせて自分走りの方が変わることに気付くオレ(笑)。

「日本一調子がいい!」と胸を張れる自分のGB350

コラム第9回で、ヨシムラなどで活躍した名メカニック・浅川邦夫さんのバイクショップ「アサカワスピード」で「AS30」という整備コースを実施したことを書きました。
点検整備シートを見ると分かるように、作業は主に注油と調整、組み直しが中心で部品の変更はありません。点検では細かい所まで見てくれるので安心です。

ホイール周りは部分的にバラされてグリスアップして、組み直しされてます。
ワイヤー類やチェーンに注油、前後アクスルにグリスを塗布してあるので、押し引きがさらに軽くなってます。
センタースタンドをかけてエンジンをかけるとニュートラル+アイドリングで後輪がクルクル回ります(これノーマルでも回るかな。あなたのGBはどう?)。
中には自分でもできそうな作業もありますが、アサカワスピードにやってもらうことが自分的には嬉しい。

実際にGB350でアサカワスピードの「AS30」を受けたときの点検整備シート。

チューニングした訳ではないのでエンジンのパワー感に変化なし。オイル添加剤「EPL」の効果が続いているので、ミッションがさらに入りやすい。ケーブル類も注油されているので操作する部分が全部軽く、乗っているときに気持ちがいい。自分のGB350に乗ったスタッフも同じ感想でした。

そうした中で一番大きく変化を感じたのはステアリングステムの調整でした。
誤解の無いように念のために書きますが、GB350が生産されるときにはちゃんと設計通りのトルクでステムを締められているはずです。ステムベアリングを挟むナットなので緩いとガタが出ますから。
一方、アサカワスピードでは実車に乗って感触を確かめてから、ガタが出ない大丈夫な範囲で緩い方向に調整してくれました。この辺がプロショップの絶妙なさじ加減でしょう。

乗ると全然ハンドリングが違う。
倒し込みや切り返しで感じていた手応えが無くなり「スカッスカッ」とハンドルが切れるし曲がります。手応えは=安定性だと感じていたので、スカッと切れるとGB350のゆったり感に影響すると思いました。そのくらい「スカッ」と切れます。

撮影ツーリングの中で自分のGB350をテストライダーさんや編集スタッフにも乗ってもらいました。細いワインディンが多く、アサカワスピードの「AS30」の成果を見るのはもってこい。
全体的にフリクションが減っているのと、スカッと切れるステアリングの切り返しが好評でした。この気持ち良さをキープしたいです。

最初は「スーパースポーツ車なら良くても、GB350でこれ?」と思っていたんですが、撮影道中のワインディングが本当に楽しかった。慣れるとより乗りやすいし、今、ノーマルに乗ったら市街地でも「手応えが重い」と感じるかも。もはや後戻りできない系のセッティング。
無理やりたとえると「自分はこってり系ラーメンが好きだったけど、本当に美味いラーメン屋で食べたら薄めのスープが好きになった」的な感じ。
好みもあると思いますが、その違い(ラーメンじゃなくてGB350の方ね)は自分が思っていたよりも大きかったです。

操作する部分や各パーツの動き出しのフリクション低減──言葉にすると地味だし、パーツひとつひとつの単位で見るとわずかな差なのかもしれません。でも、そうした差が積み重ねられていって「バイク全体」になると、素人おっさんライダーでも分かるくらい走りが違います。
というわけで毎回、心の中で「自分のGB350は日本で一番調子がいい」とニヤニヤしながら乗ってます。興味のある方はアサカワスピードへ。

カギで愛車を傷つけない「一工夫」

今回のふたつ目の小ネタです。
アサカワスピードからバイクが戻って来たら、キーホルダーにふたつ付けている鍵の片方にゴムチューブのキャップが付いてました。「走行中に鍵が暴れてバイクに傷が付かないように」という心使い。効果満点で便利。
というわけで「バイクも調子いいし、少し遠くまで行きたいなあ」と思いながら、第10回コラムはここまで。

被せてあるのはトップケースの鍵で「シリンダー周りが傷付くかなぁ」と悩みつつも、キーホルダーに付けてました。さすが細かいところにまで気がつくアサカワスピード。ケースを開ける時にはゴムチューブを車両のキーに差し替えて使います。手軽なのにすごく便利。

カメラマン 柴田直行
モーサイや月刊モーターサイクリストでも撮影しているプロカメラマン。
バイク雑誌を中心に30年以上に渡って撮影活動。子育て時期とデジタル化の波を同時に被ってXR250を手放したが約8年ぶりにリターン。50歳代のバイクライフをGB350と共に再スタート。

https://www.shibaphoto.com/

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