バイクライフ

バイクの「すり抜け運転」を見かけたら、白バイは捕まえるのか?

バイクや自転車が、信号待ちや渋滞時にクルマの横を通っていく「すり抜け」。
車両が突然視界に現れることもあり、「事故のもとになる」と危惧するドライバーもいる。

そうした声を受けてか、大阪府では2021年9月からすり抜けによる交通事故を防ぐために「すり抜け運転ストップ運動」という施策が実施されている。
通勤ラッシュの激しい幹線道路(国道423号)・新御堂筋などで、白バイ隊員が巡回しているのだ。

通勤時間帯など、時短のためにすり抜けをするライダーもいるだろうが、実際のところ違反になるのだろうか?
すり抜けるライダーがいたら警察は取り締まるのだろうか?
沖縄県で活動していた元白バイ隊員の宅島 奈津子さんに聞いてみた。


すり抜けるライダーがいたら白バイは追いかけるのか?

元白バイ隊員の宅島さんにすり抜け運転は違反にあたるのか聞いてみたところ……。

「すり抜け自体は違反ではありません。ただし、センターラインの定義に伴った走行をしなければ違反の対象となることがあります。それらは次のように区別されています」

  • 白破線 道幅6m未満、はみ出し・追い越しともに可
  • 白実線 道幅6m以上、はみ出し禁止
  • 黄実線 道幅6m未満、追い越しのためのはみ出し禁止

現在、「すり抜け運転」と呼ばれる行為に対し、直接それを対象とした罰則や禁止は設けられてはいない。
一言で「すり抜け」といっても様々な状況があるわけだが、信号待ちや渋滞で停止している車両の横を通っていくことは、法律上では違反にはならないのだ。

だが、もしパトロール中にすり抜けるライダーを見かけた場合、白バイ隊員や警察官は追いかけるのだろうか?
それとも違反性があるのか判断しにくいため、追いかけないのだろうか?

宅島さんによれば「時と場合によります。無理なすり抜けは事故の元となるので、危険を察知した際は、注意指導等で停止させることもありました」というのが実情のようだ。

覚えておくべき「追い越し」と「追い抜き」の違い

追い越し、追い抜きの違い

ちなみに前にいる車両をパスする場合、「追い越し」と「追い抜き」という似たような意味合いの言葉があるが、どのような違いがあるのか改めて確認してみよう。

  • 追い越し=ウインカーを出して走行中の車線を変更し、前方車両の前に出ること。
  • 追い抜き=走行中の車線を変更せずに、前方車両を追い越す行為。

両者の決定的な違いは進路変更をするか、しないかである。

ただし、どんな状況でも追い越し・追い抜きが可能というわけではなく、道路交通法 第38条によれば横断歩道およびその手前の側端から前に30m以内の道路では、追い越し・追い抜きが禁止されている。

車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等(軽車両を除く)の側方を通過してその前方に出てはならない。

道路交通法 第38条

道路交通法から見る正しい「追い越し」方法

前方車両を追い越すときは、必ず右側の車線に入ってから元の車線に戻る

道路交通法における正しい「追い越し」方法とは、クルマやバイク、自転車など走行中の車両を追い越すときは、ウインカーを出して右車線に入ってから左車線に戻ること。
例外的に前方車両が右折する場合もしくは右側に寄っているときは、その車両の左側を通過してもいいとなっている。

だが、原則として前方車両を左側から追い越したり、走行中の後方・対向車両などに危険を及ぼすような方法で追い越すこと(道交法第28条第1項または第4項)は違反にあたる。

1.車両は、ほかの車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(前車)の右側を通行しなければならない。
2.車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第二十五条第二項又は第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央又は右側端に寄って通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。

道路交通法 第28条
基本的に左側からの追い越しは違反ではあるが、道路交通法 第28条によれば左側からパスしてもいい状況もある

そして、追い越し禁止の場所は道路交通法 第30条によって定められている。

1.道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾こう配の急な下り坂
2.トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る)
3.交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

※前のクルマや原付などが「軽車両」を追い越そうとするときは、二重追い越しに該当しない。

道路交通法 第30条

このように、間違った追い越し方法をすると「追い越し違反」となり、反則金は普通車では9000円、二輪車では7000円、原付では6000円だ。点数は2点加算される。

なお、追い越し車線をそのまま走っていると「通行帯違反」となる。反則金は普通車・二輪車では6000円、原付では5000円。点数は1点加算される。

すり抜けは「割り込み禁止」にもあたる

法律としてすり抜け運転自体に罰則・禁止は設けていないが、大阪府警によればすり抜けるとき道路交通法 第32条(割り込み等の禁止)にもあたるそうだ。
割り込みとは、停止中もしくは停止するために徐行している車両の側方を通過して割り込み、前方車両を横切っていく行為のことだ。

車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。

道路交通法 第32条

無理な割り込み等は違反となり、5万円以下の罰金、または二輪車では6000円、原付では5000円の反則金が課せられる。点数は1点が加算される

センターラインがない道路ではどうするの?

地域によっては道幅も狭く、センターライン(車両通行帯)のない道路もある。

センターラインがない道路では、クルマやバイクなどは道路の左側に寄って通行するのが原則だが、道路交通法 第18条には追い越し可能な状況について記述されている。

車両(トロリーバスを除く)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄って、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

道路交通法 第18条

「すり抜けは違反か?」という疑問は、SNSやネット上でさまざまな議論が巻き起こっているが、現状は「あおり運転」のように罰則が設けられているわけではなく、「状況により、違反でもあり、違反でもない」というグレーゾーンだ。

もし今後、すり抜け運転による事故が多発していくようならば、各都道府県ですり抜けに対する取り締まりが実施され、あおり運転のように罰則が設けられる日がくるのかもしれない。

監修●宅島 奈津子 まとめ●モーサイ編集部・小泉元暉

10月1日13時15分追記:点数の箇所を「引かれる」と表記していたため訂正を行いました。

プロフィール

■宅島 奈津子(たくしま なつこ)

反抗期・不良行為専門育児アドバイザー、青少年未来育成コーチ、元白バイ隊員。
大学卒業後、沖縄県警察にて交番勤務を経て、交通機動隊白バイ隊に配属。以降、少年課、刑事課等を経て、1000名以上の子どもたちの補導に関わる業務に就く。

現在はコーチングスキル、カウンセリングスキルを身につけ、元警察官・白バイ隊員による非行、反抗期、不良行為に悩む親御さんのサポートを行っている。

事務所名:株式会社 アーティスト.FIVE

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