白バイ隊員といえば、巧みな運転テクニックで違反者の追跡・検挙をするわけですが、ふと思ったのが「白バイ隊員はどのように高速道路に入っているのか?」という疑問です。
高速道路の料金所を通過するとき、わざわざ現金を出して払っているのか、もしくはETCレーンを通過しているのか……というのも、もし追跡している違反車両が急に高速道路へ行ってしまった場合、現金払いで手間取っていると違反車両を見逃してしまうのではないか、と。
そんなことがないように、現在の白バイにはETCが搭載されているのでしょうか? 一方、ETCがなかった時代はどうしていたのでしょうか?
当記事では、沖縄県警の白バイ隊員として活躍されていた宅島 奈津子さんに白バイの「高速道路事情」について聞きました。
違反車両が遠くまで逃げた場合、持ち合わせの現金で払うこともある!?
──白バイ隊員は高速道路に入るとき、現金払いが多いのでしょうか? それとも最近はETCが搭載されているのでしょうか?
現在では、ETCが取り付けられている白バイが一般的となりつつありますが、以前まではETCは付いていない白バイが当たり前でした。
もし、ETCが搭載されていない車両の場合は、パトロール区間を事前に決めておき、その区間が記載された通称・高速券(事前にどこからどこまで通行するのかふたつの用紙に記載し、その一方を料金所で渡す特別なもの)を準備した上で、高速道路に入るという形が取られています。
しかし、事件や事故は予定されているものではなく、いつだって想定外なことが起こるので、そのたび臨機応変に対処しなければいけません。
たとえば、違反車両がかなり遠くまで逃げた場合は、持ち合わせの現金で払うかもしれませんし、料金所の人に事情を説明して、特例で通過させてもらうことがあります。
なお、高速道路における検挙数は、スピード違反(速度超過)が大多数を占めていますが、白バイの姿を見たら速度を落とす車両がほとんどです。
なので、現役時代は検挙に至る、至らないにかかわらず「交通事故の削減に少しでも貢献できるのならそれに越したことはない」という気持ちで高速道路を走っていましたね。
──そもそも白バイ隊員は、高速道路内でパトロールすることは多い業務のひとつなのでしょうか?
基本的には、一般道路内のパトロールが多いです。ほかの都道府県の事情は分かりませんが、沖縄県警では取り締まる特定の市町村(たとえば那覇市〜石川市の区間など)を決めて、現場が遠ければ高速道路を利用して向かっています。
その走行中に違反車両があれば、検挙するという形でしたね。
──とはいえ、高速道路に入る手前「あれ、忘れてきちゃった」と、うっかりその高速券を置いてきてしまうこともあるのでしょうか?
高速券以外はバッチリ準備していたのに、高速券だけ職場のデスクに忘れてしまったことが一度だけありました(笑)。
そのときは料金所の人に旨を話し、後日高速券を持っていき確認を取っていただきましたね。
8月27日17時30分追記:「石川市」を「石垣市」と表記していたため訂正を行いました。
監修●宅島 奈津子 編集●モーサイ編集部・小泉元暉
■宅島 奈津子(たくしま なつこ)
反抗期・不良行為専門育児アドバイザー、青少年未来育成コーチ、元白バイ隊員。
大学卒業後、沖縄県警察にて交番勤務を経て、交通機動隊白バイ隊に配属。以降、少年課、刑事課等を経て、1000名以上の子どもたちの補導に関わる業務に就く。
現在はコーチングスキル、カウンセリングスキルを身につけ、元警察官・白バイ隊員による非行、反抗期、不良行為に悩む親御さんのサポートを行っている。
事務所名:株式会社 アーティスト.FIVE