「買い物やちょっとその辺までの移動に便利だから」と買った原付。
でも、その後クルマを買ったり、大きい排気量のバイクを買ったり、気が付けばいつのまにか乗らなくなって、自宅の片隅に置きっぱなしで「最後に乗ったの何年前だったっけ?」……なんていう話を時々耳にします。
ただ、色んな「液体」が詰まっているのがバイク。
家電製品みたいに、久々に電源ボタンを押せば、また普通に動き出す……という機械ではないのです。
その一例がこの写真。
ガソリンを抜かずに10年間放置したジョグのキャブレターで、内部にドス黒く変質したものはガソリンとのこと。
「ガソリンって劣化すると中濃ソースみたいな物になってしまうのか!」と驚いた筆者ですが、そんなジョグを見事にDIYで復活させたのが乗っているかずたん(@Z1000)さん。
ヤマハのセロー225W(1993年式)やNMAX125(2018年式)、カワサキ Z1000(2010年式)に乗っていて、バイクのメンテナンスも趣味のウチというかずたんさんですが、そもそもなぜ10年間もジョグを放置してしまったのか、キャブレターのほか不具合はなかったのかなど、色々と話を聞いてみました。
10年間放置したジョグの部品をキレイに!
当初、通勤用として新車でジョグを購入したかずたんさん。
ですが、その半年後にお父さんからヤマハ マジェスティ(1996年式)を譲り受けたのが、「ジョグを10年間放置」という悲劇(?)の始まりでした。
「原付のジョグと違って、250ccのマジェスティは二段階右折をする必要もないですし、排気量も大きく走りも快適。メットインスペースもジョグより広くて、荷物を沢山いれられるし……とマジェスティばかり乗るようになってしまったんです」(かずたんさん)
しかし、ジョグは買ってから2000kmくらいしか走っておらず「売ってしまうのももったいないしなぁ」という気持ちもあったといいますが、気が付けば10年間置きっぱなしに。
そんなジョグを再び走らせようと思い立ったのが2012年ごろ。
ツーリングクラブへ入会したかずたんさんは、クラブの代表の方に「ウチに10年間放置しているジョグがあるんですよね」なんて雑談をしていたら「手伝うから、そのジョグ、エンジンが掛かるようにしようよ」と。
そこから実際、ジョグの修理に着手したわけですが、10年間はさすがに長かったようで「キャブレター内に残ったガソリンが劣化し、飴状に固着したせいで、それを落とすのがとにかく大変でした」と、かずたんさん。
洗浄のために使用したのは、ヤマハ純正のケミカル用品「ヤマルーブ」の「スーパーキャブレタークリーナー(泡タイプ)」。
「新品」と言ってもわからないくらいキレイになったといいます。
キャブレターをしっかり洗浄したので、ジョグも動くだろうと思ったかずたんさんは、エンジンを掛けてみることにしました。しかし、何度キックをしてもエンジンは掛からず……。
インテークマニホールドにヒビ割れが……
他にも何か具合が悪い部分があるのか調べていくと、インテークマニホールドがヒビ割れているのを発見!
とりあえず新品のインテークマニホールドを注文したものの、届くまでの応急処置として「靴底補修材シューグー」を使って、ヒビ割れている部分を修復したといいます。
ヒビを修復したインテークマニホールドを付けて、キックを続けること約10分……10年間の眠りから覚め「ブィーン」というジョグのエンジン音が聞こえてきたのです!
ちなみに、ジョグのエンジンが掛かるまでの総額は4000円ほどだったとか。
内訳は大体、バッテリーの交換で1700円、古いプラグの交換で400円、キャブレターの分解・清掃に使ったケミカル類で500円、エアフィルターの交換で700円、インテークマニホールドの交換で700円といったところだそうです。
「直したいならバイクショップに修理をお願いすればよかったのに……なんて言われたりもしますが、メンテナンス費用を抑えたいというのもあったのですけど、仲間と一緒に直すほうが楽しそうだなと。もちろん、ネットで調べるなどもしましたが」(かずたんさん)
その後、復活したジョグに乗って大阪から京都府の天橋立へ向かったほか、奈良・和歌山など300km超えるツーリングを満喫したというかずたんさん。
そんなジョグは現在、近所のスーパーやコンビニなどへ買い物をするときのちょい乗り用バイクとして活躍中とのことです。
まとめ●モーサイ編集部・小泉元暉 写真●かずたんさん