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ホンダ ADV150ってどんなバイク?
学生時代からキャンプもバイクも好きな筆者ですが、バイクでキャンプに行くことはあまりありませんでした。なぜなら、SNSや雑誌で見かけるようなキャンプツーリングからは、どれも「スキのない」印象を受けたから。格好いいけれど、車両や道具を揃える敷居が高そうだし、荷物を効率よく積んだりするのが面倒だなぁと思ったのです。
ましてや「スクーター」でキャンプに行くという発想はなく、「キャンプにお薦めのバイク」をバイク歴の長い先輩ライダーに聞いたときにホンダ ADV150の名前が挙がったことは意外に感じられました。
ホンダ ADV150といえば、通勤ライダーからの支持も厚いPCX150のバリエーションモデルです。PCX150との違いについて少し調べたところ、ADV150はやや高めに設定された795mmのシート高や、このクラスのスクーターとしては破格のサスペンションストローク長、四輪で言えば「SUV」感のある骨太なデザインなど、アドベンチャーバイクのイメージが与えられたスクーターだということが分りました。
一方で、ADV150のコンセプトは「シティ」アドベンチャー。シティとつくからには、アドベンチャーとはいえ、得意なフィールドはやっぱり街で、まぁその延長線上でちょっと砂利道や未舗装路に入っても転びにくいですよ、くらいのものかと思っていたのが正直なところです。
ところが今回実際に使ってみると、ADV150とキャンプの相性は想像以上でした!!
ADV150の走破性「あえて悪路を選びたくなる頼もしさ」
まずは走破性。普通、スクーターででこぼこ道を走るのは怖い……と思うのですが、実際にADV150と一緒にキャンプに出かける前に想像していたように「うっかり未舗装に入ってしまっても転びそうな恐怖感がない」というよりは「ADV150と一緒ならこの林道をあとちょっと進んでみようかな」とか「砂利道だけど近道に挑戦してもいいかな」とか、もう少し積極的に遊ぶフィールドを広げたくなります。ADV150の持つ頼もしさが、安心感につながって、冒険心をくすぐられるのです。
ADV150の積載性「長尺物も入るのが◎」
次に積載性。キャンプ道具の中で運搬時の収納に困りがちなものは大抵縦に長いのですよね……。テントや背もたれ付きチェアの収納サイズは長さ60cm前後が一般的です。ADV150のラゲッジボックス(シート下収納)なら縦の長さが約70cmと長く、何も考えなくてもテントや折りたたみチェア等の長尺物が入ります。
「この長いヤツどうやって積もう」と考える煩わしさがなくなるだけで、キャンプに出かける精神的障壁は不思議なことにグッと低くなるし、収納スペース不足でほしいキャンプギアを諦めることも減るから、ギア選びが楽しくもなりそうです!!
キャンプ以外のシーンでも、ラゲッジボックスにヘルメット1個+結構な量のものが入るというのは、通勤や仕事帰りのお買い物に便利そうですね。
ADV150は149ccだから高速道路もOK!! 行動範囲が広がる
首都高などの自動車専用道路や高速道路をバイクで走行するためには、126cc以上の排気量が必要です。ADV150の排気量は149ccなので、問題なく高速道路を走ることができます。
そうは言っても、149ccのバイクで高速道路を走るのはパワー不足で苦しいのでは?と思うかも知れません。しかし実際には、ADV150の低中速域からの加速と高速域での速度の伸びは非常に良好。100km/h程度までなら、無理なく安心して走ることができます。また、ADV150にはベース車両となっているPCX150にはない装備として2段階可変スクリーンが装備されており、高速道路走行中の風からライダーを守ってくれます。
キャンプツーリングを行うにあたって、高速道路を走行できるかどうかは重要です。例えば今回のキャンプでは東京都の23区から千葉県の君津市まで行きました。すべて下道を走ると約2時間半かかりますが、高速道路と自動車専用道路(首都高速1号線/アクアライン)を使用すると1時間ちょっとで到着することができます。移動にかかる時間を1時間半近くも短縮できれば、その分キャンプ場でゆっくり過ごす時間も増えますね!!
ADV150は燃費良好!! 身長158cmの女子でも足着きはOK
週末だけ遊びで乗るのなら、多少は妥協できる部分かもしれませんが、普段の通勤などにも安心して使うためには、燃費の良さや足着き性のよさもより重要になってきますよね。ADV150ならその点もクリアしています。
ADV150の燃費はWMTCモード値で44.1km/L。タンク容量は3代目のPCXと同じ8L(現行モデルのPCXはタンク容量8.1L)なので理論上の満タン航続距離は44.1×8で352.8kmにもなります。
また、過去にモーサイWEBが行った高速道路走行を含む実走燃費調査では、なんとWMTCモード値を上まわる約55.5km/Lの燃費を叩き出しました。
足着きについても、平均的な身長の男性であれば全く不安に感じる必要はないと思います。ベース車両となっているPCX150と比較すると、サスペンションの延長にともないシート高はPCX:764 mm→ADV150:795mmと約30mm上がっていますが、足着き性を考慮したシート形状によって、数値ほどシートが高いように感じないのです。
筆者の身長は159cmですが、ADV150にまたがった状態でも両足の指の付け根までが接地するので、特に不安定さは感じませんでした。
キャンプツーリングデビューのコツは大上段に構えないこと
実際にキャンプをしてみて、ADV150とのキャンプにルールはないと思いました。
必ず買わなければいけないものはないし、ラゲッジボックス(シート下収納)があるため、当面はパッキングの勉強をする必要もないからです。そんなふうに「とりあえず見様見真似でやってみるキャンプ」や「完璧じゃないバイクキャンプ」を許してくれるADV150の懐の深さは、キャンプツーリング初心者の私の目にも魅力的に映りました。
冷蔵庫の余り物を袋に詰めてそのままラゲッジボックスに入れたり、用意したギアをパズルの要領でラゲッジボックスに詰めてなんとなくパッキングしたり、ADV150がその懐の深さで許容してくれる部分は少しくらいテキトーにやったって良さそうです。
その分、浮いた時間やお金で、例えばミルを持って行って豆から挽いたコーヒーを淹れるなど、こだわりたいところにはちゃんとこだわるというスタイルが最高に楽しかったです!! キャンプツーリングデビューのコツは大上段に構えないことなのだとADV150が教えてくれました。
27Lあるシート下収納をいかして現地の美味しいものをGETしながら進もう!!
ところで今回、ADV150に乗る筆者と、CT125・ハンターカブに乗るモデルのたけいみさとさんで女子キャンプに挑戦したのですが、テーマは「地産地消」としました!! これをもじった合言葉「千産千消」(千葉県で採れたものを千葉県で消費すること)を掲げ、推進している千葉県の南房総市付近が目的地だったのでツーリングの途中で出会う食べ物も楽しみにしていました。
魚介類やフルーツを道の駅で調達し、魚はキャンプ場近くの釣り堀でGET!!するはずだったのですが、これが大きな誤算。魚が釣れなかったのです。経験か、技術か、はたまた日頃の行いか。同行者は3匹も魚を釣っていたのに。1匹も魚を入れてあげることのできなかったADV150のラゲッジボックスは、約27Lもの収納容量を持て余し、なんだか寂しそうでした……。
ADV150の主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4ストロークOHC単気筒 ボア・ストローク:57.3mm×57.9mm 総排気量:149cc 最高出力:11kW<15ps>/8500rpm 最大トルク:14Nm<1.4kgm>/6500rpm 変速機:無段変速式
[寸法・重量]
全長:1960 全幅:760 全高:1150 ホイールベース:1325 シート高:795(各mm) タイヤサイズ:F110/80-14 R130/70-13 車両重量:134kg 燃料タンク容量:8L
[価格]
45万1000円
レポート●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●長谷川拓司/ホンダ