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「危ない」とか「お金の無駄遣い」、「そんなもんで遊んでいるヒマあったら家事を手伝え!」など、さまざまな理由で同居する家族からバイクの購入や愛車の買い替えを拒否されている人も多いようです。でも、どんなにディスられたって欲しいものは欲しいっ!
というわけでモーサイでは、これまで月刊バイク雑誌「モーターサイクリスト」の取材で聞いた一般ユーザーによる数々の逸話をもとに、家族にばれないバイクの購入や買い替えについて考えてみました!
バイクを購入するための、自由になるお金があることが大前提
同居家族にバレずに……という悩みを抱える人のほとんどは、これまでの取材経験に基づくと、奥様の猛反対を受けている旦那さんか、親と同居している若い女性。このうち前者は、「もしも事故でも起こしたら……」という心配以上に、お金に関することが拒否理由になっていることが多いようです。バイクを入手して、これを維持していくためには、少なからず費用がかかります。仮に車体を友人からタダでもらったとしても、保険代に消耗品代、もちろんガソリン代に……と、出費はどうしても多くなりますしね。
というわけで、家族にバレることなくバイクを買って乗るには、家族にナイショで自由に使えるある程度のお金が絶対に必要となります。お小遣い制のサラリーマン男性だと、これはかなり難しいことになりますが、過去には「昼飯をずっと抜き続け、それ以外も細かく節約して、毎月5万円のお小遣いから2万円を捻出。24ヵ月でとりあえず50万円貯めました!」なんていう人も……。結果的にこの人は、「これ以上はムリ……」と判断してバイクを購入した段階で奥様にすべて白状したのですが、その節約努力が認められて(?)バイクに乗ることを許されたそうです。
家にバイクの痕跡を一切残さない
自由に使えるお金があったとしても、バイクを購入したことを家族にバレないようにいるのはかなり大変。当たり前ですが、家に乗って帰れば「あんた、このバイクどうしたの?」とすぐに追及を受けることになります。そこで、家族に内緒でバイクに乗る人たちのほとんどが利用しているのがレンタルガレージです。
「レンタルガレージにはバイク+αの収納スペースがあるので、ヘルメットやライディングウエアやツーリングバッグなど、すべてのバイク用品をその中に保管しています。家からガレージに到着したら、まずバイクを外に出して、ガレージの中でちゃちゃっとライディング用のウエアに着替えて……。ツーリングから帰ったときはその逆で、朝に家を出たときと同じ普通の服装に戻して、念のため軽く化粧も直してから帰宅します。それでも自分では髪の毛がペタッとしているのが気になるので、なるべく家族と会わないようお風呂に直行ですね」
かつて、埼玉県某所に住むこんな完全匿名女性に取材したことがあります。彼女の場合、同居するご両親からの猛反対でバイクに乗ることを許されずにいましたが、一般企業にお勤めかつ実家ぐらしで家賃がかからないので、お金には余裕あり。「結婚するなら、バイクに乗ることを許してくれる男性。でも、そうなっても両親にはバイクに乗っていることを打ち明けないでしょうが……」と話していました。
一番の問題は突然やって来るバイク関連の郵便物!?
家族にナイショでバイクライフを楽しんでいる人の多くが「一番の問題」に挙げるのが、家にやって来るバイクに関連した郵便物。とくに「任意保険更新のお知らせ」と「定期点検の案内」がネックで、これによりバイクの存在がバレることも少なくないのだとか……。しかし、これらをうまく切り抜けている強者は少なくありません。
「定期点検などショップから発送される案内は、一切郵送しないようお願いしてあります。お世話になっているのはそれほど大きなショップではなく、フレキシブルに応対してくれるので、これまで間違って送られてきたこともありません。問題は任意保険絡みで、こちらは郵便物を妻が仕訳けて手渡しされるたびにしれっと受け取っていますが、もしかしたらバレているのか、それとも私の保険関係にそこまで興味ないだろうから平気なのか……。まあ、聞くわけにもいきませんしね」
こう話す東京都内某所在住の男性サラリーマンがいた一方で、さらにこの問題に関してケアしている、同じく都内在住の男性にお話をうかがったこともあります。
「私の場合はクルマも所有しているので、クルマと同じ保険会社に加入することにしました。我が家では、クルマの保険に関することはすべて私任せで、引き落としは家族口座から。バイクの任意保険がプラスされたときに金額が跳ね上がりましたが、なぜか気づかれずに済みました。もしも何か言われたら、『家族みんなのことを思って補償内容を充実させたらちょっと上がっちゃったけど、数年で割引が効いてくるから』とでも答えようと思っていました。最初さえ乗り切れば、あとはこっちのもの。郵便物が届いても、妻は開けることすらしないので、その中にバイクの保険が混ざっていてもバレることはありませんから」
いやあ、「家族のことを思って」とは、ちょっと姑息だけどなかなかよくできた言い訳です。ちなみに、郵便物がやって来るという理由からも、家族にバレずバイクを買いたいときに、クレジット(ローン)の利用はお薦めできません!
買い替え派の多くが主張する「色が同じなら大丈夫」説
さてこれまで触れてきたように、同居家族にまったくバレずバイクを新たに購入して楽しむのは、かなりハードルが高い行為なのですが「買い替え」となるとだいぶ可能性は高くなります。これまでバイクに乗ることを許されてきた(許されていないけど諦められてきた場合も含む)のですから、あとはそのバイクをささっと新しいものに替えてしまえばいいわけです。
一般的に、家庭内でバイクの買い替えを拒否されているパターンは、奥様が旦那さんに対して……ということがほとんど。ですからもちろんこのときも、まず大事なのは旦那さんが自由にできるお金。これがなくては始まりませんが、世の奥様というのは不思議なことに、例え旦那さんが必死に努力して貯めたお金であっても、それを家族ではなく自分だけのために使うことに嫌悪感を示す傾向にあります。ですから、なるべくならバレることなく買い替えを済ませ、できることなら永遠に間知られずいたいものです。
そこで、これまでこの極秘任務を完遂してきた猛者たちが口を揃えるのは、「似たようなカタチで同じ色のバイクならバレない」理論。彼らいわく、「うちの嫁はバイクにまったく興味がない。だからこそ買い替えにも反対する。しかし興味がないのだから、バイクのカタチや排気音がちょっと変わった程度では、ときどき目にする程度でその差に気づくわけナシ」というのです。
まあたしかに我々男性陣も、妻の口紅がちょっと変わったくらいでは「同じ赤色」なわけで、これはある意味で正しいのかもしれません。そもそも、乗らないときのバイクはいつもカバーを被っているわけで、ツーリングのたびに送迎でもされない限り、彼女たちがバイクを見る機会はほぼナシ。大きくシルエットが変化すればバレるかもしれませんが、フルカウルからフルカウル、ネイキッドからネイキッドへの乗り替えで、しかも同じ色ならちょっとくらい見られても……。
ただし過去に取材した人で、こんな理由で買い替えがバレた神奈川県在住の旦那さんもいたので要注意。以下は、その奥様の証言です。
「なんか、家に帰宅してからやたらと機嫌がいいときがあったんです。リビングでニヤニヤしながらスマホを眺めている時間も長かったし……。それで、何か企んでいるんじゃないかと思ったんです。バイクに関することはすべてお小遣いの範囲内で、ということしか約束していないので、別に買い替えそのものは勝手にしてもらっていいのですが、夫のほうは何か引け目を感じていたみたいです。でも子どもじゃあるまいし、あれじゃあバレバレですよ」
レポート●田宮 徹 写真●八重洲出版 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実