バイクライフ

中免は名前が変わり、AT限定もある! 令和時代の二輪免許&乗れるバイクの種類を解説

仕事でトラックやバスに乗る必要のある人などでない限り、クルマ=乗用車を運転するのであれば普通自動車免許で済んでしまいます。種類といっても、マニュアルかAT限定にするかといったところ。
一方、二輪免許は乗れる排気量の区分が細かく区切られており、かなりたくさんの種類があります。加えて、法改正により免許の名前が変わったり、新たに設定されたものもあるので、昔バイクに乗っていた人でも最新の免許の種類を見たら「この免許は何のバイクが乗れるの?」なんてと思うケースもあるのではないでしょうか。

今「チューメン」って無いんですよ! あと、バイクでもAT限定があるんですよ!!
また、免許をまだ持っていない若い人の中には、昨今あまりに250ccクラスが人気なため、いわゆる「中型」が250ccまでしか乗れないと思っている人もいるとかいないとか……。

そこで、当記事では免許の種類と、どの排気量のバイクに乗れるのか、どんなタイプの車両に乗れるのかについて紹介していきます。
なお、気を付けていただきたいのが「AT限定」について。もちろん、AT=オートマチック車の意味ですが、制度上、クラッチレバーの操作を必要としない車両がオートマチック車と見なされます。そのため、スーパーカブシリーズのように、クラッチ操作はないけれどギヤチェンジをして運転するタイプの車両は、AT限定免許でも運転できます。

最短1日、学科試験のみで取得できる原付免許(50ccまで)

運転できるのは、いわゆる「原付一種」と呼ばれる排気量50ccまでのバイクで、運転できるタイプにマニュアル、オートマの制限はありません。制限速度は30km/hで、高速道路を走ることはできません。また、二人乗りはできません。

学科試験を受けるだけなので、最短1日で取得できます。最も安く取得できる二輪免許でもあり、費用は全国一律で8050円(受験料、講習料、交付手数料)です。
普通自動車の免許を持っていれば原付一種のバイクも運転できるので、あえてこれを取得するという人は少ないかもしれませんが、コチラは16歳から取得可能です(普通自動車免許が取得できるのは18歳から)。

原付免許で乗れる車両は、新車販売されているものではスクータータイプが主流ですが、スーパーカブのように変速操作が必要なものもあるほか、絶版車ではクラッチレバーのあるマニュアルミッション車があります。

新車販売されているものはスクータータイプがほとんど。写真はヤマハのビーノ。

ホンダ スーパーカブ50。シフトペダルによる変速操作が必要ですが、「自動遠心クラッチ」を採用しており、クラッチ操作は必要ありません(クラッチレバーもありません)。

日数少なめで取得できる小型二輪免許/AT限定小型二輪免許(125ccまで)

いわゆる「原付二種」と呼ばれる排気量50cc以上~125ccまでのバイクが運転でき、16歳から取得できます。原付一種と異なり、原付二種は車両に対する制限速度はなく各道路の制限速度に準じることになりますが、高速道路や一部バイパスなど自動車専用道路を走ることはできません。
50cc以上~125ccまでのバイクは二人乗りも可能となりますが、免許取得後1年以上経ってからでないと二人乗りはできません。

現在、教習所で取得する場合、小型二輪免許だと最短3日、AT限定小型二輪免許は最短2日と短い日数の教習で済むようになっています。
小型二輪免許ならホンダCB125RやスズキGSX-R125などスポーティーなバイクに乗ることもできますが、現在新車で販売されているものはオートマチック車が主流。
AT限定なら土日を利用して週末教習を受ければ取得するという手もあるので、免許を取りにいく時間を確保しづらいけど、手っ取り早くバイクに乗りたいという人はAT限定でもいいかもしれません。

原付二種にもスーパーカブ110、そして現在注目を集めているCT125・ハンターカブなど、カブ系モデルがありますが、クラッチ操作がないのでAT限定免許で運転できます!

現在新車で買える貴重な125ccマニュアルミッション車の1台、スズキGSX-R125ABS。6速マニュアルミッションを搭載し、フルカウルを装備したスポーツマシンです。

多くの人から注目を浴びているCT125・ハンターカブ。自動遠心クラッチを搭載し、クラッチ操作は必要ないので「AT限定小型二輪免許」でも運転可能です。

新車で販売されるものはスクータータイプが主流。写真のホンダ PCXは好燃費なだけでなく、走行性能や使い勝手にも優れていて、ビギナーライダーからベテランライダーまで幅広く支持されています。

かつての「チューメン」、普通二輪免許/AT限定普通二輪免許(400ccまで)

排気量400ccまでのバイクに乗ることができる免許で、かつては “中型二輪免許”(チューメン)と呼ばれていたもので、16歳から取得できるのもチューメンから変わっていません。

125cc以上のバイクは高速道路の走行が可能で、高速道路ふくめ二人乗りも可能です。
ただし、二人乗りをするのは免許取得後1年を経過していなければいけないのと、高速道路での二人乗りは免許取得後3年以上経っており、なおかつ運転者が20歳以上でないと許可されません(16歳で免許を取得し3年経過して19歳になっていても、高速道路の二人乗りはNGとなります)。

普通二輪免許/AT限定普通二輪免許で乗れるようになる125cc~400ccまでのバイクの中にも種類があります。125cc250ccの「軽二輪」は車検が不要となるのです。維持費を安く抑えることができることもあり、若い人からベテランまで人気の高いジャンルです。
一方、250cc~400ccは2年ごと(新車購入の場合は初回のみ3年)に車検があります。

車検不要な「軽二輪」で昨今人気を集めているのが、250ccのフルカウルスポーツモデル。写真はその1例、カワサキ ニンジャ250。

中免(=今日の普通二輪免許)で乗れる最大排気量ということで、かつて各国産メーカーが多数ラインアップしていた400ccマニュアル車。しかし、2020年現在新車で購入できる国産車は、写真のホンダCB400スーパーフォア、ホンダCB400スーパーボルドール、ホンダCBR400R、ホンダ400X、ヤマハSR400、カワサキNinja400、カワサキZ400の7車種となっています。

AT限定普通二輪免許で乗れる125cc400ccのバイクはほぼスクータータイプとなります。かつては250cc400ccのスクーターが多く販売されていましたが、現在新車で購入できるものは150ccが多く、排気量の大きなものは少なくなっています。

国産メーカーで現在唯一新車で購入できる400ccスクーター、スズキ バーグマン400。

今は教習所でも取得可能!大型二輪免許/AT限定大型二輪免許(排気量制限なし)

大型二輪免許となると排気量制限が一切なくなりますが、取得は18歳からとなります。
乗れるようになるバイクは、400cc以上の“大型バイク”こと大型二輪で、ナナハンこと750ccでも、リッターバイクこと1000ccでも、1800ccのハーレーでも、8000ccのバイクでもOKです。
当然、大型バイク=250cc以上で「軽二輪」枠から外れるので、車検があります。

言わば普通自動二輪の上位互換的存在になるので、400cc以上のバイクはもちろん高速道路の走行もできますし、一般道・高速道路問わず二人乗りもできます。
が、二人乗りができるようになるまでの期間が必要となる点は普通自動二輪免許と変わりません(ただし普通自動二輪免許を取得していた場合、その期間も通算としてカウントされます)。

バイクに詳しくない人でも知っている大型バイクの代名詞的存在、ハーレーダビッドソン。時代とともに排気量の拡大が進み、現在大排気量のモデルでは1800cc、1900ccのエンジンを搭載するものも存在します。

AT限定大型二輪免許は2019年から乗れる車種が増えた

AT限定だとどのようなバイクが乗れるかというと、ヤマハTMAXやキムコAK550など大排気量のスクーターもあるのですが、AT限定普通二輪免許と異なり、スクーター以外の選択肢が出てくるのも特徴です。

じつは、従来までAT限定大型二輪免許には「650ccまで」という上限排気量があったのですが2019年の法改正より上限が撤廃されたのです。

クラッチ操作の必要ないバイクが増えてきたこともあり(*)、デュアルクラッチトランスミッションを搭載するホンダ ゴールドウィングDCT、CRF1100LアフリカツインDCT、ホンダNC750S DCT、ヤマハ電子制御シフトを搭載するヤマハFJR1300ASなど様々なモデルが乗れるようになりました。

*クラッチレバーは存在せず、変速ボタンか変速ペダルの操作のみでギヤチェンジを行う。車種によっては完全自動で変速をしてくれるモードを備えるものも。

大型二輪に区分されるスクーターの一例、ヤマハ  TMAX560。排気量は560cc。

排気量1800ccを誇るホンダ ゴールドウイングシリーズ。デュアルクラッチトランスミッション仕様車はAT限定大型二輪免許で運転できます。

ヤマハFJR1300AS。ヤマハ電子制御シフトを搭載し、こちらもクラッチレバーの操作が不要で、AT限定大型二輪免許で運転できます。排気量は1300cc。

「排気量」が無い電動バイクはどの免許で乗れる?

エンジンではなくモーターで動く電動バイクには「排気量」がありませんが、モーターの出力によってクラス分けがされ、該当のクラスを運転できる免許が必要となります。かつては出力1kW以上のものはすべて普通二輪(125cc~400cc)扱いでしたが、2019年の法改正により高出力な車種(20kW以上のもの)は大型二輪という区分になりました。

TV番組で有名となった電動スクーター、ヤマハ Eビーノは原付一種の扱いです。

PCXをベースとする電動スクーター、ホンダPCXエレクトリックは原付二種の扱い(ただし、PCXエレクトリックは官公庁や法人向けのリース向け専用車となっています)。

上記のように二輪免許の種類はたくさんありますが、目的によって取得する免許を選べる点は逆にクルマとは違うメリットにもなります。
通勤や通学の手段としてバイクに乗りたい、とにかく短時間で免許を取得したいというならAT限定小型二輪免許や原付免許、趣味としてツーリングやスポーティーな走りを楽しみたいのなら普通二輪免許や大型二輪免許……と、免許取得前に自分に合ったバイクライフをイメージしてみてください。

(注)二人乗りが可能なのは、車両の乗車定員が2名となっていて、後部座席やタンデムステップなど二人乗りをする装備が付いている車両となります。

まとめ●モーサイ編集部

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