5月27日から予選走行がはじまった2024年のマン島TTレースは、5月31日で練習と予選走行をすべて終え、6月1日から決勝ウィークに突入した。そして、今年6回目の挑戦となる山中正之選手は、スーパーツインTT(2気筒650㏄)に出場し、予選をクリアして決勝レースに駒を進めた。
今年の予選走行は、28日は悪天候のため、30日は一般車両の交通事故の処理のためにキャンセルされた。しかし31日に予選4と予選5を行い、スケジュールをひとつでも多く消化したことで予選ウィークを終えたのだった。
マン島TTに挑み続け、2024年で6回目となる山中正之選手は、スーパーツインTTに出場している。これまではスーパースポーツTT(4気筒600㏄/3気筒675cc)にも参戦してきたが、今年はスーパーツインTTのみの出場となった。 所属チームも昨年同様にチームI.L.Rからの参戦で、マシンはカワサキ ER-6fをベースとしたレーサーだ。
山中選手の初走行は5月27日で、2周のセッションを無事に終了。その後、29日に2周、30日も2周、31日にはウォームアップラップで1周をこなして計7周を走り、予選を通過した。
2023年はスーパーツイン決勝レース2で20位完走、タイムは1時間2分33秒765(周回数3)、平均速度108.553mph(約174km/h)を記録。トップライダーのタイムの110%以内に入ってブロンズレプリカを獲得した。山中選手にとってこれが初めてのレプリカ獲得だった。

そんな山中選手の今年の目標は、タイムとスピードで昨年を超えることだ。そしてそれが来年の礎となる
「今年はスーパーツインに絞ったので、予選でも効率的に仕上げられました。今まではスーパースポーツと同じ乗り方をしていたのですが、スピード域が違うのでスーパースポーツとはブレーキングポイントや使うギヤも異なってくるのです。予選走行の7周でその調整ができました。
やりたいことは他にもまだありますが、今やれることは全部やりました。あとは、緊張しすぎることなく、楽しく決勝を走りたい。気合を入れすぎるとミスにつながりやすくて、たとえばコーナリングでミスをすると、それがその後に悪い影響を残してしまうんです。サーキットレースならリカバリーできるのですが、マン島だとそれがむずかしくて、さらにその差が大きいんです。」

1周約60kmにも及ぶスネーフェルマウンテンコースには、緩急合わせて200以上のコーナーがある。もちろん山中選手はコースをすべて頭に叩き込み、身体に染み込ませている。今年も5月17日にマン島入りしてから毎日、早朝などの空いている時間帯にクルマでコースを走り込み、その周回数は50を超えている。コーナーの向きや深さはすでに覚えているが、路面補修などのアップデートを行いつつ、コース習熟度を深めなければならないからだ。これも公道レースゆえのむずかしいポイントだ。
「ひとつひとつのコーナーで攻めるのではなく、全体のスピードレンジを上げるよう意識して走れば、いい結果につながると思っています。決勝レースでいい結果を出すことに集中できていますし、去年よりもタイムアップできると思っています」
山中選手が出場するスーパーツインTTは2レースが行われる。レース1は6月4日、レース2は6月7日に行われる。マン島TTレースは公式ライブ配信も行っているので(https://ttplus.iomttraces.com/browse )、 ぜひとも日本から山中選手を応援しよう。

チームI.L.Rのパドックで、かつての山中選手のチームでメカニックを務めたマーティンさん(右)を迎えた山中正之選手。マーティンさんはその後マーシャルとしてマン島TTに参加している。

アライヘルメットはマン島TTをサポートして2024年で40周年を迎える。マン島TTに参戦するライダーのおよそ8割がアライユーザーだという。レーシングライダーのヘルメットの点検・調整などはもちろん、一般ライダーのヘルメットのメンテナンスも行っている。山中選手はシールドの曇りについて相談し、アライのサポートを受けた。
レポート&写真●山下 剛 編集●上野茂岐