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常設展示は年代別で区切った4テーマに
ホンダコレクションホールは、本田技研工業の創立50周年を記念して、1998年3月にツインリンクもてぎ(現モビリティリゾートもてぎ)にオープンした、世界でも有数の所蔵台数を誇るホンダのモデル展示施設である。
2023年は本田技研工業創立75周年であると同時に、コレクションホールも開館25周年を迎えたため、これを機会としてその展示を大きくリニューアル。2024年3月1日から公開が始まった。
これまでは二輪と四輪、各々のレーシングマシンと市販モデルという、4つのカテゴリーを、建物の2階・3階を使った4つの展示スペースに分けて展示していた。そこでは約300台という圧巻の展示が大きな特徴だった。例えば、一連のRCレーサー群などが年式・排気量別に勢揃いした様は壮観のひと言だった。
しかし、今回のリニューアルではホンダが75年の歴史の中で紡いできた「夢と挑戦の物語」を体感できる場として、一般の来場者にも分かりやすく、よりホンダ製品を身近に感じられる展示内容へと大きくその姿を変えたのである。そこでは、創業期から現代に至るまで、厳選されたホンダ製品や、その活動の歴史をタイムラインに則り展示している。
創業から1970年前後、1985年前後まで、2000年代まで、そして2000年代以降と、年代別に4つの展示スペースをきっちり4つのチャプターに分け、同じ時代の二輪と四輪、あるいは汎用機などが一緒に展示される。しかも、新たに来場者のスマホにリンクする「音声ストーリーガイド」を導入したことによって、その足跡を自分のペースでより詳細に辿ることが可能になった。
「創業から1970年前後」エリアの例
「1970年前後から1985年前後まで」エリアの例
6月まで開催の企画展『CBヒストリーPart1』は、日欧他メーカーの車両も展示!
半面、ホンダの歴史の中でも特徴的なモデルをゆとりあるスペースの中で観覧してもらうために、展示台数はおおよそこれまでの半分、通常展示を160台程度に抑えている。
したがって、これまでのようにシリーズごとに多数のモデルが並ぶような展示ではなくなっているので、マニアやレースファンが、お目当てのモデルに出会えなくなった可能性もある。しかし、その分、インパクトある展示も行われる。
それがメインの展示とは別に、期間限定で開催される企画展だ。現在はリニューアル記念として、特別企画『CBヒストリーPart1』が開催されている。そこでは、1959年の「初代CB」ベンリイCB92スーパースポーツから、1969年のドリームCB750 FOURまで歴代のCBシリーズを多数展示しているが、ここで注目したいのは当時のCBのライバルとも目される国内外の他社製ロードスポーツも数多く展示していることだ。
何しろ、これまで展示される機会がほとんどなかった、あるいは初公開とも言えるコレクションホール秘蔵のレア物マシンが並んでいるのだ。今回の展示で言うと、NSUやパリラ、トライアンフT120ボンネビル(もちろんオリジナルの方)、そしてMVアグスタ600フォア(エンジンは当時のGP500レーサーベース)などは、バイク好きの度肝を抜く逸品だ。それもほとんどがコンクールコンディションであり、間違いなく一見の価値があると断言しておこう。
この特別展示は、2024年6月30日(日)まで開催されているが、その後も秘蔵モデルを一気公開するような企画展や、歴代レーシングマシンを全部並べるなど、ホンダコレクションホールにしか出来ない大胆な企画展に期待しようではないか。
レポート●関谷守正 写真●小見哲彦 編集●上野茂岐