バイクライフ

【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLX125に装備追加!取材用カメラバイクに仕様変更」

■ノーマル/市街地仕様だったKLXクンを、より林道走行に向いた仕様に変更しました。

先代カメラバイクの装備をしっかりキープしていた

走行距離1000km台というのに白サビだらけだったKLX125の整備&メカいじりコラム、続行です。
ようやく基本整備を終え(長かったですよねぇ)、満を持して山岳レース対応仕様への改良をじっくりと始めました。まずはコケたときに手を挟みにくいよう、ハンドガードを付けたかったんです。
以前にカメラバイクとして愛用していたホンダのSL230は素直で良いバイクでした。でもそこから125ccクラスにサイズダウンすることに。理由は、すでに先の記事に書きましたとおり、任意保険が四輪と一緒にファミリーバイク特約が使えることと、トランポへの積み下ろしが一層軽いためです。
SL230を売却する際にはハンドガードや後付けのスクリーンを外し、手元に残しておきました。まさに今、次期マシンとなるKLX125を改装するために保管しておいたわけです。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■材料はこんな感じ。タンク脇のシュラウドをライムグリーンに変更したのに合わせて、ヘッドライトカバーもライムグリーンの新品を……ついに新品を!調達。ガードの取り付けとヘッドライト周辺にも手を加えます。

グリップエンドの対振動性能は重要

ハンドガードの取り付けには、バーエンドやスロットル部分の加工が少なからず必要となりますよね。
ご存じの方も多いと思いますが、純正のハンドルバーにはエンド部分に鉄などの金属が押し込んであります。KLX125の場合はおそらく半自動溶接機で点付けの固定がされているようでした。
この(バランサー)ウエイトの存在は、振動対策の面でとても大事なんですよね。アルミハンドルバーに交換するのは簡単だし、軽量化にはなります。ただ、車体固有の振動の出方によっては極めて不快な振動が発生して、手先が痺れてしまう現象が起きるケースもあります。
古い話ですが、筑波サーキットで単気筒車のレースに出場していたころ、SRX250のハンドルバーをマグラ社製のアルミ製セパレートハンドルに変え、バーエンドは空洞のままにして走らせたことがあったんですが……。そしたら、「白蝋病になっちゃうかも~!?」ってくらい、裏ストレートで激しい振動が出ました。
SR500改でシングルエンジンの激戦区である2VSクラスに出場したときも同様で、硬い振動が発生。
ツイン、シングルエンジンの車両では、ヘタにハンドルのバランサーを撤去するべきじゃないなと、レースを通じて思い知らされたわけです。
KLX125ではカメラバイクという特化した用途の都合、山岳レース撮影の閉鎖区間をそこそこ飛ばしますからね。振動については考えておかなければなりません。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■純正ハンドルバーのバーエンド部は、水分対策なのかもしれませんが貫通していませんね。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドルグリップに穴あけ加工したら、いったん撤去。次にスロットルグリップの樹脂パーツも、まずはドリルで開口処理。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■スロットルグリップをスイッチボックスから外し、内径をハンドガードのインサートに合わせて削る。リューターで使うロングシャンク刃が便利でした。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドルバーに埋め込まれた、おそらく鉄でできたバランサー。「溶接してあるじゃ~ん!」と一瞬たじろぎましたが、点付けなので削ったら取れるんじゃなかろうか?とやってみました。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■もう、ハンドルバー自体を車体から外しての作業です。点付け箇所をツライチまで削って、少しだけ大きめなドリル刃をねじ込んだら、ズズッと抜けました(なぜか「勝利」した気分)。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドガードの取り付け材が入る部分の寸法と、先ほど抜いた元のバランサーの切断予定の寸法を合わせてみます。この長さを切って再度埋め込もうという魂胆です。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■マジックでマーカーを入れ、高速カッターで切断。終わったら軽くバリ取りします。

丁寧に調整しての組み付け作業

そんなことを振り返りつつ、純正ハンドルの改造です。内部に埋め込まれた芯を引っこ抜いて加工します。ハンドガードの刺し込み部分の寸法分をカットして、再度ハンドルバーの奥に埋め込みました。
また、ハンドルに取り付けるためのステーの長さもSL230とKLX125の寸法差を調整するために、アルミ材を旋盤で削って寸法合わせしました。ハンドルの曲面への取り付けになるアルミ材にも、ベルトサンダーで切削加工を施します。
作業を簡略化すればそう時間はかからないのですが、KLX125は長い相棒になるだろうからと、丁寧に微調整をしてみました。アルミ材だからとねじれた状態で無理に取り付けるのは避けたかったのです。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■実はハンドルバーも自分の肩幅に合わせて両端を少しだけカット。面取りしておきます。どうせ手間のかかる作業なので、狭すぎない程度にハンドルをショート化しました。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■衝撃と水分に強く、カヌー関連でも多用される接着剤「セメダイン スーパーXG」を投入。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■カットした純正のバランサー部分にセメダイン・スーパーXGをたっぷり塗ってハンドルバーへ。この接着剤は丈夫なのと、割と振動に強いのが気に入っています。長期間の使用でも、ハンドルバーの中で外れて暴れたりしないと推測。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■いったん引っこ抜いたバランサーが、上記の加工を経て短縮化され、再び元の場所へ。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドガードを取り付けた際の、内部との寸法差が丁度合致したようです。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■よしよし……といった満足感アリ。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドルバーを車体に戻すと、今度は内側に取り付けるステーが長過ぎて芳しくない模様。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■現物合わせの採寸で出した数字をノギスでけがいてみました。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■内側のネジを痛めないよう留意しながら、愛用のミニ旋盤でケガキ線まで削ります。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■作業前と作業後の左右のステー。大した差ではありませんが、こういう作業も大事。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドルに取り付けるスイッチボックスに付いている突起に合わせ、ハンドルバー自体にも穴あけをして回り止めをしておきます。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ハンドル幅を少し縮めたためにステーのクランプがハンドルの曲線部分に差しかかってしまい、きちんと固定できなかったのを削り作業で対処。接触面は十分残りました。

目指せ!「ミニアドベンチャー」マシン

また、純正のヘッドライトをより明るくできないかとバルブを新品に交換。
ついでにライムグリーンのヘッドライトシュラウドも調達したので、これまたSL230に付けていたKATANA用スクリーン改を再び取り付けるべく加工。後ろ側にスペースの余地がなかったので、はみ出たボルトをベルトサンダーでナットとツライチになるまで削って問題を解消しました(後日削り面はスプレー塗装)。
これでちょっと山岳仕様らしさが出てきて、嬉しい! 続いてはフォグランプとかガード類をどうにかして、より「ミニアドベンチャー」っぽくしたい!と思っています。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■より明るいヘッドライトを!と、Web上でわりと評判の良かったバルブを調達。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ライムグリーンの新品ヘッドライトカバーに容赦なく穴あけ。KATANA用社外スクリーンの取り付けにかかります。ところが、ナットからのボルトの飛び出しが長く、ヘッドライト上の配線やインナーカバーに干渉してしまいました。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■ベルトサンダーで少しずつボルトを削り、ナットの厚みまで薄く削り込んでみるとヘッドライト周辺への干渉がほぼなくなりました。これで取り付けが可能になります。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■スクリーンを付ける前、別の日に新バルブの点灯テストもしておきました。明るくて爽やかです。

「KLX125に装備追加して取材用カメラバイクに!」

■「出来た~!」と、すかさずホームセンターに買い物に行っちゃった図です。傍目で分からないほどのハンドル幅変更が案外効いているし振動も増えてない。目論見どおりに一次改良ができました。もっと快適にしたいな。 

レポート&撮影●小見哲彦


プロフィール●小見哲彦

無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーとしてバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を2021年より依頼されている。

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