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2023【マン島TT 現地速報!】最終日 最強ライダー決定戦!シニアTT「鉄人ダンロップ選手を抑え、ヒックマン選手(BMW M1000RR)が栄冠を勝ち取る」

■シニアTTで優勝を決めて、TT勝利数を13に伸ばしたピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)。バラフブリッジでのジャンプも飛びすぎず、それでいて抑えすぎず、バランスいい走りで駆け抜けていった。

6月10日(土):シニアTT

マン島TTもいよいよ最終日。本日は最高峰レースである「シニアTT」が行われた。シニアTTとは、今年活躍した選手たちの選抜レースのような位置づけで、戦闘力が高いことからライダーたちはスーパーバイクTTを戦ったマシンを選択する。そのためスーパーバイクTTレース2という側面もあるが、やはりシニアTTを制した者こそが真の王者であり、最速のマシンと認められる。そんなレースだ。

編集部註:スーパーバイクTTはSBK(スーパーバイク世界選手権)に準拠したチューニングが施された、市販車ベースのレーシングマシンで競うカテゴリー

さて、シニアTTのレポートの前に、ちょっと寄り道しよう。昨晩は23時からダグラスの夜空を花火が彩った。毎年恒例でTT最終日前夜に打ち上げられる。ダグラスの港を見下ろせる公園には家族連れやカップル、TTを観戦に来たライダーたちが訪れて静かに花火を眺め、TTの終わりを惜しんだ。

海辺のプロムナードにはTT期間中、移動遊園地がやってくる。TTがただのレースではなく、マン島を挙げたお祭りであることを実感させてくれる場所がプロムナードなのだ。
TTのグランドスタンドや各地の観戦スポットは年齢層が高く、日本もイギリス(ヨーロッパ)もライダーの高齢化は同じなのだと思わされるが、プロムナードにやってくると島のティーンエイジャーたちが集まって賑わっている。
マン島TT主催者はそうしたティーンエイジャーたちがグランドスタンドへ集まるよう、連日ステージイベントを催したり、ケータリングカーを増やしたりと若年層の取り込みにも力を入れているようだ。

マン島首都・ダグラスの海辺の舗道(プロムナード)には、TT期間中に移動遊園地がやってきて、さまざまなアトラクションで楽しめる。
こちらはゴーカート。決められたコースはなく、自由に走り回って他車と衝突してもオーケーというスタイルだ。
こちらは日本の夜店でも見かける射的。そのほかに輪投げやボール投げ、サッカーのPKなど的当てゲームが多数揃っている。
こちらは輪投げの的。豪華賞品に加えて50ポンド札(約8757円)がついているので、相当難しいか、あるいは獲得できる可能性はほぼない賞品だろう。
こちらはビックリハウスのような仕掛け館。流れる水の上の踏み台を歩いたり、急なエスカレーターのような階段で移動したりする。
回転しながら揺れ、通行人の真上まで振り動く巨大ブランコ。このほかに逆バンジーや観覧車といった大仕掛けのアトラクションが多数あり、とても移動式の遊園地とは思えない規模だ。
TT最終日前夜、23時に打ち上げられた花火。日本の花火と比べるとささやかだが、だからこそ2週間続いたTTの終わりが近づいている実感がじんわりと込み上げてくる。

ヒックマン選手(M1000RR)、ダンロップ選手(CBR1000RR-RファイアブレードSP)、ハリソン選手(ZX-10RR)のせめぎ合い

そして迎えた最終日は、ウォームアップラップ、サイドカー100周年記念ラップ、シニアTTの順番で走行が行われ、10時に道路封鎖がはじまった。コース整備に時間がかかったためスタートが遅れたものの、12時45分にシニアTTの火ぶたが切って落とされた。
注目はマイケル・ダンロップ選手(ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP)が現役選手最多勝利記録を更新できるか、またはピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)がそれをはばんでTT13勝目を挙げるか、だ。

コース中盤、ジャンプスポットで有名なバラフブリッジそばの民家の玄関に張られていた手描きのポスター。きっとこの家の子供が描いたのだろう。将来はTTライダーになるだろうか。
バラフブリッジは小さな橋ゆえにアプローチが急峻で、ライダーによってはかなりの飛距離・高さのジャンプをする。まるでモトクロスのようにマシンを操ってジャンプしているのはクレイグ・ニーブ選手(ホンダ CBR1000RR SP)。

ヒックマン選手は1周目の序盤こそトップをディーン・ハリソン選手(カワサキ ニンジャZX-10RR)に譲っていたものの、区間タイム記録を更新する走りでトップを奪うと、2周目に入ったときにはハリソン選手に6.1秒先行。ヒックマン選手の勢いはとまらない。そして、その差を10秒に広げていく。ピットインのタイミングによってハリソン選手はヒックマン選手との差を約8秒まで縮めたが、ヒックマン選手は再び10秒差まで戻していく。
ダンロップ選手は二人の勢いについていけず、3位をキープ。5周目には後発だったヒックマン選手がダンロップ選手をオーバーテイクし、ヒックマン選手はさらに引き離していく。

そしてファイナルラップの6周目、ヒックマン選手は見事にチェッカーフラッグを受け、2位のハリソン選手に約20秒の差をつけ、2023年マン島TTシニアTTを制覇。13度目のTT勝利を挙げた。ダンロップ選手は3位でフィニッシュし、現役選手TT最多勝利記録更新は来年のマン島TTまで保留となった。

マウンテン区間の後半にさしかかるあたりのコーナー・ブランディウェルで、ピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)はマイケル・ダンロップ選手(CBR1000RR-RファイアブレードSP)を後ろに従えてフィニッシュラインへ走っていく。
マウンテン区間はここからもう少しハイスピードコーナーが連続し、やがて一直線に山を駆け下りていく。ダンロップ選手はチャンスをうかがいつつ、必死でヒックマン選手に食らいつく。

今年、2023年は霧や雨などの天候、クラッシュなどの赤旗といった要因でレースが中断したり中止になることが一度もなく、走行開始時刻こそ遅れたがTTは順調にスケジュールを消化した。ここまで晴天が続いたTTは、100年以上続く歴史のなかでもきわめて稀有なのではないだろうか。

しかし残念なことに6月6日(火)のスーパーツインTTレース1、ファイナルラップでラウル・トラス・マルティネス選手(46歳)がクラッシュして他界した。2017年にTTデビューしたスペイン人のマルティネス選手は、昨年、2022年のスーパーツインTTで15位、同日のスーパーストックTTレース1では20位に入賞。TT出走数は21回で、18個のブロンズレプリカを獲得しているライダーだった。マルティネス選手に哀悼の意を表すとともに、彼の功績と果敢なチャレンジ精神を称えたい。


前日のスーパーツインTTレース2の表彰式が行われ、ブロンズレプリカを受賞した山中正之選手はステージ上でガッツポーズ。
山中選手のブロンズレプリカ獲得には、チーム監督のイアン・ロッカーさんも自分のことのように喜んだ。
マン島TTブロンズレプリカ。銘板には山中選手の名前と速度記録が刻印されている。

レポート&写真●山下 剛

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