目次
■装着してみてちょうどいいものが、自分にとっての最高のグローブ
みなさん大好き! 一問一答方式で、グローブを知ろう!
はい、みなさんこんにちは!!
バイクアパレル業界の内側から発信! 上野です。
「バイクのよろずはなし」メーカーの仕掛け人コラム第三弾!! です。
さて前回、ライディンググローブの機能、仕様について説明させていただきましたが、今回はさらにグローブのことを掘り下げて、質疑応答の感じで書いていきたいと思います。
このあと出てくる質問文は、『モーターサイクリスト』誌編集部のK氏とのやりとりの中から出ててきたものです(笑)。
本当ね……編集部の人って人材の宝庫!! 話が面白い人たちが多いです。
そんな人たちが本当はこんなコラムとかやった方がおもしろ話になるんだろうな……と、
つくづく感じる次第でございます。
(編集部K注:ああこれは、持ち上げてからの「まるなげ!」につなげるワザですな! どうしよう困ったなとつくづく感じる次第でございます〜。)
さてそんな編集部K氏の質問……ぶっ飛んだものがあったので勝手に削除して……私が答えられるものだけお答えします(笑)。
(編集部K注:不必要なものは、どんどん削ってください! 読む人のことを考えての質問いろいろだったんですけどね。……今度の打ち合わせはウナギがいいな)
メッシュや電熱入りなど、シーズンごとに替えないといけないものなの?
グローブは季節に応じたものを使用することをお勧めします。
手はじつはかなり汗をかく場所でもあります。
極端にいうと冬物のグローブを真夏に使うということは、真夏に毛皮のコートを着ている状況と同じですね。
汗で蒸れた状態でのライディングなんて不快そのものです。衛生的にも良くないです。
逆に、夏用グローブを冬に使うのは我慢とか根性とかそういう問題じゃないくらい、危険なことです。
冬の冷たい雨に濡らされたグローブは風に当たるととんでもなく冷たくなります。
指が動かせないどころか凍傷になる恐れもありますので、できれば防風・防水フィルムを使ったグローブを使ってください。
単純に寒さを防ぐというならば……ハンドルカバーに電熱グリップは最強ではないでしょうか……こたつ状態が得られるわけで……。
レバーやスイッチが見えないぶん、操作性に慣れは必要ですがね。
乱暴な言い方だと冬用グローブとグリップヒーターのいいとこどりが電熱グローブだと思っています。
グローブはいっぱい出ているけど、じゃ、一番いいのはどれ? それだけ教えてくれればいいや
はい。自分の手に一番フィットし、操作性に優れたものが一番いいと思います(笑)。
これは……実際に現物で試してみないと分からないことなので、非常に難しい問題です。
それどころか、お店で試着しても実際バイクで使用してみたら、「あれ? こんなんだっけ?」となることもあります。
ある程度、見越しておかないといけない部分があります。
それは何か……グローブのメイン生地にもよりますが、指の長さ(余裕)についてが、悩むべきところです。
試着で指先がピッタリすぎると、実際にバイクのグリップを握ったときにはグローブが丸まるために甲側が引っ張られ、指先がグローブの先端部に当たってしまうこともあり、それでは窮屈さを感じてしまいます。
少しだけ指先に余裕があるものを選ばれるといいと思います。
特に親指は、バイクのグリップを握ると、グリップに沿うように人差し指との間が引っ張られるので、少し長めのほうがいいかもしれませんね。

■親指以外はピタピタより2〜3mm長いものを選びます。親指は5mm程度長いものを選びます。立体裁断とはいえグリップを握ったとき、グリップに押されて親指と人差し指の間が奧にずれるので、親指の長さには多少余裕があったほうが指先にグローブの干渉を感じずに済みます。
メンテナンスが楽なものと、そうでないものがある?
メンテナンスが比較的楽なものは、夏用のメッシュクローブです。洗っても乾くのが早いですし。
冬物のナイロングローブも洗えます。
洗い方は夏物も冬物も共通で、薄めた中性洗剤で押し洗いする感じで優しく洗います。
けっして強くゴシゴシもみ洗いをしたりしないでください。冬物だとそうした行為で中の防風・防水フィルムが破れたり、止めが外れたりしてしまうからです。
すすぎ後、脱水は絞ってはいけません。ドライヤーでの強制乾燥も行なわないでください。これもフィルムや生地の劣化を避けるためです。
電熱グローブについては、ごめんなさい!! 私の企画した製品ラインナップにはないので、その件に関してはお答えできないです。
おそらく洗えたとしても同じ洗い方だと思うのですが……各メーカーさんの使用上の注意よく確認してください、ね。
グローブの立体裁断はどれくらい重要?
そもそも、「グローブの立体裁断」とは?
はい、お答えいたします。簡単にいうと、レーシンググローブのようなスポーツモデルが立体裁断となっていて、グリップを握ったときの形状をしています。
特にナックルプロテクターが付いているモデルでは、立体裁断していないと拳の部分にプロテクターが合わずヘンに干渉してしまい、拳が痛くなったり、指のほうまで突っ張ったりします。
昔のレザーグローブは、使って自分の手の形に合わせる!! という感じで立体的な構造はしてないものもありましたが、最近では見なくなりましたね。

■立体裁断は装着していなくてもグリップを握る形状になっています。

■装着していなくても反り返っているのが立体裁断の証!
国産にこだわる必要ってある? 品質差は?
国産だから安心・安全・最高級というのは、人それぞれの価値観だと思います。
主に国産とうたっている製品はレザーグローブですし。メッシュ生地やナイロン生地をメイン素材とした国産のバイク用グローブは見たことがありません。
グローブって、すごい数のパーツで組み上がっているので、特にテキスタイル系の国産化はコスト的にも大変難しいと思います。
個人的に言わせてもらうと、海外の熟練工の縫い子さんに追いつくのにどれくらいの時間と労力が必要になるかと考えただけで……国産にこだわっての製品化にはあまりメリットがないように思われます。
ひと口に海外生産と言っても、今や中国だけでなくパキスタン、バングラディシュ、インドネシア、スリランカなど、いろいろな国で作られています。
また、より良い品質で海外生産するために、各メーカーさんも努力しています。
ライディンググローブにこだわるのであれば、生産国がどうこうより、自分に合ったサイズ感、使用感を優先された方がいいと思います。
「縫製を見ると品質がわかる」と聞くこともあるけど、ホント? そうなら、どこをみるの?
むむ(笑)。そうですね……これはあまり言いたくないですが……(笑)。
ちなみに私が判断しているところを少しお教えしますと、指の作り方です。
縫製だけでいうと海外生産も国産もそれほど差はないと思います。そうなのですが、指部分では差を見つけ出しやすいです。
指部分は、パッと見た目でヨレていたり、ねじれていたりするのが分かってしまう部分です。装着するとねじれが出たりするものもあり、これも分かりやすいです。
指の部分は本当に作りが複雑で、それだけ製造が難しく、手間がかかる部分だから、どうしても差が出てしまうのです。
ライディンググローブをはめたときのピタッとした感触は、マシン操作するために大事なもの。ぜひ、指先の状態にまでこだわってグローブを選んでください。
選んで間違いのないグローブのブランドを教えて
えー(笑)、もちろん私たちが作っているグローブです!!と言いたいところですが。
こればっかりは、メーカーさんによって付け心地に違いがあります。
ですので、ジャケットと同じで、まずは実際に試着して装着感を確かめてください。
その中で自分好みのものを選んでいただければと思います。
値段が高ければそれだけ装着感が良いというものでもないと思います。
何度も言いますが、実際に装着して一番自分に合ったものが一番良いものだと思います。
シーズンごとに新製品が出てくるけど、各メーカーからの新製品がある程度出そろって、店頭で選んで買えるようになるのは、春は何月? 秋は何月?
例えば、冬物のグローブをしていて「そろそろ夏物のグローブか欲しいな〜」というとき、夏物なら4月、5月が各社の製品が店頭にそろう時期です。冬物はわりと始まりが早くて、9月、10月が出そろう時期でしょうか。
ワーク○ンのような作業用品のお店では、革手袋が各種売られていて、とても安価。バイクには、これじゃダメなの?
うん〜、実際よくできている製品はあると思います。
良く研究なさっているとも思っています。
ただし、私たちライディングウエアを専門に作っている者の製品と比べれば差はあります。
使う素材だったり、パターンだったり。
研究し、注力してきた時間が違いますから。
そんなの気にしない、値段が一番!! という選択も間違いではありません。
それでよいという方なら、それでよいと思います!!
グローブとバイクの種類、グローブとジャケットなど、デザインや性能でマッチングの良し悪しがあると思うんだけど、どうやって合わせたらいい?
一番大事なのは、自分の手に合ったものを装着するということだと思います。
そこでデザインが車両と合っていればなおいいというところでしょうか。
ワンポイントでカラーをあえて外して、派手なカラーを選んでオシャレ感を出す……なんていうのが難しいという方は、無難にブラックを選ぶという方法も。
全身BMWの人なんてよくいるけど、グローブとジャケット類は同一ブランドのほうがいいもの?
これはね……ステータスですから。いいんです。
私は支持します!!
だってハーレー乗っててBMWのジャケット類は着れないじゃないですか。
バイクのグリップを握っているときのことを想定しての、キツさ、サイズ選びでいいんだよね?
そうです。
まさにそのときの装着感だと思います!
実際に装着して自分の手に合ったものを選んでください。
手の感覚は騙せんませんので。
今回も最後までお付き合い、ありがとうございました。
次回も、バイクアパレル内側からの話、用意しますのでお楽しみに!
レポート&写真●上野時夫
Profile●上野時夫
メーカー側からのコラム発信場所として「バイクのよろずはなし」をやらせていただいてます!! 「フラッグシップ」の上野と申します。とりあえず、所有バイクはWR250R と50ccのカブ、です。
バイクが持つ懐の広い世界にどっぷりと浸かっています。
バイクのアパレルに限らず、バイクそのものや用品、ほかいろんな事柄について、器大きくお話ができたらいいなーと思っています。
ひと月に1、2回、アップしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
「安全で快適」であるため、ライディンググローブに願い、組み込まれた技術とは!? 【バイクのよろずはなし 002】
「バイクジャケットはダサい」のか!? 自分が好きならそれが価値! その気になれればそれで勝ち! イェイ 【バイクのよろずはなし 001】
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