モータースポーツ界で輝かしい成績を残し、現在ではツーリングを楽しむなど、より幅広いバイクライフを満喫している宮城光さんと岡田忠之さん。バイクのちょっとした変化も敏感に感じ取る2人のプロライダーは、エンジンオイルにどんな性能を求めているのか? オイルを変えることで起こった走りの変化についても語ってもらった。
エンジンオイルに求められる基本性能
レジェンドライダーたちのエンジンオイル談義へ入る前に、まずエンジンオイルについておさらいしておこう。エンジンオイルは潤滑油というだけあって、エンジン内部で擦れ合う金属を潤し、滑らかに動かすのに不可欠なものだ。
オイルの役割には主に、潤滑、冷却、密封、清浄分散、防錆、応力分散の6つがある。
潤滑とは、金属に油膜を形成することで表面を保護し、傷や損傷を防ぐことをいう。冷却とは、金属同士の摩擦によって発生する熱を抑えることだ。密封とは、金属摺動面の隙間を油膜で塞いでガス漏れを防ぐこと。清浄分散とは、燃焼に伴うスラッジの付着を防止し、取り込んだスラッジを均一化すること。防錆は、燃焼で発生した水分によるサビや腐食を防ぐこと。応力分散は部品に掛かる負荷を分散させることである。
今回のツーリング前に両氏の愛車に日本サン石油のバイク用エンジンオイル「レッドフォックス レーシング&スポーツ」を入れた。
では、レジェンドたちのオイル談義に耳を傾けてみよう。
オイルを変えたらこんなに変わった!
宮城 今日のツーリングも気持ち良かったね。岡田さんのCB750フォアも調子良さそうでしたね。
岡田 もうばっちりですよ。久しぶりの箱根でしたが、やっぱりバイクは最高です。
宮城 今日はレッドフォックスのオイルを入れて、箱根まで走ってきてもらいました。どうです、フィーリングは違いましたか?
岡田 全然違いました。古いバイクだから、いろいろこう……例えばクラッチにジャダー(振動)が出るんです。だから、エンジン回転をある程度上げていないと車体がギクシャクするんですが、今日はジャダーが出ないし、回転を上げなくてもスーッと走るんです。
宮城 それは面白いね。
岡田 それと、エンジン回転の落ち方が緩やかになってますね。いつもはアクセルを戻すと、エンジンブレーキがグーッと効いて重いんですけど、今日はそれがなくて、スーッと走ってくれるんです。
宮城 分かります。僕も最初のときに同じことを感じました。
岡田 ギヤチェンジでクラッチを切ったときも回転が落ちないから、スムーズにシフトアップできる。いつもと全然違うんですよ。エンジンのフリクションが取れて、すごく回ってくれる感じです。
宮城 だけどレスポンスはしっかりと良いところが不思議ですよね。
岡田 そうなんです。特に峠を走ると、アクセルを開けていって4000回転くらいで息継ぎするんです。でも今日はそれも起きない。だからエンジンの回り方が軽い。いつもはアクセルのオン・オフ時にはギクシャクするので、ハンドルをがっちり握ってるくらいなんですが、今日は手を離せるほどです。今どきのエンジンみたいに、かなり回るようになりました。
宮城 エンジンの摺動部分に、ものすごくいい、ちゅるんとした何がが付いていて(笑)、ちょっと開けただけでブルルルって回るエンジンになりますよね。まるでクランクシャフトが浮いたまま回ってるんじゃないかっていう。
岡田 高価なベアリングを入れたような感じですよね。
宮城 僕らはレースをやってきて、岡田さんは鈴鹿8耐でも優勝するくらいのライダーだけど、レースという極限状態でしか体験してなかったので、こういうことに気がつかなかったよね。
岡田 そうですね。こんな変化を体感できるのは面白いですし、びっくりしました。
宮城 僕のCBXはオーバーヒートしやすいんですけど、レッドフォックスにしてからオーバーヒートしなくなったんです。こういう話をすると「マユツバだ」って言われるから今まで話せなかったんですけど(笑)、明らかに違うんです。よかった、分かってくれる人が現れてくれて。
岡田 古いバイクの方が、そういう違いを体感しやすいのかもしれないですね。シフト、クラッチ、エンジン特性の全てに良い影響が出るとは思ってなかったですね。信号待ちのときにニュートラルも出しやすいですしね。
宮城 僕は所有しているバイク全てにレッドフォックスを入れてます。古いバイクも違いを体感しやすいですけど、アプリリアのRSV4でも違いは感じられますから、最新バイクにも最適です。そして何よりライフが長い。1000〜2000km走っても、交換したときと同じフィーリングが続くんです。これも有り難い。
岡田 ライフが延びるとストレスがなくなりますよね。
宮城 レッドフォックスは、エンジン設計者が想定したとおりの性能を正しく引き出してますね。こういう良いものに出会えないと、想定より下の領域でしかエンジンを使えない。
岡田 今までの僕がそうでした。
宮城 ぜひ多くの人に使ってほしいですね。長く連れ添っている愛車にこそ一度試してもらいたい。違いが分かるはずです。
岡田 おかげで僕もバイクライフがさらに楽しくなりました。
箱根ツーリングで使用したオイルは?
今回の箱根ツーリングで宮城光さんと岡田忠之さんが使用したエンジンオイルは、レッドフォックスのレーシング&スポーツ。レッドフォックスはSUNOCOなどで有名な日本サン石油の、バイク専用のエンジンオイルブランドだ。
「レーシング&スポーツ」は100%化学合成油。グレードの高いベースオイル(PAO基油とエステル)により優れた基本スペックを確保。ノンポリマーだから極圧がかかる部分でのせん断や高温に強く、高性能を長期間維持。ストリートユースでも十分な性能を発揮する。
「ストリート&コンフォート」はエステル配合の部分合成油。こちらも高温とせん断耐性が高く、走行時の粘度低下を抑え、エンジン回転やシフトフィーリングの向上を体感できる。
日本サン石油 03-3238-0231
https://www.sunoco.co.jp/product/automotive_lube/lineup/redfox/
report●山下 剛 photo●柴田直行