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ブレーキフルードの選び方
ブレーキフルード、どれを使えば間違いないのか──。
2回目の登場です。ドゥカティのカスタムにいそしむ八重洲出版某4輪編集部のSです。
ブレーキレバーなりブレーキペダルを操作することによって、配管内の液体がブレーキキャリパー内のピストンに力を伝え、パッドがブレーキローターを挟み込む。それが油圧ブレーキのシステムです。
配管内の液体は、ブレーキフルードといい、成分はアルコールの1種であるグリコール系。それが米国連邦自動車安全規格である「DOT」規格によって、沸点の違いという性能差から末尾の数字が3とか4とか5.1となっています。
大前提として、自分のバイクに指定された規格を選べばいいにせよ、酸化防止剤や防錆剤をブレンドしたものなど、色々な特徴のあるブレーキフルードが市販されています。エンジンオイルなどと同じように、これまたどれを使っていいのか迷いますよね。
だいぶ昔のレーシングブレーキシステムを装備する関係上、私のMHRもある程度性能のいいブレーキフルードを使いたいと思っておりまして……。
アッシュ「ブレーキフルードSUPER DOT4」は高い沸点と安定した性能が特徴
すると、モーサイ編集部から紹介されたのがアッシュ・ブレーキフルード。熱に強いエンジンオイルとして定評あるアッシュブランドのブレーキフルード「SUPER DOT4」です。
アッシュブランド各製品を取り扱い、自身で開発にも携わっているをジェイシーディプロダクツ代表の岸野 修さんによれば、アッシュのブレーキフルードは、ドライ沸点とウェット沸点の高さと安定した作動性がポイントだそう。
アッシュのブレーキフルードSUPER DOT4はドライ沸点291度、ウェット沸点187度という数値で、さらにはボイルポイント(沸騰しはじめる温度)を高め、安定して油圧をかけられるようにセッティングされているそうです。
……と言われてもイメージしづらいと思うので、モーサイ編集部が岸野代表に聞いた各社のDOT4ブレーキフルードの性能数値を参考までに。
国産二輪メーカーA社純正:ドライ沸点274度/ウエット沸点174度
国産二輪メーカーB社純正:ドライ沸点264度/ウエット沸点160.5度
国産大手ケミカルメーカー:ドライ沸点268度/ウエット沸点174度
国産大手ケミカルメーカー上級品:ドライ沸点290度/ウエット沸点185度
アッシュ ブレーキフルードSUPER DOT4:ドライ沸点291度/ウエット沸点187度
ブレーキフルード交換前は各部を洗浄、交換作業は「しっかりきっちり」
さて、アッシュのブレーキフルードに交換する前に、大事なのはブレーキ各部の清掃。
大して汚れていないように見えても、洗剤をかけてキャリパーをゴシゴシするとご覧の通り。バケツの水は真っ黒。
ブレーキローターも同様に汚れているので、洗います。
キャリパーのピストンが複数個ある場合、ブレーキレバー(ペダル)を操作したとき、それらがきちんと同じだけ飛び出してくるか、確認。あんまりにも差がありすぎるようだと、分解して清掃&部品交換が必要になります。
ブレーキ自体がちゃんと作動しないと、良いブレーキフルードを使っても意味がなくなってしまいますからね。
こうして、システムをひと通り綺麗にしたら、ブレーキフルードの入れ替え。リザーブタンクの古いフルードを吸い取ったら、新しいブレーキフルードを注入します。
今度はブレーキキャリパーのブリードスクリューを緩め、ブレーキラインに残った古いブレーキフルードを入れ替える。ホースから排出されるフルードの色で判断します。アッシュのブレーキフルードは、透明でした。
ブリードスクリューに残ったブレーキフルードをパーツクリーナーで清めて、完成だ。
アッシュブレーキフルードSUPER DOT4に交換したドゥカティ 900MHRを走らせる
走り出すと、ブレーキコントロールがとてもしやすくなったのがわかりました。ブレーキのかけ始めから、ぎゅっと握り込んで行った際のコントロールまで使いやすいのです!
ブレーキフルードしか交換していないのに、ブレーキシステムを新造したかのよう(ちょっと大げさ!?)。これまで入っていたフルードも長く使ったものではなく、半年前に交換したDOT4なのに。
サーキット走行など高負荷がかかる状況だとより違いが顕著になるのかもしれませんが、良いブレーキフルードを使うとこれだけ変わるんだなぁ!というのは驚きです。
レポート&写真●八重洲出版・4輪編集部S まとめ●モーサイ編集部・上野
A.S.H.クオリティの真髄
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