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空冷エンジン「20年選手」に活力を取り戻せるか
現在の筆者のメインバイクであり、通勤の足でもあるのが、20年落ち(2001年製)のヤマハ セロー225WEだ。走行距離4万5000km台。
動力性能にくたびれた感じは特になく、さほど小まめに手入れをしているわけでもないのに、よく走る。そもそもパワーはそんなにないけれど、高速道路以外では不満なし、けっこうキビキビ走ってくれる。
プロのスポーツ選手ならもう引退に差し掛かっているかとっくに退いているだろうが、まだまだ頑張ってくれそうな20年選手である。
そんなセロー225WEに、モーサイ編集部から依頼が舞い込んできた。
「たまには労ってやれよ」とのお心遣いか、オイル添加剤をテストせよと言う。その製品とは、近年高性能なオイルとして支持を集めているのA.S.Hブランドのオイル添加剤「FM-ZERO」。
特殊エステルに複数のFM(フィリクションモディファイヤー)剤を組み合わせたもので、即効性を特徴として、摩擦低減を極限まで追求した添加剤だという。
エンジン回転のレスポンス、エンジンフィーリングの向上に寄与する──らしい。
二輪/四輪問わず使用OKだが、メーカーのジェイシーディプロダクツによれば、二輪用オイル添加剤で心配する人もいる「クラッチ滑り」の原因になる成分は一切含んでいないとのこと。
使い方は、二輪車の場合エンジンの全オイル容量に5%ほど混ぜるだけ。
セロー225WEのオイルの現状は、交換から2500kmほど走行。毎回3000km前後が交換サイクルだから、そろそろオイル自体を替えたいところだが、新品オイル+添加剤ではどちらの効果か見えにくい。
ここは意地悪く、オイルそのまま+添加剤注入で試すことにした。
セロー225WEのオイル容量は1Lだから、その5%、50ccのFM-ZEROを混ぜる。最大10%程度まで混ぜても大丈夫なようだが、ともかくオイルドレンから使用中のオイルを50ccほど抜く。排出したオイルは、相応に黒ずんでおり、そこそこ仕事をした印象。
これを見るとオイルも替えたくなるが我慢我慢。抜いた分だけFM-ZEROをオイルフィラー側から注入する。
小気味良さと力強さ「即効性を実感」
そして早速エンジン始動。注入前と変わらぬアイドリング音だが、スロットルをあおると確かにレスポンスが良くなった感じがするし、反応も小気味いいような。
でも、断定はまだ早い。注入したからよく感じるだけ、俗にいうプラシーボ効果ってやつかもしれないし。
……しかし、やっぱり何か違いがある。エンジンのピックアップが良くなっているようでもあるし、回転が力強い感じもある。試走がてらの50kmほどの道すがら、色々考える。「これって、プラグ交換した時の感じと似てるか、いやエアクリーナー新しくした時か?、新品の柔らかめのオイル入れたらこうだったかな?」
なんとなくどれも当てはまるようで、ちょっと違う。特に実感したのが、上り坂でのトルクの粘りというか、回転の落ち込みがないこと。セロー225WEは6段変速でトップがかなり高速寄りのオーバードライブなギヤ設定だ。
ツーリングなどでの平坦路巡航では使い勝手がいいのだが、少しの上りではエンジンが力負けしてシフトダウンしたくなるもの。ところが、このFM-ZEROを投入した後では、トップホールドのままさほど失速することなく、スロットルの開け足しだけで回り切って上って行ける。
FM-ZEROの説明を読むと「低温時、高温時ともに威力を発揮し、超低フリクションを目指したレスポンス追求型の逸品」だというが、確かにさもありなんな感じを認めざるを得ない。
ちなみに今回使用した200ml入りで、参考価格2833円(税込)。
1L入りのエンジンオイル価格(鉱物油から化学合成油まで1000〜3000円弱まで)を考えると安い買い物ではないが、実際に感じたエンジンレスポンス、フィーリングの変化は、新品オイルに入れ替えたときより大きくも感じる。
幸いにも200ml容量のFM-ZEROをセロー225WEで使うなら、少なくともあと2回はエンジンオイルに添加して試すことができる。今度は素直に、新品オイルに混ぜて使ってみようと思う。
レポート&写真●阪本一史 編集●上野茂岐
A.S.H.クオリティの真髄
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