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ヘルメット全体がスピーカーに! 外部音も聞こえる秀作オーディオ製品「addSound」に注目だ!

走行中は外部からの音を遮断できないから……

カメラマンの小見です。

かなり昔のお話になります。
愛機初代Z650で千葉から阿蘇まで、飛騨高山~金沢を経由してのロングツーリングに出かけた際のこと。日本海側から西に向かい、途中から瀬戸内海沿岸をのんびり。
夜の走行時、道路も空いているし景色もほとんど分からないのだから、定速運転で程々なペースだと特に娯楽は無いわけです。
そこで北九州自動車道の高台になると、積んでいたラジカセ(細くて昔のモノラル仕様)に山下久美子さんのテープを入れてあったので、夜景を眺めながら小倉~福岡と移動。流れる夜景と曲がマッチしていて、とても良い感じでした(曲は「時代遅れの恋心」だったかな)。
誰もいない深夜の北九州自動車道だったが故に、心置きなくボリュームを上げてテープを流せたのかも知れません。

さて、前置きが長くなりましたが、通常走行時には周囲の安全確認と外部音を聞きながら、走ることにそれとなく集中しているのが普通です。
ただ、長年乗っていると、少しスパイスも欲しくなってくる。
さりとて、緊急車両のサイレンの音が聞こえないほど大きな音や、何らかの異常を伝える外部音の遮断は好ましくはありません。
そこで、気になるのが「addSound」です。ヘルメット取り付けタイプの骨伝導インカム。
今年、地元に近いMoto Shop クロニクルさんでやっていらした試乗会の会場、オーディオシステムを展示しているブースで見かけた製品です。
「addSound」の機能についてお話を伺ううちに、製作者である山田さんの開発への真摯な取り組みに大変興味が沸きました。

もしものときには外れるので安全

addSoundの全体の構成は、ヘルメット後部2箇所に専用のマウントを貼り付け、そのマウントに本体を樹脂製レバーでロックさせて取り付けるというものです。取り付ける位置は、撮影したヘルメットでは見え方も重視してヘルメット後部の真ん中あたりの高さになっていますが、振動体として考えるともっと下側でもいいそうです。
さて、市販されているヘルメットの形状からどのくらいの突起になるのかを分かりやすく見ていただくため、レース対応に近い皮ツナギに着替えて頸椎~背中中央部を守るプロテクター部分との高さの差も写真に撮ってみました。あまり差がないことが分かると思います。
ヘルメット(さらに書けばアライの各種ヘルメット)にはオン/オフロードどちらでも過去に何度も助けられている私なので、万一のクラッシュ時の「引っ掛かり」はどうなのだろう?という点は、とても気になるところだったのです。
この点で、養生シートの上で転がり、具合を見てみると接触抵抗は少ない模様。
ユーザーの方々からも転倒した際の報告が何件かあったそうです。その全員の報告で、実際の転倒時にはショックでマウント部分のレバーが飛び、本体が外れてヘルメットそのものの「引っ掛からない」機能を損なうことはなかったとのことでした。
マウントのレバーは、本体そのものよりも意図的に低い強度で作られています。もしもうまく本体が外れないような「万一のときには壊れる強度」なのです。補修部品も用意されています。万一の際にはパージ機能が働くことになるといえそうです。

「addSound」

■初見のaddSoundは、黒いヘルメットにホワイトの本体が付いていた。膨張色対比という意味で、この組み合わせではやや大きく見えた。

「addSound」

■取り付け部を拝見。左右の丸い樹脂パーツの上下にロックされるフック。貼り付ける際の位置決めがしっかりしていれば、その後の取り外しは楽。

「addSound」

■本体下部にスイッチ、コネクターを配置。

「addSound」

■addSoundを開発した、株式会社あおごち代表取締役の山田 斉さん。ご自身もMT-07を自分仕様に手を入れて、ツーリングを楽しむベテランライダー。

スマホで各種設定! 操作も簡単

さて、カメラ以外ということではデジタル機器にうとい私のようなアラ還ライダーとしては、Wi-fi→Bluetoothで連動させて各種の機能を活用するには、現物を前にして詳しい説明をうかがわないとなりません。
今回は、ご多忙のところ、開発者であり株式会社あおごちの代表取締役社長である山田 斉氏に解説をいただけたのでaddSoundの使い方や各種設定の仕方が理解できました。
この記事を読んでいます皆様には、各種の機能や特徴説明の写真をご覧いただく前に、同社のクラウドファンディングサイトにてインカム機能の説明を見ておくことをお勧めします。わかりやすく図解でオーディオ使用の際のタップ操作について記載されています。(記事の下部にURLを記しました)
例えば、サイトの中央あたりにあるゼスチャーコマンドの欄には、曲の早送りや曲戻しについてが解説されています。ヘルメットを傾ければ、(グローブをしたままでも)ポンとタップして操作が可能という説明。傾斜と加速度についてのセンサーがあるので、こうした操作ができるのでしょう。走っていて、「今は別の、アノ曲が合ってるよな~」というときに、いちばん好みの曲まで飛ばす操作が、頭を傾けてタップするだけなのは有難い。

「addSound」

■スマホとの接続前に、ヘルメットへの取り付け案内も読んでおこう。専用アプリをスマホに入れて解説を読むと、分かりやすい説明が表示される。

「addSound」

■よくある質問の欄では、取り付けがしにくいヘルメットか否かの判断基準となる取り付けプレートの位置確認シートもダウンロードできるという親切さ。買ったはいいけれど、ベースの台座が貼り付けられないと困りますからね。

「addSound」

■アプリのバージョン情報を確認。最新バージョンをダウンロードして更新することもできるので、ときどき確認するといいかもしれない。

「addSound」

■音質の設定項目には、音のくっきり感の調整機能まである。帽体やクッションの状況で音質が変わることがあるためかな? 手が込んでいます。

「addSound」

■信号待ちの間に曲を飛ばしたり戻したり……そんなときにヘルメットを軽く叩いてタップする操作への反応も設定が可能。敏感度というと分かりやすいかも?

「addSound」

■周辺の騒音に反応してボリュームを自動調整する機能のコントロール設定。音量変化を少なめにするか、音量変化なしも選択可能。通常は標準になっている。

「addSound」

■通信の設定で本体とスマホの接続が終わったら、専用のアプリをダウンロード。App StoreかGoogle Playにて、スマホに応じて「addSound」で検索するとすぐ見つかる。

「addSound」

■音楽アプリの選択。様々なアプリに対応しているので好みで使い分けたい。

「addSound」

■スマホの画面を設定にし……

「addSound」

■……Bluetooth接続へ。

「addSound」

■電源スイッチを入れたあと、ペアリング前にはパイロットランプとして赤と青のランプが交互に点灯する。

「addSound」

■スマホ側のBluetooth画面にあるaddSoundをタップ。そうするとスマホ側は接続済みに切り替わり、各種操作が可能になる。

また、radikoやYouTube Music、spotifyなど多様な音源にもアプリで対応しているため、自分のスマホに入れた音源以外も楽しめるようになっています。スマホを使いこなせている方々は、さらに楽しみ方の幅が広がりそうです。
重量、デザイン、万一の際にはヘルメット本来の機能を損なわないように作られたロック部分の強度などの安全面、程よい音量で周辺に響かせず音楽を楽しみながらツーリングに使えるaddSound……短距離の移動で楽しむもいいけれど、私には長距離ツーリングでの夜間の高速移動で、特にその恩恵を享受できるアイテムと感じさせられました。

「addSound」

■こちらはradikoを選択した場合の画面。

「addSound」

■YouTube Music、Apple Music、Spotify……と選択肢は豊富。

「addSound」

■これは……Spotifyの画面ですね。

「addSound」

■オールナイトニッポンまで聴けるの?と、少々驚く私。

「addSound」

■さて、個人的に気になるところは万一の転倒時。どうなのかな?というメカ的破損もさることながらライダー保護の観点でも見てみた。全体として丸みを帯びた形状なのが好ましい。

「addSound」

■キモとなるのは、このロックレバー。本体よりも柔らかめな材質で作られているがロック機能はしっかりとしている。ただし衝撃を受けた場合には外れるか壊れるくらいの強度。

「addSound」

■衝撃を受けると破損というよりは、このように脱落するようになるケースが多いそうだ。本体はヘルメットからパージされ、帽体本来の滑って逃げる機能を損なわない。

「addSound」

■addSound本体裏面をチェック。左右の丸い部分が良い音響のキモかも? ヘルメットの内面から自然に聞こえる音楽は、心地良い。

「addSound」

■ヘルメットとaddSound、参考までに革ツナギの背中のプロテクター部分の高さを比較してみると、それほど高さに心配はなさそうだ。音伝導の面では本体取り付け位置はもっと下の方、帽体の端の方が振動を発生させやすいのでいいそうだ。ウェアの襟の高さ等も考慮して取り付けるといいだろう。

レポート&撮影●小見哲彦 

Profile○小見哲彦

無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーとしてバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を2021年より依頼されている。

CONTACT

株式会社あおごち(addSound公式HP)
https://www.addsound.jp/

 

「addSound スマート・インカムセット」クラウドファンディング
https://greenfunding.jp/lab/projects/7519

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