ヒストリー

カワサキ GPZ900R誕生秘話【車体&デザイン編】「目指したのは最高速250km/hの性能」

250km/hの世界ではチェーンが厳しくなってくる

速度が250km/hにもなってくると、キビしいのは動力伝達装置──つまり後輪を駆動するチェーンだった。

「速度というより、リッター馬力。これが120〜130psにもなると、これまで使っていた630サイズではダメ。ウチは江沼チヱンなんですが、発想の転換をして、逆に細い50サイズにしたんです。それも冷却効果を含め、内側のプレートに穴を開けたやつで。630に比べれば重量も350gぐらい軽くなっています。チェーンが細くなればスプロケットも小径にできるし、重量も軽くなるというわけで」(新名)

スプロケットの歯に、チェーンのローラーはえらい勢いでぶつかっていく。それでクルッと回ってこんどは反対方向へ走り出す。そこをいかにスッと回らせるかが問題で、ポイントはローラーの材質だった。

高速が可能なモーターサイクルほどブレーキの重要度は増す。ブレーキホースも従来より20%堅いゴム材料とし、油圧がムダなくキャリパーのピストンに伝わるようにしたほか、パッド材質も変更。タイヤも強力なブレーキに見合ったグリップ力をもつものを開発。ウエット路面での制動には特に力を注ぐ。

江沼製50サイズ(これまでの530相当)のドライブチェーン。内側のプレートが軽量化のため穴あきになっている。

低速での取りまわしも市販車としては重要である。ハンドル切れ角も36度(左右)と大きくとり、最小回転半径を2.8mに収めている。「ハンドルの切れ角を大きくすると、カウリングが当たる。だからといってカウリングをどんどん切ってしまったんではデザインが悪くなる。もうこれが限界というところで、あとはハンドルを寄せたり広げたりしていい所をつかまえてもらったわけです」(栗島)

こうしてGPZ900R(アメリカ名=Ninja)は世に出た。「現時点においては一番優れた4気筒エンジンだと思っています。全体のレイアウトも振動がらみで車体とうまくマッチングできたし、デザインもうまくマッチしてくれた。当初のねらいどおりです」(開発プロジェクトリーダー・稲村暁一技術部部長)


「第2世代のZ1」──こうしてカワサキ GPZ900Rは大排気量スポーツバイクの一時代を築いたのみならず、今なお多くのファンから愛される名車となっていったのである。

GPZ900Rは2003年型を以て生産終了となった。写真は2003年型「A16」のマレーシア仕様。

原文●大光明 克征 写真●八重洲出版 編集●上野茂岐


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