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万能250ccバイクとして人気のスズキ Vストローム250
若年層からベテランまでの幅広いライダーをターゲットとし、快適なツーリングを楽しめるだけでなく、通勤や街乗りなど日常的にも気軽に乗れるモデルとして開発された250ccアドベンチャー・スズキ Vストローム250。
その狙いどおり、2017年に登場して以降、50万円台後半という求めやすい価格もあって、多くのライダーから支持されています(2022年現在は61万8000円)。
さて、現在バイクの世界で人気のジャンル「アドベンチャー」ですが、クルマで言えばSUVのような存在。道なき道を何日も走るラリーマシンを起源に、旅の途中にオフロードがあっても走り続けられる万能バイクとして発展してきたジャンルです。
走破性を確保するため車高が高いモデルも多いのですが、ライダーの目線も高くなるため見渡しは良好。オフロードバイクとちょっと異なるのは、スクリーンが付いていて防風性能もあり、燃料タンクも大きめなところ。
荷物を積みやすいのもアドベンチャーの大きな特徴で、大型のリヤキャリヤを備えていたり、純正でパニアケースやトップケースが用意されているモデルも少なくありません。
ツーリングの頼れる相棒にアドベンチャーを選ぶ人が多いのも納得と言えます。
GSR250をベースに開発されたVストローム250
Vストローム250も耐荷重設定8.5kgの大型アルミ製リヤキャリヤを標準装備しているほか、純正トップケース(最大積載量3kg、容量23L)と純正サイドケースセット(片側で最大積載量3kg、容量20L)がオプション設定されています。
しかしです、250ccのバイクにそんなケース類フル装備、荷物満載にして大丈夫?車体がよれたりしない?と心配に思うライダーもいるかもしれませんが……大丈夫!
Vストローム250が世界初披露された2016年11月のEICMA(*)で、開発リーダーを務めたスズキの福留武志さんからその理由を聞いたことがあるのです。
「なぜなら、GSR250をベースとしているから」。
*例年イタリア・ミラノで開催される、世界最大級のバイクだけのモーターショー。通称ミラノショーとも呼ばれる。
中国などでは警察車両の需要もあるGSR250
GSR250シリーズは中国の合弁企業で生産されていた車両なのですが(*)、中国など警察車両に採用する国もあり、ケース類の装着を前提としてシートレールがもともと強固な構造となっているそうです。
そのため、フル積載時でもハンドリングへの影響が極めて少ないという意外な恩恵があったのだとか!
大排気量アドベンチャーのように、Vストローム250はフル積載でも安定して走れる……作った人が太鼓判を押していると、何とも心強いですよね。
*GSR250をベースとするVストローム250やGSX250Rの生産も、GSR250を生産していた常州豪爵鈴木摩托車有限公司が担当している。
GSR250をベースとした中国の警察車両版
GSR250ベースの警察車両「GW250J-HA」を取り扱っている中国・大長江集団有限公司の写真より(中国においては、GSR250ではなくGW250という車名となります)。警察車両らしく、トップケース、サイドケース、パトランプなど、実際、車体後部には多くの機材が装備されているのがわかります。
運用組織によって装備類が異なる仕様もあるようで、「白バイ」ではなく、車体色を黒で統一し、サイドケースには丸いプレート状パーツが付いたモデルも。
しかし、この黒バージョン、バイクの右に佇むライダーが、警察官っぽくないというか、ツーリング中のライダーっぽいというか、妙にムードがあるのに目が行ってしまいます。
そもそもスズキ GSR250シリーズとは?
スズキ GSR250は2012年7月に初登場。ロングストロークの250cc水冷並列2気筒エンジンを搭載したロードモデルで、スポーツネイキッド・GSRシリーズの最小排気量版という位置づけでした。
中国市場を皮切りに、日本、ヨーロッパ、中南米など世界各地で販売されるグローバルモデルでもあり、日本では43万8900円という求めやすい価格も注目されました。
2014年1月にはハーフカウルのGSR250S、2014年9月にはフルカウルのGSR250Fも追加されています。現在、GSR250シリーズは日本ではラインアップ落ちしていて、同系エンジン、同系フレームのフルカウルスポーツ・GSX250Rが実質的な後継車となっています。
レポート●上野茂岐 写真●上野茂岐/スズキ/大長江集団有限公司
*当記事は2016年11月の取材内容に基づいた記事となっています。