ヒストリー

【もう一度乗りたい90年代車】HONDA CB750編 (前編)

バイクを何度か乗り換えた人が、きっと一度は思う「手放さなければ良かった」。
1992年に発売され、大型二輪の教習車としても活躍した750cc空冷4気筒のCB750を愛車としていたモーターサイクリスト編集部員は、そんな「もう一度乗りたい1台」に迷わず同車を挙げた。

report●上野茂岐 photo●沖 勇吾

「乗りやすい」は初心者向けってことじゃない

「シービーナナハン」と言うと、日本を代表する名車CB750FOURだと思われてしまうせいか型式の「RC42」で呼ばれたり、「教習車で使われている方ね」と言われたり。また、現役で発売されていた頃、CBシリーズのトップモデルとしては「ナナハン」を超えたCB1000スーパーフォア、CB1300スーパーフォアがあり、スーパーフォアとは異なりエンジンは空冷だったり、とイマイチ影が薄いCB750。

初めての大型バイクに、僕はこのCB750を購入した。
「免許を取ったらこのバイクに乗りたかったんだ!」という憧れや熱烈な思いは正直無く、大型二輪免許を取得したはいいが、バイクの経験自体が浅かった僕は「初心者にも扱いやすく、値段も安価で、丈夫そう」という理由で選んだのだった。

クランクにスラローム、一本橋と教習所でお世話になったCB750に、自信が無いうちは公道でもお世話になろう、というある意味後ろ向きな選択だったかもしれない。

●エンジンは1983年登場のCBX750Fがルーツ。僕が乗っていた頃は同クラスでは、同じく空冷4気筒のゼファー750の方が人気があったものの(今もそうか)、「最高出力は上だし、コッチは4バルブだぜ」と勝手に心の中で対抗心を燃やしていたのが懐かしい。

が、その選択を後悔することはなかったどころか、むしろ大正解だった。

技量はともかく、取材を通じて様々なバイクに触れた数だけは増したが、街なかで人が歩くような速度で走っても、ワインディングを走っても、雨が降っていても、高速道路をいいペースで走っても……どんなシチュエーションでも乗りやすく、安心して走れるバイクはこのCB750に匹敵するものはないんじゃないか、という気がする(CB1300スーパーフォアも非常に近いものがあるけれど、取り回しや押し引きを考えると僕の身体にはちょっと大きい)。

「ビギナーに優しい、乗りやすいバイクって言われても……」とバイク経験が豊富な方は、別の記事をクリックしようとしているかもしれませんが、もうちょっとだけお付き合いください。CB750には以外な事実が隠されていたんです! 僕自身驚いたのだが、ベテランのライダーからも「CB750は乗りやすくていいバイクだよね」という声が聞かれたのだ。

モーターサイクリスト誌の編集長を務めたMさんいわく

「クローズドコースも走ったことあるけど、素直なハンドリングのバイクだよね。空冷4気筒エンジンも優しい回り方だし、乗車ポジションもクセが無いから、大型マシンなのにフレンドリーなところもいいな」

元プレスライダーで様々なバイクを乗り継ぎ、アマチュアレース経験も豊富なKカメラマン(レストア・カスタムを重ね続けたCB750FOUR K1でサーキット走行なども行っていた)いわく

「見通しの悪いコーナーでもどこまで寝かして大丈夫なのか、コーナリング中に探りながら自分の思う通りコントロールできるのがCB750のいいところ。欲しいバイクの1台だね」

そのほか、高評価の声が多数なのだ。乗っていた当時、そんなに褒められると自分のことではないのに、妙に嬉しかったのを覚えている。
ちなみに、僕が感じていた「乗りやすさ」のポイントをあげると……ハンドリングは視線を向けた方に自然と回頭する非常に素直な特性。その上、初めて走る道でコーナーの曲率が途中から急になっていたり路面が荒れていたりして、コーナリング中に「おっと」とスロットルを戻す、あるいはリヤブレーキを掛けるといったバイクの運転の基本からすれば褒められない修正操作をしても、ギクシャクする素振りもなく受け入れてくれる懐の深さもある。

エンジンは下から上までスムーズに出力を発揮する特性で、また、キャブレター車ということもあってか、微調整のしやすい少々鈍めのスロットルレスポンス。ブレーキにしても、入力した分だけじんわりと、かつ確実に制動力を発揮する(突然車線に割り込んできた車に驚き、ロックするんじゃないかと思うような入力をしたときでも、すんでのところまででキッチリ仕事をしてくれる粘り強さがある)。

どれも、公道を走るライダーにはとてもありがたい特性だった。

(後編に続く)

CB750主要諸元


■エンジン 空冷4サイクル並列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク67.0mm×53.0mm 総排気量747cm3(cc) 圧縮比9.3 燃料供給方式キャブレター 点火方式トランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力55kW(75ps)/8500rpm 最大トルク64Nm(6.5kgm)/7500rpm
■変速機 5段リターン 変速比①3.000 ②2.055 ③1.545 ④1.240 ⑤1.074 1次減速比1.780 2次減速比2.600
■寸法・重量 全長2155 全幅780 全高1100 軸距1495 シート高795(各mm) タイヤF120/70ZR17/120/70R17 R150/70ZR17/150/70R17 車両重量235kg
■容量 燃料20L オイル3.8L
■価格 78万7500円(2008年モデル・税込)

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