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ニンジャ250(2018年〜)GPZ250R系エンジンから、新世代エンジンにバトンタッチ
東南アジアでの250ccクラスの需要が盛り上がってきたことや、日本に「250スーパースポーツ」というジャンルが定着してきたことで、国内メーカーは開発に一層力を入れるようになる。
堅調な人気を保っていたニンジャ250だが、後発のヤマハ YZF-R25は同じ並列2気筒で35ps/1万2000rpmを発揮し、2017年登場のホンダ CBR250RRの並列2気筒も、38ps/1万2500rpmを発揮(後に2020年モデルで41ps/1万3000rpmまでパワーアップする)。
80年代にGPZ250R用として開発され、騒音規制・排出ガス規制をその都度クリアしつつ、ブラッシュアップを図ってきた250cc水冷並列2気筒だが、運動性能的にも環境性能的にも、いよいよ刷新を迫られた。
そして、2018年モデルでニンジャ250はフルモデルチェンジを行い、エンジンも新開発のものとなったのである。
新エンジンもそれまで同様「180度クランクの水冷DOHC並列2気筒」という選択がなされたが、ダウンドラフト吸気のシリンダーヘッドとなり、燃焼効率向上、高回転化を追求。これには従来以上に微細な燃料噴射コントロールが可能なインジェクターがあり、そのうえで大口径のシングルスロットルバルブ化が可能になった点も貢献している。
さらには、大容量化したエアクリーナーボックス、左右各気筒の吸気干渉を低減する狙いで(180度クランクの並列2気筒では、1番気筒の吸気直後に2番気筒も吸気行程に入るため、微妙な空気の取り合いでトルク低減が生まれるとされる)、エアファンネルの向きを微妙に違えさせるといった細部の工夫も行われている。
かくして、性能は前述したYZF-R25/CBR250RRのライバル機種に十分比肩する最高出力37ps/1万2500rpmを達成。
また車体も400ccモデルとの共用化(従来型ニンジャ250は300ccモデルとの共用)を踏まえて一新され、高剛性化と軽量化を両立したピボットレスのトレリスフレームとなっている。
その一方、カワサキの250ccスポーツへの力の入れようを別面で象徴するのが、2020年登場のニンジャZX-25Rだ。国内メーカーでは現在唯一となる並列4気筒エンジン搭載のスポーツモデルは45ps/1万5500rpmのハイスペック。
ついに往年の250ccレーサーレプリカブーム時の自主規制値に並ぶスペックが出てきたわけだが、さて今後この250cc最高峰スペックに他メーカーはどんな動きを見せるかも興味深い。
だが、250ccクラスにおけるサイズ、車体、パワーのバランスで、並列2気筒エンジンがなくなることはまずないだろう。
特に単室あたり容積125ccのピストンが左右交互に上下運動を繰り返す180度クランク並列2気筒は、実用的ながらも適度な荒々しさがある鼓動感と、回転上昇に伴って拍車がかかるパワー&トルクの立ち上がりが魅力だと思うし、筆者が言うまでもなく、カワサキ250並列ツインが息長く証明してきたのだ。
ニンジャ250(2018)主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:62.0mm×41.2mm 総排気量:248cc 最高出力:37ps/1万2500rpm 最大トルク:2.3kgm/1万rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:1990 全幅:710 全高:1125 ホイールベース:1370 シート高:795(各mm) タイヤサイズ:F110/70-17 R140/70-17 車両重量:166kg 燃料タンク容量:14L
[当時価格]
62万9640円〜64万440円
ヴェルシス-X250用としては現役! 36年目に突入したGPZ250Rの末裔エンジン
なお、当記事ではフルカウルのロードスポーツ車にクローズアップしたが、2013年に登場したニンジャ250のネイキッド版・Z250もまたGPZ250R用を原型とする水冷並列2気筒搭載車だ。ただし、2018年モデルからはニンジャ250同様の刷新が行われ、新エンジンとなっている。
冒頭でも記したが「ロードスポーツ」という枠を外せば、実は、GPZ250Rの末裔エンジンはアドベンチャーのヴェルシス-X250用(2017年登場)として2021年現在も生き続けている。
ニンジャ250(2013〜2017年モデル)で31ps/1万1000rpm、2.1kgm/8500rpmだったエンジンは、車両の特性に合わせたチューニングが行われ、33ps/1万1500rpm、2.1kgm/1万rpmと高回転・高出力化。
1985年の原型誕生から、36年目に突入しているのである。
レポート●阪本一史 写真●カワサキ/八重洲出版 編集●上野茂岐
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