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ハーレーダビッドソンは3輪モデルも作っている!
「いつかはハーレー」などと言われるように、憧れのバイクメーカーとして知られるハーレーダビッドソン。
多くの人は「ハーレー=大型バイク」のイメージしかないかもしれないが、実はハーレーは3輪モデル「トライク」も作っている。
日本では、大型自動二輪免許を持っていなくても普通自動車免許を取得していれば乗れるので、二輪免許の取得をためらっている人などから「トライク」は支持されている乗り物だ。
だが、昔のハーレーダビッドソンの3輪モデルは現在の豪華なスタイルとは違っていて、それは市民のための「簡素な働く乗り物」だった。言わば日本の「軽トラ」のような存在で、配達用の商用車、広告宣伝車など様々な場面で大活躍していたのだ。
当記事では、そんなハーレーダビッドソンが作った3輪モデル「サービカー」について紹介していこう。
自動車ディーラーなどに向けた出張修理用車両として1932年に登場した「サービカー」
世界恐慌による不景気が蔓延している中、ハーレーダビッドソンは1932年にユニークかつ簡素的な構造の3輪モデル「サービカー」を発表した。
「サービカー」登場以前にもサイドカーのカー側を荷台として配達などに使用する「サイドバン」という存在はあったが、「サービカー」は自動車ディーラーや修理工場のサービスマンが出張修理に使うことを想定し、牽引用のアタッチメントもオプションで設定されていた。
「サービカー」というネーミングは、サービスカーをもじって付けられたものなのだ。
「サービカー」は当時登場間もないベビーツインの750ccフラットヘッドのVツインエンジンを搭載し、配達用の商用車、広告宣伝車、警察の駐車違反車両の取締り用としても数多く採用された。一日中低速走行してもオーバーヒートが少なく、タフな低圧縮型エンジンの利を生かし、使い勝手に優れた実用車として様々な場面で活躍していたのだ。
また、後輪はデフ付きの2輪で、3速ミッションに加えてバックギアが装備されており、誰にでも乗れる安定度の高い3輪モデルとしても人気を高めていった。
このように「新しい乗り物」「働くハーレー」といった魅力的な商品の投入とハーレーが築き上げた信頼性で、不況下でも魅力ある商品は確実に売れることを証明していた。
「サービカー」は、サスペンションやタイヤ、外装などの変更を受けながらサイドバルブのベビーツインエンジンのまま、主に警察車両として1973年まで生産された。
1920年前後では、販売していた車両の約7割がサイドカー付きバイクだったハーレーダビッドソン。こうして振り返ってみると、実は3輪モデルを得意とするメーカーなのかもしれない。
G Servi-Car(1932年)
1932年に登場した、750ccサイドバルブエンジンを搭載する3輪モデル「G」。小回りが利くため、配達用として活躍したほか駐車違反取締用の警察用車両としても使用されていた。
エンジンは750ccベビーツインのうち低圧縮型を採用。当初は自動車修理工場での使用を想定していたが、コマーシャルバンとしても大人気だった。
G Servi-Car (1932年)主要諸元
全長:2540mm 全幅:1219mm 全高:── ホイールベース:1550mm 最低地上高:── 車両重量:619kg エンジン形式:4ストロークサイドバルブV型 2気筒 排気量:742.66cc
ボア×ストローク:69.85×96.85mm 圧縮比:── 最高出力:22ps/4500rpm 最大トルク:── 変速機:前進3速・後退1速 フューエルタンク容量:12.9L タイヤサイズ:前後とも5.00-16
原文●原 久三 まとめ●小泉元暉 写真●八重洲出版/ハーレーダビッドソン
*当記事は2008年発行『GREATEST HARLEY1903-2008 ハーレーダビッドソン105周年とVツインの100年』(八重洲出版)の内容を編集・再構成したものです。
ハーレーダビッドソンカスタマーサービス
TEL:0800-080-8080
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