目次
スズキ GSX600F「レーサーレプリカとツアラーの融合モデル」
2021年6月に行われた「ル・マン24時間耐久」でスズキ参戦チーム「ヨシムラSERT Motul」が優勝したことは記憶に新しいと思う。
ところで、ル・マン優勝マシンの系譜を継いだ「KATANA」があることをご存じだろうか?
それが欧米を中心に販売されたGSX-600Fだ。
スズキ GSX600Fは、1988年に海外向けモデルとして発売されたスポーツツアラーである。
当時のリリース資料では「レーサーレプリカのパフォーマンス、ハンドリングにツアラーバイクの汎用性と便利さをプラスした」とうたわれている。
そんなGSX600Fは、北米市場においては「KATANA600」という名が与えられた(欧州では「GSX600F」「GSX600F KATANA」など表記が混在)。
初代GSX-R750ベースの油冷エンジンを搭載
エンジンはデビューと同時にル・マン24時間耐久で優勝を果たした初代GSX-R750がベース。
一般的には、小排気量のエンジンをスケールアップさせたほうが軽量かつコンパクトなエンジンを作ることができるが、GSX-R750の高い耐久性を鑑み、同車のエンジンをスケールダウン。ボア・ストローク62.6mm×48.7mmの599cc油冷4気筒エンジンをGSX600Fは搭載している。
600ccクラスの中で、最も力強いトルクを持たせることを目標に開発が進められ、最大トルクは6.0kgm/9600rpmを発揮。
車名の由来は?
ちなみに兄弟車のGSX750F/GSX1100Fも北米市場などでは「KATANA」のペットネームで販売されていた様子。
残念ながら、なぜ「KATANA」の名前で売られていたのか正確なところはわからなかったが「海外の販売名はいい加減に決められることも多かったから、向こう(海外)の販社が軽いノリで決めたんだと思うよ」(元スズキ社員談)とのこと。
つまるところ、海の向こうには我々の知らないまだ見ぬ「KATANA」が眠っているのかもしれない。
レポート●モーサイ編集部・加賀 写真●八重洲出版/モーサイ編集部・加賀
編集●上野茂岐