ヒストリー

「セローらしさ」って何だ? 初代の構造に込められた“理念”

今やオフロード走行だけでなく、ツーリングや街乗りの定番モデルとなっているセロー。その原点が、この初代ヤマハ・セロー(セロー225)です! 軽量かつ頑丈なボディに223ccエンジンを搭載し、敢えて速さは追求しない──「マウンテントレール」というキャッチフレーズを引っ提げ、1985年に最初のセローは誕生しました。
report&photo●モーサイ編集部 
 

地味だけど、スゴいやつ

 

 
バイクブーム、レーサーレプリカブームまっただ中だった1980年代半ば。次々と登場するニューモデルは「他車より高性能である」ことが当たり前という、今から考えるとすさまじい時代でした。

そうした「スペック至上主義」はオフロードバイクのカテゴリーでも同様でした。そんななか「マウンテントレール」、そしてライダー自身も両足・全身を使って道なき道を進む「二輪二足」という聞き慣れないキャッチフレーズとともに登場したのが初代セローです。

スペックを見る限りは何ら目立つものではなく、見た目もシンプルというよりどちらかというと地味なもの。当時のバイクファンにとって、かなり奇異な存在に映ったのではないでしょうか。

 

オフロードモデルのXT200をベースに、ボアを拡大し223ccとしたエンジン。軽量化のためセルスターターを搭載せず始動はキックスタートのみだが、良好な始動性をねらいオートデコンプが採用されている(セルの搭載は1989年のモデルチェンジから)。なお、トライアル車的な性能を重視し、初期型のミッションのギヤ比は1速がスーパーローとなっていた。大型のエンジンガードは、エンジン本体との間にゴムを挟むことで変形を防いでいる。


 

それもそのはず、トレールとは野山で踏みならされてできた道のことで、セローが目指したのはモトクロスコースでの速さではなく、山奥を安全に走れることだったのです。
北米ユーザーからの意見も反映して開発されたセローは、虚飾を排した装備と扱い切れる車格が最大の特徴といっても過言ではありません。

軽い車重と良好な足着き性、大きいハンドル切れ角は、山岳部でのトライアル的な走りを可能とするのみでなく、街乗りやツーリングでもメリットが大きく、以降、セローは多くのファンから支持されました。
この幅広いシチュエーションに対応する万能性は、開発の発端となった「DT1への回帰」という考えのまさに具現化だったのです。

 

「壊れないこと」を追求した車体

 
また山奥を走ることを前提としたセローは、「壊れないこと」が非常に重要視されました。
ただ故障しないというだけでなく、転倒したとしても、復帰して走り続けることができる機構が多数盛り込まれています。

 

ステアリングステム部にはスチール製の握り手(部品名:ハンドルスタンディング)を装備。山間部でスタックしたときに、車両を安全な場所まで移動させる際に役立つ。「無理にスタックから抜け出そうとしてタイヤで地面を掘り、山を荒らすことを防ぐ」目的もあるという。


タンデムシート脇に装備されるグラブバーは、ステアリング部のハンドルスタンディングと同様にスタック時などの握り手にもでき、かつ転倒時にウインカーボディを保護する役割も果たす。

 
徹底した軽量化もそのひとつですが、ほかにも接触後の変形まで考慮したアルミ製エンジンガードや、フレーム内側に追い込んだブレーキ関係のロッドやリンケージなど、最小のリスクで最大限に遊ぶことを目指したバイクがセローだったのです。
以降セローは時代ごとのニーズに合わせて小変更を繰り返しつつ、2005年に次世代モデルである「セロー250」へとバトンタッチするのです。

 

「野山を走る」前提の軽量装備

 

シンプルかつ小型のメーターは、車体の軽量化に貢献。


 

オフロードでの泥詰まりや、それにともなうパッド/ローターの摩耗を防ぐため、フロントブレーキローターにはカバーが取り付けられていた。

 

SPECIFICATIONS

 

 
ヤマハ・セロー225(1985)
【エンジン・性能】種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア×ストローク:70.0×58.0㎜ 総排気量:223㎤ 最高出力:20ps/8000rpm 最大トルク:1.9㎏m/7000rpm 燃費:60km/ℓ(50km/h) 変速機:5段リターン 最小回転半径:1.9m 【寸法・重量】全長:2055 全幅:825 全高:1160 ホイールベース:1350 シート高:810(各㎜) 乾燥重量:102㎏ タイヤサイズ:2.75-21 120/80-18 【カラー】赤、緑 【発売当時価格】32万9000円

 

 

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