1960年代から小さな車体とタイヤの可愛らしさ、チューニングの自由度の高さなどにより支持されてきたホンダ・モンキー。
長らく4MINI人気の牽引役として市場をリードしてきたモンキーだが、2017年発売の50周年スペシャルを最後に生産が終了。2018年に大きな車体と125ccエンジンを採用する新世代モデルへと生まれ変わったことは記憶に新しい。
新型が登場したことで旧型モンキーの中古車価格が一時的に高騰したものの、現在は落ち着いてきているので、これを機にカスタマイズベースとして選択する人もいるだろう。
そこで改めて、モンキーとライバルモデルの辿ってきた歴史を振り返っていく。長い歴史のあるだけに、モデルの移り変わりとその時代ごとのライバルモデルを何回かに分けて紹介したい。
第1回目はモンキーの誕生から1970年代前半までを、ダイジェストで振り返ってみよう。
子供向け遊具から始まった“モンキー”
1961年に東京・日野市で開園し、2009年に歴史の幕を下ろした多摩テック。ここで使われる子供向け遊具として開発されたZ100がモンキーの原点だ。
小さなフレームに前後リジッドサスペンションと5インチホイール、そしてスーパーカブの50ccエンジンを搭載した、本格的なエンジン付き遊具だった。
ホンダはこのZ100を公道向けにリファインしたCZ100を海外へ輸出して好評を博した。そして1967年に、国内向けに専用開発した初代モンキーが誕生したのであった。
ユーザーから好評を博したモンキーは、1969年7月にフルモデルチェンジを受ける。車体を大型化してフロントフォークが装備されるなどしたほか、前後ホイールを5インチから8インチに大径化して装備を充実化。バッテリーを搭載してウインカーが標準装備となり、安全性の向上も図られた。
モンキーブームとライバルの登場
1970年代こそモンキーブームが本格化した時代の始まりといえる。もちろん、ライバル各社も静観するわけがない。
まず動いたのがスズキだ。1971年に8インチのノービータイヤを前提にしたフレームへフリー50のエンジンを搭載した、レジャーモデルのホッパーを発売。斬新なスタイルでモンキーを追撃するのだ。
続いてスズキは1972年に、5.40サイズと太いレクタングルタイヤを履かせたオフ感覚のレジャーモデル、バンバンRV50を新発売。このタイヤによる走破性は抜群で、原付であることを忘れさせてくれるに十分な性能を誇っていた。
バンバンが登場した翌年の1973年、ついにヤマハが市場へ参入してくる。
まずロングシートとアップハンドルの車体にフロントはスポークホイールながらリヤへ極太小径タイヤを履くジッピィを発売。続けて女性向けのチャピィを発売して本格的な追撃を開始する。
ライバルの登場と猛追で、本家モンキーは5年ぶりとなるフルモデルチェンジを受ける。1974年2月にリヤ・リジッドサスペンションだったフレームを刷新して、スイングアームとツインショックを装備。4リットル容量の新デザインタンクへ変更されたのだ。
フルモデルチェンジでさらなる魅力を獲得したモンキー。もちろん、その進化をライバルメーカーが傍観するはずはない。1970年代後半に突入し、レジャーバイクカテゴリーではさらなる激戦が繰り広げられる反面、いわゆる“ソフトバイク”の台頭により、意外な影響を受けることになるのである。
次回は国産バイク業界が空前の盛り上がりを見せる、1970年代後半のモンキー&ライバルヒストリーを紹介しよう。
text●増田 満/編集●モーサイ編集部・日暮