2018 ANNIVERSARY BIKES
新型として登場し、数年後には次の新型、もしくは絶版になるのがバイクの宿命だが、名称やコンセプトなど、何らかの形で受け継がれる、あるいは復活するケースも多い。2018年にアニバーサリーを迎えるモデルを見てみれば、それがよく分かるはずだ。
第5回目は現在でも愛され続けている名車のSR400/500と、90年代に一世を風靡したスティードなどのアメリカンモデルを紹介しよう。
(report●石橋知也/ノア セレン)
YAMAHA SR400/500(1978年)
古きよき時代を今に伝えるビッグシングル
ビッグオフローダーXT500をベースにロード向けに仕立てたのがSRのルーツ。フレームもエンジンも基本的に同じだが、実はカムシャフトやバルブ径、フライホイールの重さなどロード向けに細かな設定がなされ、おかげで上質なシングルスポーツとして支持を集めた。
00年に廃番となったが当初は500cc版も用意され、当時の中型免許枠にも対応した400と合わせて販売された。進化の中でキャストホイール化もされたが、SRはその登場時よりクラシカルなルックスを好むエンスージアストに愛されたゆえ、スポークホイールが人気で後にキャストは廃盤に。さらにはディスクブレーキも廃止されドラムブレーキへと変更されたのだからおもしろい。
その後01年にフロントブレーキはディスクに戻り、かつ19インチだったフロントホイールも18インチに改められ、また規制対応のためインジェクション化するなど細かな仕様変更を重ね、ロングセラーながら乗り味に極端な古臭さを感じさせない完成度を誇っていた。
そんな歴史あるSRが最近絶版となり嘆く声も多いが、これはあくまで一時的なラインアップ落ち、というのが真実だ。新型に期待しよう。
●76年発売のXT500のOHC2バルブエンジンがベース。潤滑方式はドライサンプでフレームがオイルタンクを兼ねる。400はストロークを84㎜→67.2㎜に短縮している。
●ライトケース上の速度警告灯は79年9月生産分までの装備で、10月のマイナーチェンジ以降~85年のマイナーチェンジ前のモデルは中央にインジケーターボックスを装備。
1978 SR400
●400、500ともに78年3月発売。写真は400で、500はシート形状が若干異なりテール部のカウルがなく、代わりにグラブバーが装着された。400の最高出力は27馬力
1979 SR400SP
●500SPともに同年11月発売。7本スポークのキャストホイールに加え400にはグラブバー、500には400と同形状のシートとハンドル(従来型はアップタイプ)を採用
1985 SR400
●フロントブレーキがドラム式になりホイール径が19インチ→18インチに、燃料タンク容量が12ℓ→14ℓに、ステップ位置も後退させるなど多岐にわたる変更が加えられた
1997 SR500
●96年10月発売。ステップ位置が再び前進、ハンドル形状も見直されてゆったりした乗車姿勢に。燃料タンク容量も12ℓに戻った。500は99年型をもって生産終了した
2010 SR400
●01年型でフロントブレーキがディスク式に戻り、10年型では燃料供給をFIに変更。触媒入りのマフラーにはヒートガードが付き、サイドスタンドも扱いやすい新形状になった
HONDA STEED(1988年)
和製クルーザーの隆盛はここから
ホンダ得意のNV系挟角52°V型エンジンを本格アメリカンスタイルに組み合わせた、和製ミドルクルーザーの元祖的存在。堂々としたルックスと扱いやすさ、また後にはカスタムパーツの豊富さも手伝い爆発的人気を博した。当初は600㏄版もラインアップ、こちらは位相ではなく同軸クランクで個性も強くマニア受けしたものだ。
後継車種はシャドウに名を変え、つい先日ラインアップ落ちしたシャドウクラシック400、シャドウファントム750まで続く息の長いモデルとなった。
1988 STEED400
●90年代に入るとゼファーと人気を二分する勢いに。600(上)はティラーバーハンドルにワイドレシオ4段ミッションを装備。400は5段でフラットバーハンドル仕様も用意。
1993 STEED400
●400、600ともに90年のマイナーチェンジで後席にバックレストを標準装備化。93年には燃料タンク容量を9ℓから11ℓに拡大して、より長距離走行に適応した仕様になった。
1998 STEED VLS
●400は96年にVSE、VCL、VLXの3タイプに分化。98年に標準型のVLXとスプリンガーフォークを装備するVLSの2本立てに。600はこのマイナーチェンジを機に終了した。
HARLEY-DAVIDSON
FXSTS SPRINGER SOFTAIL(1988年)
いにしえの機構を最新技術で復活
ハーレー創立85周年記念モデルとして登場。スプリンガーフォークはチョッパー用としてアフターマーケットで人気だった構造だ。路面の細かな凹凸の吸収性はテレスコピック以上で乗り心地は抜群。
スタイリングはリヤショックユニットが見えず(エンジン下に配置)、リジッド風のソフテイルサスとの組み合わせで、まるでリジッドチョッパー。この記念車以降もスプリンガーフォーク採用車が登場しているが現在は途絶えている。
1988 FXSTS SPRINGER SOFTAIL
●下のFL以来40年ぶりとなるスプリンガーフォークを採用。このときは1340ccのエボリューションエンジンで、ツインカム88Bエンジン(1449cc)の06年型が最終となる
1997 FLSTS HERITAGE SPRINGER
●スプリンガーフォークに加え前後16インチホイールやディープフェンダー、飾り付きのレザー製サドルバッグを装備。99年までの3年間しか作られなかったことから今でも人気が高いモデル
2008 FLSTSB CROSS BONES
●17インチホイールにサドルシート、ミニエイプハンガーハンドル、ブラックアウトされたフォークなど古さと新しさを併せ持つ姿。エンジンはツインカム96B(1584cc)で11年型が最終。
HARLEY-DAVIDSON
"PANHEAD"ENGINE(1948年)
17年間続いた長寿エンジン

1948 FL
●名の由来はロッカーカバーが鍋を逆さにしたような形をしているところから。排気量は988㏄と1207㏄の2種類。FLは当時最後のスプリンガーフォーク車で1年しか作られなかったため、現在では特に人気
いかがでしたか?
最終回となる次回は、スポーツモデル、モタード、スクーターの各アニバーサリーモデルをご紹介。
どうぞお楽しみに!!