2018 ANNIVERSARY BIKES
新型として登場し、数年後には次の新型、もしくは絶版になるのがバイクの宿命だが、名称やコンセプトなど、何らかの形で受け継がれる、あるいは復活するケースも多い。2018年にアニバーサリーを迎えるモデルを見てみれば、それがよく分かるはずだ。
第4回目はアドベンチャー系バイクやオフロードマシンのアニバーサリーモデルをご紹介! 現在でもリリースされているモデルや伝説的なバイクまで、オフロードカテゴリーには多くのアニバーサリーモデルが存在するのだ。
(report●石橋知也/ノア セレン)
HONDA AFRICA TWIN(1988年)
パリダカ4連覇マシンのレプリカ版
86年~89年のパリ・ダカールラリーを4連覇したNXR(780cc)のイメージを投影したフルカウルのオフロードツアラー。エンジンはオンロードモデル、ブロスに用いられた位相クランクを持つ挟角52度水冷VツインOHC3バルブ647cc。同系エンジンのトランザルプもやや遅れてデビューした。90年には排気量を742ccに拡大、同年のパリダカでは選抜制で参加者を募りアフリカツインでチャレンジする"オブジェ・ダカール"が行われた。
1988 AFRICA TWIN
●35W×2のデュアルヘッドライトに2段階のリザーブ警告灯、パイプ製のリヤキャリヤ、24ℓ容量の燃料タンクなど本格的な装備が充実。日本では500台限定で発売された
1990 AFRICA TWIN
●エンジンのボア・ストロークともに拡大して排気量を742ccとし、最高出力が57馬力に。カウルの形状も見直されて快適性が向上した。リヤキャリヤは樹脂製に変更。日本では500台限定発売
1996 AFRICA TWIN
●3代目となる93年型で新設計フレームを採用。ディメンションも見直されより扱いやすくなり、96年型ではカウル形状を変更、最高出力が58馬力に向上した。日本では200台限定で発売
2015 CRF1000L AFRICA TWIN
●国内では00年、輸出仕様も03年で終了したが、その後のアドベンチャーモデル人気もあり復活。新設計の並列2気筒エンジンを採用、クラッチ操作不要のDCT装備車も用意される
SUZUKI DR-BIG(DR750S)
(1988年)
砂漠に現れた怪鳥!?
88年パリ・ダカールラリーに投入されたプロトタイプマシン、DR-Z(ジータ)とイメージを共有させて市販されたビッグオフローダーがDR750S(通称DRビッグ)だ。空油冷OHC4バルブエンジンは727cc、ボアがφ105㎜もある超ビッグシングル。2軸バランサーで振動を低減、単気筒ならではのスリムさは大きな武器となった。90年にストロークアップして779cc(DR800S)に発展した。特に目を引くのが鳥のようなビーク(くちばし)デザインで、これが現在のVストロームシリーズに継承されている。
1988 DR-BIG
●最高出力52馬力、乾燥重量179㎏と意外に軽量。燃料タンクは左右分割式。容量29ℓで給油口も2つ。アフリカツインと同様パリダカに参加するプライベーターに人気だった
1990 DR800S
●エンジンのストロークを延長して排気量を779ccに拡大、車名もDR800Sに変わった。最高出力54馬力。リヤブレーキもドラム式からディスク式に変更されている。乾燥重量185㎏
1991 DR800S
●燃料タンクが一体式になり容量24ℓに。カウルの形状も変更されている。マフラーは2本出しとなり、テール周りの形状もリニューアル。足まわりにも変更が加えられた。乾燥重量194㎏(写真は1994年型)
YAMAHA DT-1(1968年)
ヤマハオフロード車の金字塔
"トレール"という言葉のルーツになったモデルがDT-1だ。オフロード車のワイルドさを荒野でも銀座でも似合うおしゃれなデザインで包み、カラーリングもホワイトで清潔感があった。2ストローク空冷単気筒246ccを積む車体は軽くスリムで、スポーティに乗れた。このDT-1からトレールシリーズが始まりRT-1(360cc)、HT-1(90cc)、ミニトレ(GT50/80)が生まれる。また、モトクロス用キットパーツを販売し、世界・日本のモトクロス普及やライダー育成に貢献した。
1968 DT-1
●67年東京モーターショーで登場。オンとオフの区分があいまいだった時代に明確なオフロード向けの構成とし、トレールという新ジャンルを築いた。最高出力18.5馬力。初期型はウインカー未装備。
1973 DT250
●70年のマイナーチェンジでエンジンをピストンバルブからピストンリードバルブ式に変更、車名もDT250となる。73年にはエンジンが7ポートのリードバルブとなりセンターアップマフラーを採用。最高出力23馬力
1977 DT250M
●量産車初のモノクロスサスペンションを採用し走破性が向上。スネールカム式チェーンアジャスターを装備して整備性も向上させている。最高出力21馬力。同シリーズは79年のカラーリング変更をもって終了している
HONDA XL250S(1978年)
街でも活躍した"23インチのワークブーツ"
一大林道ブームを巻き起こしたモデル。フロント23インチホイールや新開発の4ストローク単気筒248ccエンジン、前後ロングサスペンションで走破性に優れ、舗装路でのスポーツ性も高い。燃費のよさから街でもロングツーリングでも大活躍し、まさに"ワークブーツ"のようなバイクだった。ここからXL500S、XL125S、XL80Sが続いて登場。エンデューロモデルのXRシリーズとの共通パーツも多く、これらを流用するカスタムが定番だった。
1978 XL250S
●75年発売のXL250用をベースに3.5㎏軽量化して搭載されたエンジンは2軸1次バランサー付きのOHC4バルブ。キック連動式のデコンプで踏力を軽減させている。最高出力20馬力、乾燥重量119㎏。
1980 XL250S
●フロントブレーキドラムの大径化や前後サスの改良、メーターケース変更、フロントフェンダーやサイドカバー形状などを変更。81年には後継のプロリンクサスを装備したXL250Rが登場。