ヒストリー

40年以上使われ続ける!? 基本設計の優れた国産長寿エンジン5機【エンジンで振り返る日本車の歴史 その2】

1982年~2007年 ホンダ・VT/VTR系

1982~2007年にホンダが販売したVTシリーズに対する印象は、世代や居住地で大きく異なるだろう。現在の年齢が40代以下なら、エントリーユーザーに最適なベーシックモデルというイメージを持っているはずだし、大都市近郊在住の50代以上のライダーは、バイク便御用達という見方をするのかもしれない。
しかしデビュー当初のVT250Fは、ヤマハRZの牙城を崩すべく、GPレーサーNR500の技術を転用して生まれた、バリバリのスポーツモデルだったのだ。

1982年 VT250F(248cc、水冷4スト DOHC V型2気筒)。マイナーチェンジごとに少しずつカウルが大きくなり、1985年にはフルカウル仕様のVT250Fインテグラが登場。また、VT250Fも1986年からアンダーカウルを備えるようになった

中でも注目するべきは、Vバンク間にダウンドラフト式キャブレターを配置した水冷DOHC4バルブ90度Vツインで、その構造は当時の2気筒エンジンで最も先進的だった。

VT250Fのエンジン。35ps/11000rpmの高出力エンジンは、1980年代の2ストブーム再燃のきっかけを作ったRZ250と同等。その後マイナーチェンジで40ps/12500rpmまで高められた。

余談だが、90度Vツイン(それゆえLツインとも呼ばれる)に特化したメーカーのドゥカティが、Vバンク間のダウンドラフト吸気を初めて採用したのは1986年型750パゾで、水冷DOHC4バルブの第一号車は1988年型851である。

1986年 ドゥカティ・Paso750(748cc、空冷4スト OHC V型2気筒)

1988年 ドゥカティ・851ストラーダ(851cc、水冷4スト DOHC V型2気筒)

1984年~2017年 ヤマハ・FJ/XJR系

1984年から発売が始まったFJ1100は、当時の空冷並列4気筒車で最強となる125psを発揮。もっとも日本市場での人気は、ホンダCB1100RやカワサキGPz1100、スズキGSX1100Sカタナなどの影に隠れて、いまひとつパッとしなかったのだが……。

1984年 FJ1100(1097㏄、空冷4スト DOHC 並列4気筒)。ヤマハ初の大排気量スーパースポーツ。当時0-400では世界記録を樹立した

しかし、FJのエンジンを転用して生まれた1994年以降のXJR1200/1300は、同時代に販売された他社のビッグネイキッドを圧倒する人気を獲得し、2017年まで生産が続く長寿車となった。

2006年 XJR1300(1250cc、空冷4スト DOHC 並列4気筒)ホンダ・CB1300スーパーフォアと双璧を成したヤマハのビッグネイキッド。2006年モデルからFI化された

なおカワサキZ1系やスズキGSXシリーズと並んで、アメリカのドラッグレースで絶大な人気を誇ったFJ/XJRの空冷並列4気筒だが、排気量の1300cc化に伴い、メッキシリンダーと鍛造ピストンを導入。
それにともない、クランクシャフトやコンロッドなどを見直した1998年以降のエンジンは、それまでのエンジンと比較すると、チューニングに対する許容範囲が狭い……とも言われている。

FJ1100(上)とXJR12001300のエンジン(下)。なおXJRのエンジンも外観はブラックがメインだったが、1998年型以降はシルバーも設定された

1999年~現在 スズキSV650/Vストローム650系

近年の2輪業界では、600~800ccを中心としたミドルスポーツ市場がかなりの活況を呈している。その先鞭を付けたと言えるのが、スズキが1999年から発売を開始し、現在も生産が続くSV650だ。

2020年 SV650(645㏄、水冷4スト DOHC V型2気筒)。セパレートハンドル、ヘッドライトカウルを装備した、カフェレーサー風のSV650Xも併売されている

といってもそれ以前から、日欧のメーカーは多種多様なミドルスポーツを販売していたが、2000年代前半のヨーロッパで、軽量で利便性に優れるSVが大人気を獲得したからこそ、他メーカーはミドルスポーツに本腰を入れ始め、新規エンジンの開発に着手したのである。

1999年 SV650S(645cc、水4ストDOHC V型2気筒)。最高出力70psと現行モデルの76.1psには及ばないも、車重は現行モデルよりも30kg近く軽く、170kgを切っていた。写真はハーフカウル付きのSV650S

なお一般的なVツインが、カムシャフトを駆動する部品を同一面に配置するのに対して、左右幅の抑制に配慮したスズキのTL/SV/Vストローム系は、カムチェーン+スプロケットをフロントバンクは右側に、リヤバンクは左側にそれぞれ設置している。

TL1000Sのエンジンのカットモデル。リヤバンクのカムスプロケット+チェーンは左側に設置されている。

また、当初は鋳鉄スリーブ入りだったSV650系のシリンダーは、2009年から兄弟機のSV1000と同様のアルミメッキシリンダーになった。


初期のSV650(上)とTL1000S。この2機種のエンジンは、現代もVストローム1050650SV650用として生き続けている

文●中村友彦 写真●八重洲出版 *2020年6月4日加筆修正をおこないました

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