YZF-R1を筆頭とするヤマハのスーパースポーツモデル「YZF-R」シリーズ。
1000ccのYZF-R1、600ccのYZF-R6、320ccのYZF-R3、250ccのYZF-R25、そして125ccのYZF-R125までを世界で展開しており、多くのファンを持つ。
ところで「アールワン」「アールスリー」の車名は、実は半世紀以上昔から受け継がれる由緒あるもの(?)だったのをご存知だろうか?
ヤマハ・スポーツ350R1(1967年登場)
「海外メーカーのビッグバイクに対抗できるだけの走行性能を備えた車両が必要だ」という当時の技術者たちの強い願いを託されて登場したフルスケール350ccモデル、それがヤマハスポーツ350R1である。
1970年にXS-1(650cc)が登場するまでの間、ヤマハを牽引したフラッグシップモデルであり、ラインアップ中最大排気量を誇った。
エンジンは最高出力36馬力の空冷2サイクル350cc並列2気筒で、当然4サイクル4気筒1000ccのYZF-R1とは設計上の関連性はない。
しかし「フラッグシップモデルである」ということは2車の共通点だ。
ちなみに古いほうのR1の「R」は排気量車が350ccであることを指し(ほか「E」が260cc、「D」が250cc、「C」が175cc、「B」が130cc、「A」が125ccなど、車名のアルファベットで排気量区分を示していた)、現在のR1の「R」はリアルスポーツを意味する。
最新型ヤマハYZF-R1(2020年モデル)
唯一国内仕様が設定されたヤマハYZF-R1(2009年モデル)
ヤマハ・スポーツ350R3(1969年登場)
車名から察した人も多いかと思うが、スポーツ350R3はスポーツ350R1の後継モデルである。厳密にいうと海外仕様「YR2」の国内版で、1969年から販売された。
タンクやサイドカバーなど外装のデザインをスポーツ350R1から一新しているほか、ホイールベースもスポーツ350R1から拡大されておりロングツーリングを得意としていた。
またキャブレターの形状変更も行われたが、36馬力/7000rpmという最高出力は前身モデルであるR1と同様。
スクランブラースタイルの「スポーツ350R3C」とあわせて約5万台ほどが生産された。
最新型ヤマハYZF-R3(2019年モデル)
新旧「R3」とも、2気筒車で300cc台という共通点はあるが、当然こちらも現在のR3とはなんの縁もない。
排気量車はYZF-R3のほうが少ない(350R3:350cc、YZF-R3:320cc)が、最高出力は42馬力とYZF-R3のほうが上。技術の進歩って素敵。
残念ながら1950〜60年代のヤマハでは、250cc車には「R」ではなく「D」を付けていたため(YDSやDXなど)、1960年代のヤマハ車の中に「R25」はいなかったし、スポーツ350シリーズも1970年からはRX350へと車名が代わるので、後継としての「スポーツ350R6」も生まれなかった。
が、R25、R6もバイクの歴史を紐解くと、実は由緒ある車名である。ということだけ付け加えておこう。
(まとめ●モーサイ編集部・高垣/上野)