21世紀生まれの新たな原付二種のカブ「110」(2009年登場)
2008年に生産終了となったスーパーカブ90だが、やはり原付二種クラスのカブを求めるユーザーの声は多かった。そして、スーパーカブ90生産終了の知らせから約9カ月後に登場したのがこのスーパーカブ110である。
誰が見てもカブらしいと感じるデザイン・特徴は継承されているから、「ただエンジンの排気量を上げただけのモデルチェンジじゃないの?」と思う人もいるかもしれない。だが、その実態はエンジン・車体ともに新設計となっており、開発者いわく「(90との)共通部分はほぼない」と言わしめるほど、90ccとは全く別系統のモデルなのだ。
45年ぶりの新作エンジンを積んだ新たな原付二種カブ
というのも、スーパーカブ110は東南アジア向けに販売されたタイホンダ製「ウェーブ110i」をベースに設計されたモデルだからだ。
フレームは従来の丸パイプ+プレス鋼板から、スーパーカブ110では丸パイプと角パイプを組み合わせる形になった。排気量をアップしてもスーパーカブらしいサイズ感をキープするため、車体の寸法はほぼ90と同等に。シート高も90と同じ735mmとなっていますが、時代とともに日本人の体格も徐々に大きく変化していることに合わせてシート位置は25mm後方へ移動。そのため90に比べるとゆったりとしたライディングポジションを取ることができる。
が、90から一番変わったと感じさせるポイントは、ハンドルまわりのデザインとレッグシールド中央部のボリュームだろう。樹脂カバーに覆われたレイアウトは、従来モデルのような絞り込まれた感じはなく、まんまるに膨らんだ風船のような印象を受ける。
エンジンは先述のウェーブ110iを元に、日本国内向けにリファインした「JA07E」を搭載。1980年代以降の国内向けのカブエンジンはいずれも1964年のC65Eがルーツとしたものだったので、新設計エンジンは45年ぶりである。
国内で正規販売されるモデルとしては1988年~1995年の「カブ100EX」以来となる2段クラッチを備えている点が大きな特徴だ。
また、ローラーロッカーアームやオフセットシリンダーなどフリクションロス低減のための技術が投入されているほか、吸気系にはPGM-FIを採用、排気系にはキャタライザーを装備しており、好燃費と高水準の環境性能を両立した新世代エンジンとなっている。
2012年のモデルチェンジに伴いエンジン型式を「JA10E」へと改めたが、ミッション部が若干強化された程度で、基本性能はほとんど同じである。
また、2018年のモデルチェンジでは、耐久性と低フリクション性に優れたピストン&シリンダーの採用、より滑らかな変速フィーリングを実現するためシフトドラムの回転軸をニードルベアリング支持にするなどの改良が行われたが、型式は「JA10E」のままとなっている。
ホンダ スーパーカブ110諸元(2009年モデル)
全長●1830mm 全幅●710mm 全高●1040mm 軸距●1190mm 最低地上高●140mm
キャスター●26°50′ トレール●77mm
タイヤサイズ 前●2.25-17-33L 後●R2.50-17-43L
車重●93kg 燃料タンク容量●4.3L オイル容量●1.0L
発売当時価格●24万9000円
2012年にはグローバル化の波に押され、アジア方面で人気の角目スタイルにモデルチェンジした。
カブ伝統のボトムリンクからテレスコピックへ変更されたフロントサスペンション。ボトムケースはベースとなったウェーブ110iと共通だが、内部セッティングはスーパーカブ専用となっている。なお、タイヤサイズは90と共通だ。
ハンドルスイッチは樹脂カバーに覆われた一体型に。従来までは右側に付いていたウインカースイッチも左側に移設された。
動力性能の向上に伴い、アンダーボーンのメイン部は丸パイプから角パイプへ、後部は丸パイプとピボットプレートの組み合わせとして全体のねじれを含めトータル剛性を高めた。スイングアームもプレス鋼板から角パイプになっている。
2018年には生産拠点を中国から日本の熊本製作所へと移管すると同時に、110/50とも再び丸型ヘッドライトと全体に丸みを帯びたデザインへモデルチェンジ。ヘッドライトはLEDを採用する。
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