ヒストリー

1958年「世界のスーパーカブ」はここから始まった! 「初期型C100」ならではの特徴を徹底解説:後編

ホンダの躍進を支え、「世界のスーパーカブ」の原動力となったのが、1958年登場の初代C100に搭載されたC100Eだ。

C100

開発に当たっては、当時の50㏄モデルでは一般的だった2サイクルを避け、あえて4サイクルOHVを選択。実用的な出力の確保には困難を伴ったが、新規格のCプラグの採用など大胆な設計により、最終的に驚異的とも言える4.5psを発揮。かなりの高回転型にはなったものの、同時代・同クラスの2サイクル車を凌駕した。
苦心の末生み出された特徴的な遠心クラッチ機構は、発進およびシフト操作を劇的に容易にし、だれにでも乗れ、かつ便利で実用的な乗り物を具現化する柱となった。また、1960年のセル付き版C102E、1961年の原付二種版C105E(54㏄)の登場など、同エンジンはバリエーション化も果たしている。
これらC100E系は生産期間中、内部に度重なる設計変更を受けつつ、1960年代半ばに新設計OHCエンジンにバトンタッチすることになる。

C100
こちらはカムからバルブまでの部品(バルブスプリングまわりは省く)。2サイクルに比べれば複雑になる4サイクルとはいえ、現代の目では極めてシンプルな部類に入る。
カムシャフトはクランクシャフトの前下方に置かれ、オイルに浸るため回転抵抗は増大する反面、耐久性という点では有利だった。
シリンダーは水平から10度起こされているが、これはヘッドまで上がったオイルがクランクケースにスムーズに戻るよう意図していたといわれる。

C100

C100E系エンジンにはオイルポンプがなく、回転するカムシャフトの軸部に刻まれたスパイラル状の溝がその役割を果たす。クランクケース左側前方から伸びる銅パイプが、ヘッドまでオイルを運ぶラインだ。こうした簡素化を追求した機構のため、開発・生産の初期段階ではオイルがなかなかヘッドまで上がらず、対策に追われたという。

C100

クランクシャフト&ピストン。コンロッド大端部からツノ状のものが生えているのが分かるだろうか。これはエンジン回転時にオイルを掻き上げ、そのオイル飛沫でピストンピン付近やシリンダー壁を潤滑する役割を果たす。シンプルな機構で耐久性を確保するための工夫と言えよう。

C100

発進はグリップをひねるだけ、ギヤチェンジはペダルを足で踏み込むだけの、簡単操作を実現したC100Eの自動遠心クラッチ。その役割は大きく分けると3つになる。
①発進用の遠心クラッチ機構、②チェンジ操作用のクラッチ強制フリー機構、③キック始動およびエンジンブレーキ(押しがけ)用のクラッチ強制接続機構、である。この3つの機能をコンパクトに集約させたのが、C100Eの自動遠心クラッチだったのだ。
同エンジンの要と言える機構であり、まさに革新的な「発明」だった。仮にこの遠心クラッチが失敗作であったならば「世界のスーパーカブ」という言葉は生まれなかったかもしれない。
なお、自動遠心クラッチの機構について詳しくはこちらの記事を。

 

スーパーカブC100に搭載されたOHVエンジン「C100E」

搭載機種:スーパーカブC100 弁配置:OHV2バルブ
排気量:49㏄ ボアストローク:40×39mm 圧縮比:8.5
最高出力:4.5ps/9500rpm 最大トルク:0.33kgm/8000rpm
点火方式:フライホイールマグネトー
変速比:①2.69 ②1.45 ③0.96
機関重量:15㎏

※本記事は2017年発行、ヤエスメディアブック「HONDA スーパーカブメモリアル」に掲載されたものを編集・再構成しています。

 

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